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しおりを挟むハル
ジークから、この国の事やジークの仕事、色々な話を聞いて本当に日本ではなく異世界なんだと、わかった。
皇帝陛下がいて、ジークはその次に偉い人?公爵様なんだって。凄いね。
そんな偉い人なのに、全然偉そうにしてないし優しいよね。
この異世界は、向こうの世界でいえば、イギリス?とかかな?
まだ、この屋敷の中しかわからないけど、早く外に出て街に行ってみたいな。
明日は、屋敷の中を案内してくれんだって!今から楽しみ。
それでね、どうして皆僕に優しくしてくれんだって聞いたら、僕は、ジークの番なんだって!そう聞いた時は本当に本当にビックリしたんだ。
だって「運命の番」だよ。
オメガとして生きてきて、出会えたらいいなぁくらいは思った事はあったけど、まさかまさか、異世界に来て、しかもこんなに、かっこよくて、優しい人が僕の番だなんて。
でもね、なんかストンって納得したんだ。
側に居ると、胸がぽかぽかして、側に居ないと寂しくて、あの紫色の瞳で見つめられると、嬉しくて泣きたくなる。
そう、もう大好き!って心がたまらなくなるんだ。
ジークは、「出会った瞬間から愛しくてたまらない」って言われて、恥ずかしかったけど、凄く嬉しかったんだ。
それでも、いつまでもお世話になりっぱなしにはいかないよね?
って言ったら、ジークも皆も驚いた顔で
「ハルは、何もしなくてもいいんだよ。ただ俺の側に居てくれるだけで。」
何もしなくてもいいって、周りの皆も、
うんうんと頷いてるけど、えっ嫌ですよ。
この世界に音楽なるものがあるのか、ピアノという存在があるまだ分からないけど、何かお仕事が出来ればいいなぁ。
なんて考えてると、セバスさんが、
「ハル様は、ジークバルト様の伴侶となるお方です。お仕事、そうですね、色々学ぶべき事柄は多き事と思いますが、まずは、この国、この公爵家の事や領地もございますから、それらを知って頂く事もハル様のお仕事と思って頂けると、良いかと思いますが。」
そっか、番ならそうだよね。
「ハルが嫌なら何もしなくても大丈夫、無理をさせるつもりはないし、俺の側にいてくれるだけでいいんだ。」
なんて言って、僕のこと抱きしめるから、トーマスさんが、「誰だ?これ?本当にジークなのか?あの、笑わない騎士様か?」
笑わない騎士様って?
ジークの事?えっジーク、初めて会った時や、今でも笑ってるけど?
「ハル様に、会ってからだよ。それまでは、まぁニコリともしなかったからな。」
トーマスさんがそう言えば、
「そうなの?」
僕がジークに聞くと、
「あぁ、まぁな。特に意識はしてなかったんだが。もう俺には番がいないって諦めていたからかもしれないな。ただ淡々と日々を過ごして楽しい事もなかったし、仕事をしている時には、考える暇もなかったしな。でもハルに会えた。きっとハルは、俺の為にこの世界に来てくれたんだ。ありがとうハル。」
ジークが、うっすら涙目になりながら、
僕の目尻をそっと撫でた。
知らないうちに僕の目から、涙が出てたみたい。
僕は、ジークに会う為にこちらの世界に来たんだ。そう思うと、あの時
「お父さんとお母さんの所へ行きたい。」
って願った。その時光に包まれてこちらの世界に来た。きっとお父さんお母さんが助けてくれたんだね。
ジークと幸せになりなさい。って
ありがとう。お父さんお母さん。
僕に何が出来るかまだわからないけど、この世界で頑張ってみるよ。
だから、天国から見守っててね。
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