[完結][番外編更新中]氷の騎士は、異世界から来た運命の番を溺愛する。

りさあゆ

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   [閑話]
     とある使用人の呟き

 サーヴァント公爵家

 その日は、朝からなにやらバタバタと、忙しくしてて、どうしたのか聞こうと、忙しく動いていた、先輩を捕まえて聞いてみた。
 まだあなた達には、連絡は入ってないようね。旦那様の番様が見つかったそうなのよ。それが、まだ何もわからないのだけど
番様には、間違いないそうだから、今から話があると思うわ。
 そう聞いて、ちょっと驚きすぎてどうしたらいいのか、オロオロしてると、同僚から声を掛けられて、使用人部屋に集まるようにと、告げられ急いで向かった。

 家政長のマリアンヌ様から、旦那様の番様が見つかったと、今は侍医のトーマス様に診察を受けているとの事。
 周りを見ると、信じられない顔をしてるもの、良かったと安堵するものと、様々だった。
 私は、この屋敷で使用人として働き始めてから、5年で旦那様が番様を探していた事は知っていた。
 そして、旦那様が当主になり、屋敷に帰ってこられる様になったが、使用人の中には、旦那様はもう諦められたのかも知れないな。なんて言ってる者もいた。
 旦那様は、とても見目麗しいし、強い。
いつも、眉間に皺が寄り厳しい顔をしていて、近くによれば凍ってしまいそうになるくらい怖さがある。
 セバス様や、トーマス様は普通にお話されてて凄いなと思っていた。

 その旦那様の番様が見つかった!
私は、嬉しかった。あの氷を溶かす方がいらっしゃると。張り切ってお世話してあげたいと、もし、性格が悪かろうと、傲慢な方だろうが、かまいません。
 手を握り締めるのだった。

 だけど、そんな覚悟は泡と消えたのだった。
 使用人が集められて、ハル様を紹介された。
 番様はハル様とおっしゃるそうです。
そして、とてもとても綺麗で可愛らしい方でした。
 旦那様に屋敷を案内してもらっていたハル様。旦那様に抱かれて恥ずかしそうにしながらも楽しそうで、こちらも嬉しくてなってしまいます。
 厨房に寄られた時にも、笑顔で感謝をおっしゃられて、料理長始め皆が固まっておりました。

 なんて優しい方だろうと、使用人達の間では、ハル様の人気は上がるばかりです。

 そしてそして、ピアノです!!

 もう、もう、素晴らしい!
 こっそり見るつもりがあまりの素晴らしさに私を始め、ほとんどの人がホールに集まっていました。
 今日だけは、セバス様のお小言はないようです。うっとりと聞き惚れてしまいました。
 
 私達は、旦那様とハル様の会話を耳を澄まして聴くと、なんと、あんな幼く見えて18歳!しかも3日後にはお誕生日ですと!
 これは、盛大に行われるであろう事が予想されて、俄然私達はお役に立てるように頑張らなけばいけませんね。
 セバス様に向けて皆で頷く。

 そんな気持ちで改めて、旦那様と、ハル様の方を見ると、なんという事でしょう。

 一枚の絵を見ているような、本当に素晴らしい光景でした。
 椅子に座っているハル様に旦那様が膝をつき、両手でハル様の頬を包み口付けを落としておられて、胸の前に手を組み祈りを捧げたいくらいの素晴らしい光景でございました。
 それからは拍手喝采です!!!

 本当に旦那様にハル様が現れてくださって良かった。
 旦那様の氷も溶けて、甘い雰囲気が屋敷中に溢れて、使用人達は幸福を噛み締めるのだった。
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