[完結][番外編更新中]氷の騎士は、異世界から来た運命の番を溺愛する。

りさあゆ

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      ジークバルト

 ここの所、忙しくて嫌になる。
やっと見つけた番と、ゆっくり出来ないなんて、ありえない。
 観覧試合なんて、どうでもいい。
 て、言うか、俺は出なくていいじゃないか?
 そう宰相に聞くと、
 
 「お前、はぁ、陛下に聞いてみろ!」

 なんで?
 で、レオに聞く。

 「なぁ、ジーク。俺がお前が戦う姿が、見たいから、[観覧試合]を作ったんだぞ。それを、お前が強すぎて最後にちょっとだけ試合して、終わる俺の気持ちがわかるか?え?」

 「そんな事は知らん。強い者がいないのが悪い。」

 「ジーク!」
 宰相が眉を吊り上げる。
 
「いい、今ここには、俺とマルクス、ジークしかいないから、大丈夫だ。」

 「まったく、レオはジークに甘い。」

 「まぁな。でジーク、出たくないのか?なんで。」
 
 「いや、別に出るのはいい。それまでが忙しいのが嫌だ。ハルに会う時間がないんだ。やっと会えたのに。仕事してる時間が長すぎる。」
 
 「あーなるほど。ん?あぁそうだ!それがいい!ジーク、ハルをここに連れてくればいい。」

 「は?」

 「レオ、どう言う事か?説明!」

 俺は、何言ってんだ?って呆れ顔して、マルクスは、眉間を指で揉んでレオに聞く

 「ん?いやな、ヴィーがハルに会いたいと、まぁまた、抜け出されも大変だからな、周りがな。なんで、ヴィーの話し相手に、王城に一緒に来ればいい。それでどうだ?ジーク?」

 「それなら、いいが」

 「なんだ、まだ何かあるのか?」

 「いや、他の奴にハルを見られるのは嫌だな。」

 「お前は!!ヴィーの部屋に閉じこもっていればいいだろうが!」

 「あぁ、そうだな。わかった。明日から連れてくる。ヴィーによろしくつたえてくれ。」

 はぁぁぁと、深いため息が2人分聞こえた。

 そうか、ハルをヴィーの所に連れてくれば、いつでも会えるな。
 ハルもヴィーの所で色々教えて貰えばいいな。
 よし、ハルにカッコいい所を見せてやらなければ!
 ハルは喜ぶかな?
 今日、帰ってから報告するのが楽しみで自然と笑みが浮かぶ。
 執務室に入ってきた、侍従や文官達が、ビックリして固まってるのが見えたが、知らん振りして、仕事に集中した。
 それからは、時間まで仕事して、屋敷に急いで帰った。




 屋敷に帰って、ハルを思いっきり愛でてハルに話をする。
 「ハル、明日一緒に仕事に行こう?」
 「はっ?一緒に?ジークと、僕?」
 「うん。」
 「何で?」
 ハルにレオに言われた事を説明する。
 
 「ヴィーちゃんの所に、、、」
 「嫌?」
 「ううん!全然!ヴィーちゃんに会えるのは、嬉しいよ。でも、僕なんか行っていいのかな?って」
 「なんかじゃないよ。ハルだから来て欲しいんだ。俺の為に。」
 「ジークの為に?」
 「そう、俺がハルに会いたいから。」
 「?」
 ハルは、コテりと首を傾けて、不思議顔で、可愛い。
 「今、本当に仕事が忙しくて、朝と夜しかハルに会えない。王城に来れば、昼間でも顔が見れる。だから来て?」

 「そうだね。僕も寂しいって思ってたから、昼間に会えるの嬉しいな。」
 「よし、決まり!明日から、一緒に行こうな。ハル」
 「うん。」
 俺は、ハルを抱きしめる。
 ずっとこうしていれればいいのに。
 ハルも、俺の腕の中で幸せそうに笑ってる。あぁ、俺も幸せ。心が満たされる。


 翌日、朝から屋敷中がバタバタしてる。

 いつもより、早くセシルがハルを起こしに来た。
 「ハル様、今日から王城に行かれますので、お早めに準備をお願いします。」
 着替える為に部屋を移動する。

 先に着替えを済ませて、ハルを待ってると、セシルがハルを連れ来た。
 セシルの後ろでモジモジするハルに、どうしたのかと、おいでって声かけた俺が、固まった。
 そして、腰砕けになった。

 なんて、なんて可愛いぃぃぃぃ!!!
 髪を片方だけ編み込み、前髪を斜めに流してる。
 服は、淡い紫色の少しフリルが首周りを飾っていて、ハルの身体にピッタリ添った様に、膝までの長さのジレにシャツと、ズボンは、光沢のある白をきてる。
 どこかの国の王子様の様な、高貴さがある。

 ハルが、「ジーク、大丈夫?」と、俺に声を掛ける。
 「ハル、可愛い!凄く素敵だ。セシル良くやってくれた。だが、駄目だ。誰にも見せたくない!」
 ハルを抱きしめて言ってると
 「旦那様、早くお出掛けなさいませんと、遅れてしまいますよ。」
 セバスに急かされる。
 こんな、綺麗で可愛いの駄目だろう?
 「ジーク、一緒に行こう?ジークのお仕事頑張ってる所見たいな?ダメ?」
 
 グゥゥそんな可愛い顔で言われたら、駄目って言えなくなる。
 どうしたって、ハルには逆らえないのだ

 「行く。ハル、一緒に行こう。」

 朝食を済ませて、ハルと一緒に屋敷を出たのだった。
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