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しおりを挟む[閑話]ヴィヴィアン
本当に本当に本当に良かった。
兄様に、番が見つかって。
そうレオに聞いた瞬間、信じられなくてでも、嬉しくて、レオに抱きついて泣いたわ。
兄様がずっと番を探してたのは、知ってたし、何よりも、誰よりも、欲していたもの。
レオに、謁見まで会うのは駄目だって、いつも私に甘いレオがそう言うから、我慢しようとしたわ。
でも、女官長や、侍女達に兄様の番の事を調べてもらったわ。
侍女達には、特別な情報網があるから、すんなり情報は掴めたわ。
名前は、ハル。
黒髪、黒目、非常に小柄で。
もうすぐ18歳の誕生日を迎える。
異世界から来た送り人。
そして、とっても綺麗で可愛い。
完璧だわ!
こんな人が兄様の番なんて!!!
もう、じっとして待つなんて、出来ないわ!早く会いたいわ!
それから、侍女達と相談して、部屋を抜け出す。もちろん、女官長には協力してもらって、ちゃんと護衛もつけたわ。
公爵家に着き、セバスを呼んでハルちゃんに合わせて!と頼むと、なりません。
と、どうして?旦那様の許可なく、ハル様にはお会い出来ません。
なんて、頑固ジジイなの!!
いいわ、私の家だもの勝手にさせてもらうわ!
侍女に、図書室におられるそうです。と耳打ちされ、セバスの制止を振り切り勝手知ったる屋敷の中を小走りで進む。
使用人達が呆気に取られた顔してたけど
ひたすら図書室に向かう。
扉を開けると、セシルが立ちはだかっていたけど、その後ろに黒髪が見えたのよ!
思わずセシルを押し退け、その子に抱きつく。
「貴方ね!貴方が兄様の番!」
て、叫んでた。
淑女としては、間違ってると分かってる
けど、我慢出来ない!
だって、綺麗で可愛い!
小さくて、本当に可愛い!
ハルちゃん。
遠い遠い遠い所から、兄様の為に来てくれた。
こんなに嬉しい事はないわ!
知らず涙が出て、ハルちゃんは心配してくれて、笑顔を見せてくれたのよ。
その笑顔の可愛い事可愛い事。
きっと兄様は、メロメロよね。
私の事は「ヴィーって呼んで!」そう言うと、ヴィーちゃんと呼んでくれたわ!
はぁぁぁぁ、もうもう可愛いぃぃぃぃ!
ずっと見ていられるわ!
手を握って見つめてると、セバスに、穴があきますよって、うるさいわ!
だから、私は、ハルちゃんにピアノを弾いて欲しいってお願いしたわ。
まぁぁぁ、何て素敵なの?
これでも、一応皇妃となるので、皇妃教育を受けて来たけど、こんなに素敵なピアノ演奏は聴いた事はなかったわ!
この皇国にはない曲だったけど、胸が暖かくなって、泣かずにはいられなかったわ
ハルちゃんに、抱きついて感動と感謝を伝えていたら、肩に手を置かれてそちらを見ると、父様と母様がいて、ビックリしてると、私を押し退けハルちゃんに2人して抱きついてたわ。
セバスに言われて、父様は渋々離れたけど、母様は離れない。
わかるわ!母様!うんうん!
レオが迎えに来るまでハルちゃんを堪能したわ。
誕生日には、必ず来るわ!
待っていて、ハルちゃん。
本当に良かった。
兄様の番がハルちゃんで。
兄様のあの蕩けきった顔見れば、分かるわ。溺愛してる事。
私が物心つく頃には、兄様の笑った顔なんて、見た事なかったわ。
いつも、冷ややかな顔して、眉間に皺を作ってたわ。
レオと私と話をする時には、少しだけ、ほんの少しだけ、表情が緩くなるけど、笑う事はなかった。
だから、あんな兄様の笑った顔を見れて本当に嬉しかった。
番を探して廻って、落胆し、諦めた兄様は、見てるこちらが辛かった。
番に執着した理由。
きっと、私とレオのせい、、、
そう。
私が産まれた時。
私が産まれた時、兄様はとても喜んでくれたらしい。
10歳も離れてるからか、可愛い可愛いと何度も顔を見に部屋に来たそうだ。
兄様がレオを連れて来た時、レオが私を抱っこした途端に涙を流しながら
「俺の番だ」
と、私を抱きしめたまま、動けなくなってしまった、そうだ。
それからは、屋敷中は大変な騒ぎになったそうだ。
両親から聞いた話だけど、レオはその日から変わったそうだ。
皇太子として、優秀だったが、さらに上を目指すように、雰囲気がガラリと変わったようで、それをいつも一緒にいた兄様はすぐに分かったようだって、だから兄様は、自分もそうなりたいと番を探し始めたようだと、聞いた。
それから、15年、兄様は探し続けたわ。
今年、私の16歳の誕生日にレオと結婚する事が決まってるから、それまでに見つけようとしたのね。
レオと私が安心出来るように。
でも、見つからず、諦めた。
そんな兄様の元に、ハルちゃんが、来た。
しかも、異世界から。
なんて、なんて、素晴らしいのかしら。
あぁ、神様ありがとうございます!
兄様、ハルちゃん、幸せに・・・
永遠に共に生きて。
2人共、愛してるわ。
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