[完結][番外編更新中]氷の騎士は、異世界から来た運命の番を溺愛する。

りさあゆ

文字の大きさ
上 下
41 / 85

41

しおりを挟む

       ハル

 今日は、観覧試合が行われる日だ。

 あれから、ジークは休みもなく仕事で僕は、ヴィーちゃんの所へ行ったりしながら過ごしてた。
 そして、今日、観覧試合に行くんだけど、その場所までは、馬車でいくんだよ!馬車だよ!馬車!
 すっごく楽しみ!
 ここには、お馬さんがいるの?
 なんて言ったら、厩舎がありますよって
だから、見たい!って言ったら、少し距離があるみたいで、今度ジークに連れて行ってもらうんだ。

 ジークは、朝早くから屋敷から出て、準備の為に競技場に向かった。
 その時に、ジークが馬に乗ってたの!
 もう凄くカッコ良くて、見惚れてたら、ジークがおいでって言って、僕を馬に乗せてくれたんだ!
 視線が高くなって、見晴らし最高!
 あんまりはしゃぐと、お馬さんがびっくりしちゃうもんね。
 ジークに、下ろしてもらって、お馬さんに、ありがとうねっ!って挨拶したら、お馬さんがすり寄って来たから、首の所を撫でさせてくれたんだ。凄く手触りが良くてスリスリしてたら、ジークにもういいからねって言われて、手を離したんだけど、お馬さんが「もっと撫でて」て感じで、僕にグイグイ寄って来たから、またねって言うと、やっと離れてくれたんだ。
 それから、ジークに行ってらっしゃい。した。

 身支度をして、ジークの両親と、トーマスさんと、セシルで出発だ。

 屋敷の前に、馬車が待っていた。
 僕がイメージしてたより、ずっと大きい
お馬さんが1台で4頭、2台で8頭もいる。

 こういうの見ると、異世界に来たんだなぁって思うなぁ。
 お父様と、お母様に手を引かれて馬車に乗るんだけど、あれ、僕は乗れるの?
 どうしよう?と考えてると、男の人が来て、サッと踏み台を出してくれた。
 お父様が先に乗って、お母様の手を差し出して乗せる。
 僕は、自分で乗ろうと、踏み台に足をつけると、お父様が両手を僕の脇に出し、そのまま、ストンって馬車の中に降ろされたから、えっ?と思わず声が出た。
 「ハル、ここに座りなさい。」とお父様に言われて、座ると、横にはお母様、隣りにお父様。
 はい。挟まれてます。
 恥ずかしいのを誤魔化す様に、馬車の中を見渡す。
 はぁぁもう豪華だ。
 綺麗な飴色の内装で、蔦模様が綺麗だ。
しかも、凄く広くて、対面にも席があるが誰も座ってない。
 えっ僕、あっちに座りますよ。
 腰を少し上げると、
 「ハルちゃん、立つと危ないから、座っていましょうね」
 はい。
 素直に座りました。
  
 両方とも窓が付いていて、カーテンが閉めてある。
 隙間から覗こうとしたら、駄目よ。と言われて、大人しく座り直しました。
 結構な時間、経ってお尻が痛くなって来た頃、着いたよ。の声。

 また、お父様に降ろされて、周りを見ると、人がいっぱい!
 しかも、カラフル!色々な髪色で、色の洪水だ。
 本当に黒髪っていないんだなぁ。
 こっちよ。と、お母様に手を引かれて移動する。
 
 これまた、競技場の大きい事!!
 上から見ると円形になってるんだろうなと、見上げると、高い!ビルだったら何階になるのかな?
 なんだか、圧倒されて、言葉も出ない。

 囚われた宇宙人の様に連れて行かれる僕だった。

 建物に入ると、さっきまでと違って、人もまばらだ。
 ひとつの扉の前で止まる。
 トーマスさんが、扉を開くと応接間みたいな所で、ソファに座る。
 ここは?
 公爵家専用の部屋なんだって。
 式典が始まるまで、この部屋でゆっくり過ごすんだそう。
 セシルがお茶を入れてくれて、それを飲む。
 お菓子もあるので、それも頂く。
 「あんまり食べては、駄目よ、ハルちゃん。すぐに昼食だからね。」
 「はーい!」

 扉がノックされて、行こうって言われて席を立つ。
 セシルが僕の服を直してくれる。
 ありがとう。と言って部屋を出る。

 階段を上がって行くんだけど、急ではなく、幅の広い階段なんだけど、疲れる。
 それを見たお父様が、抱っこした。
 もう、抱っこしなくていいのに!
 と、言える訳はなく、泣く泣く、、、
 はい。安心安全な縦抱っこです。

 階段が終わったら、今度は、眩しくて目を細める。
 うぁぁぁ!凄い!凄い!
 昔のコロッセオみたい!
 ぐるりと、円形になってて、周りが観客席になってる。
 僕達がいる場所は、それが一望出来る場所になってて、案内された場所は、隣に、豪華な椅子があって、皇帝陛下が座る場所なんだそうだ。
 その隣には、ヴィーちゃんが座るのかな?
 僕は、お父様とお母様に挟まれ座っている。後ろに少し小さな椅子があり、そこにトーマスさんとセシルが座っていた。

 鐘の音がなり、辺りが静かになった。

 ザッザッと音が聞こえて、何?と、広場を見る。
 奥の扉から、騎士団の人達が整列しながら入場して来た。
 すっごい揃ってて、鳥肌が立つ。
 何人いるの?いつまでも途切れる事なく行進が続き、やっと終わったと思ったら、
奥から、また10人くらい出て来た。
 その、整列してる人数、なんと、1000人!なんだって。
 その人達が、ザザって半分に割れて、中央に道が出来る。
 また扉が開いて、お馬さんに乗った人がその道を、走る。

 「ジークだ!!」

 思わず、口から出て、慌てて口を塞ぐ。
 お母様に頭を撫でられて、ちょっと恥ずかしい。
 
 でも、目はしっかりジークを見てる。

 はぁぁもうカッコイイ!!!

 ジークが馬から降りると、お馬さんは、ちゃんと、じっとしてる。

 また、鐘の音がすると、広場にいる騎士団の人達が、一斉に首を垂れる。
 すると、僕達の横にある扉から、皇帝陛下が出て来た。
 後ろには、ヴィーちゃんがいた。
 僕も、慌てて頭を下げる。

 陛下が
 「今日が良き日になるよう、皆の活躍に期待する。」
 そう言葉を述べられると、席に着く。

 チラッとヴィーちゃんの方を見ると、僕の方を見て手を振っていたので、僕も小さく振り返す。

 広場の方をみると、ジークが台に上がって、陛下に向けて挨拶をする。
 「本日は、騎士団、皇国軍、共に全力で戦う事を誓います。」
 一礼して、下がる。
 会場は、地響きがするくらいの拍手喝采で、わぁぁぁぁ!!って耳が痛くなるくらいだ。

 ジークは、馬に乗って会場から出て行く
その後、団員達が続き、砂が舞う。
 
 これから、どうなるの?
 キョロキョロしてたら、行くよ。って手を引かれて、またあの部屋へ戻った。

 今からお昼を食べて、それから試合が始まるんだって。ジークは当分出て来ないから、ここでゆっくりするんだって。
 早く、ジークを見たいな。
 僕はワクワクしながら、時間が来るのを待ったんだ。

 あの時のワクワクを返してって、なるのに、後数時間。
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?

下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。 そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。 アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。 公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。 アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。 一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。 これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。 小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

心からの愛してる

マツユキ
BL
転入生が来た事により一人になってしまった結良。仕事に追われる日々が続く中、ついに体力の限界で倒れてしまう。過労がたたり数日入院している間にリコールされてしまい、あろうことか仕事をしていなかったのは結良だと噂で学園中に広まってしまっていた。 全寮制男子校 嫌われから固定で溺愛目指して頑張ります ※話の内容は全てフィクションになります。現実世界ではありえない設定等ありますのでご了承ください

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた… 転生したと気づいてそう思った。 今世は周りの人も優しく友達もできた。 それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。 前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。 前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。 しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。 俺はこの幸せをなくならせたくない。 そう思っていた…

俺の彼氏は俺の親友の事が好きらしい

15
BL
「だから、もういいよ」 俺とお前の約束。

BLゲームのモブに転生したので壁になろうと思います

BL
前世の記憶を持ったまま異世界に転生! しかも転生先が前世で死ぬ直前に買ったBLゲームの世界で....!? モブだったので安心して壁になろうとしたのだが....? ゆっくり更新です。

勇者召喚に巻き込まれて追放されたのに、どうして王子のお前がついてくる。

イコ
BL
魔族と戦争を繰り広げている王国は、人材不足のために勇者召喚を行なった。 力ある勇者たちは優遇され、巻き込まれた主人公は追放される。 だが、そんな主人公に優しく声をかけてくれたのは、召喚した側の第五王子様だった。 イケメンの王子様の領地で一緒に領地経営? えっ、男女どっちでも結婚ができる? 頼りになる俺を手放したくないから結婚してほしい? 俺、男と結婚するのか?

処理中です...