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毎日、幸せだ。
蓮が可愛い…本当に可愛い。
優しくて、素直で、でも、真面目。
そして、とびきり可愛い!!
何をどうしたって可愛らしいんだ。
そして、花をアレンジしたりすることの、センスが抜群だ。
これは、本当に凄い。
社内の、至る所に花が飾ってある。
社員達の評判は、すこぶる良い。
得意先やらが、会社に訪問する度に、
「これは、有名なアーティストに頼んでいるんですか?」
「凄く素敵ですね。紹介して貰えませんか?」
などなど、まぁ誤魔化すのが、大変だ。
店の方ではどうなのか、一度叔父さんに聞いてみた。
「蓮が作る花束は、凄く評判はいいですけどね。よく、SNSに上げてもいいですかと言われるんですが、花屋の名前は、上げないで下さいと、お願いしてるんですよ。」
「なぜ?」
「まぁ、蓮の為。ですかね?もう、何年か前なんですが、蓮の作る花束が話題になったんですが、、、どこからか、蓮の虐待の話が出て来たんです。やっぱり人って、そう言うの気にする人もいるじゃないですかその話を蓮が聞いてしまったんです。蓮は「叔父さん、僕は花束を作ったら、駄目なのかなぁ?」なんて言うんです。私は、そんな馬鹿な事ある訳ないだろう?と、だから、本当に蓮の作る花束が好きな人だけに花束を作らせるようにしたんです。」
「そうだったんですか。。」
全く、本当に嫌になる。
蓮の事を何も知らない奴に。
蓮は、強いな。
虐待がなんだ!蓮が悪い訳じゃないだろ?被害者だ!それでも、お父さんを助けようとする。
だから、蓮は、自分に自信がない。
あんなに綺麗で可愛いのに。
社内の皆は、蓮にメロメロだぞ!
あの、強面の大沢常務でさえ、
「蓮君は、可愛いな。」
なんて、俺の前で言いやがる。
俺の蓮だ!!て、叫びたかった。
そこは、まぁ、大人気ないと、自重したが
ともかく、これからは、蓮を愛でて愛で倒す!
そして、自身を持たせてやる。
俺に愛されて、幸せにしてやる。
そんな事を考えながら、今日の仕事を終えた。
蓮に連絡をしようと、携帯を手に取ると、同時に着信音が鳴った。
画面を見ると、蓮の叔父さんだ。
俺は、急いで電話に出る。
「蓮が!蓮が義兄さんに、連れて行かれました!すぐに来てもらえますか?!」
「すぐに向かいます!蓮の家の方ですね」
電話を切ると、すぐに橘を呼ぶ。
「蓮が、お父さんに連れて行かれたらしいすぐに向かうぞ!」
「なっ!わ、わかりました。社長!警察へは、どうしましょうか?」
「そうだな、とりあえず、先に蓮の所へ行って様子をみてから、連絡しよう。」
橘も、一緒に行くと言うので、2人で蓮の家に向かう。
蓮の家の前で叔父さんに合う。
「ああ!要さん!ありがとうございます多分蓮は、ここです!」
「蹴破ります!」
「はい!お願いします!」
俺は、思いっきり扉を蹴破る。
すぐに中に入って蓮を探す。
「蓮!れーん!どこだ!」
部屋中を探して、見つけた。
何て事だ。
台所に座り込み、包丁を持ち自身の首筋に当てて、ガタガタ震えてる蓮がいた。
俺は、心臓が壊れてしまいそうだ。
ゆっくり蓮に近づく。
「いた、蓮……蓮、もう、大丈夫だよ。」
そう声をかけ、蓮の手から包丁を離す。
蓮は、俺を見て、笑う。
涙が流れ落ちて、笑う蓮が、儚くて、綺麗で、消えてしまいそうだった。
俺は、消えてしまいそうな蓮を抱きしめる
あぁ、ちゃんと腕の中にいる。
「蓮、蓮。怖かったね。俺と一緒に帰ろう。ん?」
小さく頷く。
(なんて事を……この子をここまで、追い詰めるなんて。俺には想像もつかないくらい辛かったんだろう。蓮……君を失いたくない。愛してる。一緒に帰ろう。蓮が安心して生きれるように。)
叔父さんが蓮に説明しているが、蓮はどこか呆然としてて、それでも叔父さんの言う事を理解しているみたいだ。
俺は、蓮を離したくなくて、橘に車を運転させて、俺の家に向かわせた。
「社長、蓮君は?」
「あぁ、今寝てる。大丈夫だ。」
「良かった。警察には、大事にしないように、伝えました。なので、蓮君のお父さんは、病院の方に入れるように手配しておきました。」
「ありがとう。助かる。」
「いえ、明日はお休みして下さい。」
「いいのか?」
「えぇ、一日だけですけどね。」
「あぁ、すまない。」
「いえ、蓮君の為です。」
「ふっ、そうだな。蓮の為だな。」
そんな話をしてると、俺の住むマンションに着く。
蓮を抱き抱えたまま、部屋に入る。
蓮をベッドに、そっと寝かせてやる。
俺は、暖かいタオルを準備して、蓮の顔や手を拭いてやる。
目を離したくないから、俺もそのまま蓮を抱え込んで横になる。
蓮は、寝てる時、何度も
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
て言うから、その度に蓮の背中を撫でながら
「大丈夫、大丈夫だよ。」
そう言ってやると、スーッと寝息が聞こえる。
その度に俺の目から涙が落ちていく。
もう、絶対にこんな思いはさせない。
これから、蓮が笑顔で幸せでありますように。と俺が必ず蓮を幸せにしてやると、新たに、心に誓った。
蓮の目が覚めたら、伝えたい事があるんだよ。
だから、今は俺の腕の中でゆっくりお休み
愛してるよ。蓮。
俺の蓮。
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