3 / 4
はじめまして異世界2
しおりを挟む
朱音曰く
ゴブリンとは緑色をした悪意を持った妖精。大きさは幼子くらい。個体としての戦闘力は高くないが、群れで行動し、人の落とした道具や武器を使える。賢く、ずるく、罠を張るなど弱い割に危険なモンスター。らしい。
って、俺が聞きたいのはゴブリンの特徴ではない。ゴブリンといえば物語やゲームに出てくるスライムの次に有名と言ってもいいモンスター。あまりゲームを遊んでこなかった俺でもわかる。
「あ、あの、ゴブリンって空想の生き物なんじゃ?」
「何を言ってるんだ、ゴブリンなんて街の外に出てちょっと歩けばどこにでもいるじゃないかって、そっか、香奈は外に出たことないんだよね。」
「そ、そうです、はい。」
「でも空想の生き物って思ってたってどういうことだろ。その存在すら知らない方がピンとくるんだけど、なんか知ってるみたいな口ぶりなんだよなぁ。」
言い回しが独特でわかりにくいが言ってることは的を得ているような気がする。
「気、気にしないでください、まだちょっと混乱してるだけなので。」
「そっか、今日はこれから検査あるみたいだし、私はこの辺で退散しようかな。今度は一緒にゴブリン太地でも行こうね!」
そう言って朱音は病室を出て行き、それと入れ替わるように昨日の医師が病室に入ってきた。
「香奈さん、これから検査したいのですが大丈夫ですか?」
「はい。何するんでしょうか。」
「ベッドに横になってもらうだけなので大丈夫ですよ。じゃあ、ちょっと部屋移動するのでゆっくりでいいので立ち上がれますか?」
と、医師に言われたので立ち上がろうとしてみる。15年寝たきりだった上に、0歳だったこともあり、歩くのが初めての俺は筋力面などが心配だったかが、普通に立ち上がることができた。
「御、お父さん、香奈が香奈がたった!」
「ああ。娘がとうとう立ち上がった...この日をどんなに夢見たことか。」
俺からしたらとてもとても大袈裟なことだ。大袈裟すぎだよバカどもと言おうと思ったがやめた。口が悪過ぎると思ったし、この2人からしたら初めて本当に初めて娘が立ち上がったのだ。奇跡を目の当たりにしたようなことだろう。
「こちらです。」
医師に案内されて入った部屋はベッドしかない不思議な部屋だった。
「ここに、頭をこっちにして寝転がってください。」
医師に言われたとおりにする。
医師の先生が何かぶつぶつ言い、3分くらいで検査は終わり、自室に返された。
「検査の結果、異常は見られませんでした。ただ、この子はとても不思議です。意識のなかったときのことを覚えているのかも知れません。」
確かに寝たきりだった俺が人語を急にペラペラ喋ったり、寝たきりで歩いたことないのに急に歩き出したりしたらそりゃ不安にもなる。
特にいい言い訳を思いつくこともなかったのでスルーすることにし、俺は平和な街を見下ろす。検査から部屋に戻ってきて気づいたのだが、この部屋の窓から外を見ると街の全容が見渡すことができる。ボーッとして窓の外を見ようとしたことで気がついた。
外を見ていると、人にしては小さく、やけに多い集団が街に入ってくるのが見えた。その近くには遊んでいる少年たちがいて、何か嫌な予感がした。さっき朱音の言っていたゴブリンにどことなく似ていたのだ。何ができるでもないが行くべきだと思った俺は、部屋を出て急ぎ足で外に向かった。
ゴブリンとは緑色をした悪意を持った妖精。大きさは幼子くらい。個体としての戦闘力は高くないが、群れで行動し、人の落とした道具や武器を使える。賢く、ずるく、罠を張るなど弱い割に危険なモンスター。らしい。
って、俺が聞きたいのはゴブリンの特徴ではない。ゴブリンといえば物語やゲームに出てくるスライムの次に有名と言ってもいいモンスター。あまりゲームを遊んでこなかった俺でもわかる。
「あ、あの、ゴブリンって空想の生き物なんじゃ?」
「何を言ってるんだ、ゴブリンなんて街の外に出てちょっと歩けばどこにでもいるじゃないかって、そっか、香奈は外に出たことないんだよね。」
「そ、そうです、はい。」
「でも空想の生き物って思ってたってどういうことだろ。その存在すら知らない方がピンとくるんだけど、なんか知ってるみたいな口ぶりなんだよなぁ。」
言い回しが独特でわかりにくいが言ってることは的を得ているような気がする。
「気、気にしないでください、まだちょっと混乱してるだけなので。」
「そっか、今日はこれから検査あるみたいだし、私はこの辺で退散しようかな。今度は一緒にゴブリン太地でも行こうね!」
そう言って朱音は病室を出て行き、それと入れ替わるように昨日の医師が病室に入ってきた。
「香奈さん、これから検査したいのですが大丈夫ですか?」
「はい。何するんでしょうか。」
「ベッドに横になってもらうだけなので大丈夫ですよ。じゃあ、ちょっと部屋移動するのでゆっくりでいいので立ち上がれますか?」
と、医師に言われたので立ち上がろうとしてみる。15年寝たきりだった上に、0歳だったこともあり、歩くのが初めての俺は筋力面などが心配だったかが、普通に立ち上がることができた。
「御、お父さん、香奈が香奈がたった!」
「ああ。娘がとうとう立ち上がった...この日をどんなに夢見たことか。」
俺からしたらとてもとても大袈裟なことだ。大袈裟すぎだよバカどもと言おうと思ったがやめた。口が悪過ぎると思ったし、この2人からしたら初めて本当に初めて娘が立ち上がったのだ。奇跡を目の当たりにしたようなことだろう。
「こちらです。」
医師に案内されて入った部屋はベッドしかない不思議な部屋だった。
「ここに、頭をこっちにして寝転がってください。」
医師に言われたとおりにする。
医師の先生が何かぶつぶつ言い、3分くらいで検査は終わり、自室に返された。
「検査の結果、異常は見られませんでした。ただ、この子はとても不思議です。意識のなかったときのことを覚えているのかも知れません。」
確かに寝たきりだった俺が人語を急にペラペラ喋ったり、寝たきりで歩いたことないのに急に歩き出したりしたらそりゃ不安にもなる。
特にいい言い訳を思いつくこともなかったのでスルーすることにし、俺は平和な街を見下ろす。検査から部屋に戻ってきて気づいたのだが、この部屋の窓から外を見ると街の全容が見渡すことができる。ボーッとして窓の外を見ようとしたことで気がついた。
外を見ていると、人にしては小さく、やけに多い集団が街に入ってくるのが見えた。その近くには遊んでいる少年たちがいて、何か嫌な予感がした。さっき朱音の言っていたゴブリンにどことなく似ていたのだ。何ができるでもないが行くべきだと思った俺は、部屋を出て急ぎ足で外に向かった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが集団お漏らしする話
赤髪命
大衆娯楽
※この作品は「校外学習の帰りに渋滞に巻き込まれた女子高生たちが小さな公園のトイレをみんなで使う話」のifバージョンとして、もっと渋滞がひどくトイレ休憩云々の前に高速道路上でバスが立ち往生していた場合を描く公式2次創作です。
前作との文体、文章量の違いはありますがその分キャラクターを濃く描いていくのでお楽しみ下さい。(評判が良ければ彼女たちの日常編もいずれ連載するかもです)
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
友人の結婚式で友人兄嫁がスピーチしてくれたのだけど修羅場だった
海林檎
恋愛
え·····こんな時代錯誤の家まだあったんだ····?
友人の家はまさに嫁は義実家の家政婦と言った風潮の生きた化石でガチで引いた上での修羅場展開になった話を書きます·····(((((´°ω°`*))))))
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる