上 下
5 / 30

5

しおりを挟む


       5、蓮

 「いらっしゃいませ!」
と、いつものように、元気に来店されたお客様に挨拶する。

「やぁ、こんにちは。この前はありがとう
ございました。」
そのお客様は、僕の顔を見てそう言った。
僕は(誰だっけ?)と思いながら、そのお客様を見上げる。

うわぁぁ背が高いなぁー!
しかも、凄くカッコいいな!
凄い!同じ人間とは思えないくらい美形だ
見惚れるとは、こういう事かな。
その人は、僕を見て微笑みを浮かべているけど、どこであった人かな?
お客様なら、覚えてるし。
ん?
「この間、助けてもらったんだけど、覚えてないかな?ほら!オムライス食べさせてもらったんだけど?」
「あっ!あぁぁ、あの時の人!」
「そう。覚えててくれて良かった。」
「はい。覚えてます。その後体調は良くなりましたか?」
「ハハッ大丈夫だ。この通りぴんぴんしてるよ。本当にあの時は、ありがとう。」
「いえいえ、そんなっ!お礼を言われるような事なないですから!」
「いや、お礼をしたいんだ。あ、そうだこれ。お店の人と一緒に食べてね。」
と、その人は、とても綺麗な包装紙に包まれてる箱を僕に差し出して来たんだけど、
「いや、いやいや、そんな、受け取れません!」
「んー困ったな?君は甘い物は好き?」
「は、はい。好きです。」
「ん、じゃあ、あの時オムライス凄く美味しかったから、それと交換ね!」
「えぇぇーあれは……」
僕がモゴモゴ言い訳を探していたら、叔父さんが、
「蓮、貰ってあげなさい。あの方の好意だからね。」
「は、はい。ありがとうございます。」
と、僕は、その人から包みを受け取る。
叔父さんも一緒にお礼を言ってくれた。

すると、その人は、
「それと、ここからは仕事の依頼何だがいいだろうか?」
「えっ?は、はい。大丈夫です。どう言った依頼でしょうか?」
「あのね、この道の先にある、一条ビルってわかるかな?」
「はい。わかります。」
「良かった。私は、そこで働いているんだけどね。そこに花を配達してくれないだろうか?」
「はい。大丈夫です。」
「良かった。それでは朝の9時に受付に来てくれるかな?」
「はい。9時に受付ですね。」
「うん、それとね。花は君が選んで持って来て欲しいんだ。」
「僕がですか?」
「そう。それで、その花を部屋に飾って欲しいんだけど、いいかな?」
「はい。大丈夫です。」
「ありがとう。それでは、明日9時に受付に申し送りしておくから。あっ!そうだ私の名前は[要]って言うんだけど、そう伝えてくれればわかるから。君の名前は聞いてもいいかな?」
「あっ!はい。僕は、[佐倉蓮]です。要さんですね?かしこまりました。明日お届けに参ります。」
「蓮くんか。よろしくね。それでは明日」

そう言って、要さんは叔父さんにも挨拶をしてお店を出て行った。
僕は、「ありがとうございました。」と、要さんの背中を見送った。


あの時のあの人、要さんって言うんだ。
凄くカッコいい人だったなぁ。
スーツが似合うし、優しそうだし、凄く頭が良さそうだ。
僕とは、生きてる世界が違う人だな。
なんて、ぼぅーとしてると、叔父さんが
「蓮、良かったな。元気になったみたいだな?それと、何故かお金はいくらかかってもいいらしいぞ!」
「えっ?どうして?」
「いや、よくわからないが、まぁ、明日蓮が聞いてみるといい。」
「うん、そうする。どんな部屋に飾る花なんだろうね。それに寄って色々変わってくるよね?明日は、無難な花にして見ようそれ以降は、部屋をみてから決めよう!そうした方がいいよね?叔父さん。」
「あぁ、そうだな。蓮の好きなようにするといいよ。」

叔父さんがそう言ってくれたから、僕の頭の中は、どんな花がいいかで、一杯になっていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

恋人に浮気をされたので 相手諸共ボコボコにしようと思います

こすもす
BL
俺が大好きな筈の彼に、なぜか浮気をされて……? 静瑠(しずる)と春(はる)は付き合って一年。 順調に交際しているつもりだったある日、春の浮気が発覚する。 浮気相手も呼んで三人で話し合いになるが「こうなったことに心当たりはないのか」と言われてしまい…… 健気なワンコ(25)×口の悪いツンデレ(29) ☆表紙はフリー素材をお借りしました ☆全体的にギャグですので、軽い気持ちで読んでくださいませ¨̮ ¨̮ ¨̮

【BL】【完結】神様が人生をやり直しさせてくれるというので妹を庇って火傷を負ったら、やり直し前は存在しなかったヤンデレな弟に幽閉された

まほりろ
BL
八歳のとき三つ下の妹が俺を庇って熱湯をかぶり全身に火傷を負った。その日から妹は包帯をぐるぐるに巻かれ車椅子生活、継母は俺を虐待、父は継母に暴力をふるい外に愛人を作り家に寄り付かなくなった。 神様が人生をやり直しさせてくれるというので過去に戻ったら、妹が俺を庇って火傷をする寸前で……やり直すってよりによってここから?! やり直し前はいなかったヤンデレな弟に溺愛され、幽閉されるお話です。 無理やりな描写があります。弟×兄の近親相姦です。美少年×美青年。 全七話、最終話まで予約投稿済みです。バッドエンド(メリバ?)です、ご注意ください。 ムーンライトノベルズとpixivにも投稿しております。 「Copyright(C)2020-九十九沢まほろ」 表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。

Take On Me

マン太
BL
 親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。  初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。  岳とも次第に打ち解ける様になり…。    軽いノリのお話しを目指しています。  ※BLに分類していますが軽めです。  ※他サイトへも掲載しています。

花を愛でる獅子【本編完結】

千環
BL
父子家庭で少し貧しい暮らしだけれど普通の大学生だった花月(かづき)。唯一の肉親である父親が事故で亡くなってすぐ、多額の借金があると借金取りに詰め寄られる。 そこに突然知らない男がやってきて、借金を肩代わりすると言って連れて行かれ、一緒に暮らすことになる。 ※本編完結いたしました。 今は番外編を更新しております。 結城×花月だけでなく、鳴海×真守、山下×風見の番外編もあります。 楽しんでいただければ幸いです。

好きなあいつの嫉妬がすごい

カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。 ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。 教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。 「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」 ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」

人が消えた世界で

赤牙
BL
半獣人と人の戦いが始まり数年…。 人は半獣人との戦いに負け、世界は半獣人の王により統一される。 世界を支配した半獣人だったが半獣人の子に『凶獣化』という謎の症状が現れ、子ども達は理性のないただの獣になってしまう。 なかなか治療法が見つからないなか不幸な事件をきっかけに凶獣化を抑える方法が見つかる。 方法は『人の血を摂取する』 それにより始まる半獣人による人狩り。 人は半獣人から隠れるように生活を始める。 数十年後…徐々に数を減らした『人』は今では森の奥深くで小さな集落を築きひっそりと生活をしている。 人に生まれたハイルは父と二人で小さな村で暮らしていたが村の近くで半獣人を見かけたという情報が入り村人達は散り散りに森の中へと身を隠す。 ハイル親子も身を隠し生活するが、ハイルが一人で狩りを行なっている時に半獣人に拐われ売られてしまう。 売られた先は半獣人の魔導士。 それからハイルに待っていたのは凶獣化を抑える為の道具としての生活だった…。 凶獣化した半獣人の青年×生き残った人間の少年 ✳︎流血表現多々あります ✳︎更新は不定期です。 ✳︎R18ですがエロ少なめ…多分きっと。Rっぽいところには【✳︎】マーク入れます! 更新はのんびりまったりだと思います…m(__)m

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。

しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。 基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。 一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。 それでも宜しければどうぞ。

再会は甘い始まり~浮気された俺は同級生からの溺愛に癒されてます

syouki
BL
「嘘だろ……」 出張から自宅であるマンションに戻ったら、合鍵を渡していた彼女が寝室で知らない男とSEXの真っ最中だった。俺に気付くこともなく快楽に耽っている彼女。その甘ったるい声が気持ち悪くて、俺はキャリーケースを持ったまま部屋を出た。行きつけのバーに入り、一人酒を煽った。……翌朝、見知らぬ部屋で目が覚めた俺。隣には……。 ※見直しはしていますが、誤字・脱字等、ご容赦ください。 ※語彙力が少ないため、表現が分かりにくいかと思います。寛大な気持ちで読んでください。 ※設定はかなりゆるゆるです。ご都合主義な所もあります。 ※徐々にエロが多くなる予定です。 ※BL小説大賞エントリーしました。よろしければお願い致します<(_ _)>

処理中です...