[完結][番外編更新中]氷の騎士は、異世界から来た運命の番を溺愛する。

りさあゆ

文字の大きさ
上 下
17 / 85

17

しおりを挟む
       
        ハル

 今日は、ジークに屋敷内を案内してもらうんだ。
 楽しみ!
 だって、このお屋敷すっごく広くて綺麗なんだよ。
 お部屋の数もちょっと見ただけだけど、いっぱいあって、お庭もすっごく綺麗。
 両親が生きてる時に、一緒に海外を回って、海外の色々な建物や庭園を見たけど、このお屋敷は、それら以上に豪華だ。
 まだ外に出てないから、この世界はどんなのだろうと、すっごくワクワクする。

 そして、僕はジークと手を繋いでお屋敷を見て歩いてるんだけど、もう本当に広くて、ちょっと僕の体力が持たない。
 情け無い事に、ジークに抱っこされてます。子供の様に立て抱っこですね。はい。
 もちろんジークは、とってもいい笑顔で、「ハル、軽すぎる。もっと食べてね。」ってほっぺにチュウしまくる。
 立て抱っこに僕がジークの首に両手を回してるから、顔が近いんだよ。
 もう、恥ずかしい・・・
 しかも、カッコいいから困る。
 周りの人達の生暖かい空気が・・・・

 後ろを向くと、トーマスさんが苦笑しながら着いて来ていて、セシルが頬を赤らめながら微笑んでる。

 すみません。バカップルで。
 恥ずかしいけど、嬉しいんだ。
 もちろんヴォルフも付いて来てるよ。

 本当に凄いんだ。
 もうなんて言っていいのか分からないくらい。語彙力がなさすぎて、「凄い」しか出てこない。
 厨房なんかは、ただただ広くて何人の人が働いているの?って聞くと、「30人くらい?」って。
 そこの、料理長さんが
 「お初にお目にかかります。料理長をしております、ジェロームと申します。ハル様、お料理はお口に合いましたでしょうか?」
 と、挨拶をしてくれたので、ジークに下ろしてもらって

 「初めまして、ハルです。料理とっても美味しかったです。ありがとうございます。」
 て、お礼を言ったら、料理長さんは、ビックリした顔をして
 「そんな、お礼なぞっ!」
 て言いながら、ワタワタしてて、それがおかしくて、ニコニコしてたら、皆がピキリと固まってて、ん?どうしたの?ってジークを見ると、ジークはそのまま又僕を抱っこして、「ハルは可愛いいからな」ってスタスタと厨房を出ようとするので、僕は慌てて料理長さんや皆に手を振った。

 それから、今度は広い広いホールに着いた。ここは、ダンスホールみたいで、凄い煌びやかだ。大きな窓からは綺麗な庭園が見えてキラキラしてる。
 僕は、ぐるりと見渡すと、ある所から目が離せなくなった。

 「ハル、ハル、どうした?どこか痛いのか?」
 ジークの慌てた声にも反応出来なくて、
ただただ僕の目からは涙が止まらない。

 ジークは近くのソファに座り、僕を強く抱きしめてくれた。
 抱きしめながら、背中をポンポンと、優しく叩きながら、すぐにセシルが持って来たのだろう、タオルで涙を拭いてくれる。

 「・・・あ、ありがとうジーク。ごめんね。」
 涙目になりながら、ジークにあやまる。
「謝らなくていいんだよ。どうした?何か辛い事でも思い出したか?」
 こんな時でも優しいジークに嬉しくなる

 「うん、辛くもあるけど、嬉しくもあるんだ。あれ。」

 僕が指差している所を見たジークは、

 「ん?ピアノか?」

 「うん、僕、ピアノがあるのが嬉しくて。あっちの世界でね、僕のピアノが捨てられて・・・辛くて、もうピアノを弾くことは、出来ないのかな?って諦めてたから、、、だから、この世界にピアノがある事が本当に嬉しい。」

 ポロリと涙が頬を伝う。
 それをジークが優しく拭いてくれる。

 「そうだったんだな。もうここではそんな辛い思いはさせないからな。」

 トーマスさんから、何かを渡されて、それをジークが僕の手のひらに置く。

 「ピアノの鍵だ。これはハルの物だ。好きな時に好きなだけ弾くといい。」

 そう言って鍵をくれた。
 「いいの?」
 ジークは笑顔でいいよって、俺の為に何か弾いて欲しいな。
 なんて言うから、僕の涙腺はまたも崩壊した。

 
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?

下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。 そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。 アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。 公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。 アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。 一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。 これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。 小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

転生したら魔王の息子だった。しかも出来損ないの方の…

月乃
BL
あぁ、やっとあの地獄から抜け出せた… 転生したと気づいてそう思った。 今世は周りの人も優しく友達もできた。 それもこれも弟があの日動いてくれたからだ。 前世と違ってとても優しく、俺のことを大切にしてくれる弟。 前世と違って…?いいや、前世はひとりぼっちだった。仲良くなれたと思ったらいつの間にかいなくなってしまった。俺に近づいたら消える、そんな噂がたって近づいてくる人は誰もいなかった。 しかも、両親は高校生の頃に亡くなっていた。 俺はこの幸せをなくならせたくない。 そう思っていた…

BLゲームのモブに転生したので壁になろうと思います

BL
前世の記憶を持ったまま異世界に転生! しかも転生先が前世で死ぬ直前に買ったBLゲームの世界で....!? モブだったので安心して壁になろうとしたのだが....? ゆっくり更新です。

勇者召喚に巻き込まれて追放されたのに、どうして王子のお前がついてくる。

イコ
BL
魔族と戦争を繰り広げている王国は、人材不足のために勇者召喚を行なった。 力ある勇者たちは優遇され、巻き込まれた主人公は追放される。 だが、そんな主人公に優しく声をかけてくれたのは、召喚した側の第五王子様だった。 イケメンの王子様の領地で一緒に領地経営? えっ、男女どっちでも結婚ができる? 頼りになる俺を手放したくないから結婚してほしい? 俺、男と結婚するのか?

【完結】選ばれない僕の生きる道

谷絵 ちぐり
BL
三度、婚約解消された僕。 選ばれない僕が幸せを選ぶ話。 ※地名などは架空(と作者が思ってる)のものです ※設定は独自のものです

国を救った英雄と一つ屋根の下とか聞いてない!

古森きり
BL
第8回BL小説大賞、奨励賞ありがとうございます! 7/15よりレンタル切り替えとなります。 紙書籍版もよろしくお願いします! 妾の子であり、『Ω型』として生まれてきて風当たりが強く、居心地の悪い思いをして生きてきた第五王子のシオン。 成人年齢である十八歳の誕生日に王位継承権を破棄して、王都で念願の冒険者酒場宿を開店させた! これからはお城に呼び出されていびられる事もない、幸せな生活が待っている……はずだった。 「なんで国の英雄と一緒に酒場宿をやらなきゃいけないの!」 「それはもちろん『Ω型』のシオン様お一人で生活出来るはずもない、と国王陛下よりお世話を仰せつかったからです」 「んもおおおっ!」 どうなる、俺の一人暮らし! いや、従業員もいるから元々一人暮らしじゃないけど! ※読み直しナッシング書き溜め。 ※飛び飛びで書いてるから矛盾点とか出ても見逃して欲しい。  

処理中です...