110 / 127
本編
108.国王陛下と白豚王子の面会
しおりを挟む
貧民街に行く気にもなれず、僕はフラフラと離宮の自室へと戻っていた。
「……国王が……倒れた……」
半ば茫然自失な状態で呟きを零し、国王が倒れたのだと改めて実感して、僕は居ても立っても居られない気持ちになり、部屋の中をうろつき回ってしまう。
(とうとう、この時がきてしまった……ゲームでも、悪夢の記憶でも、国王は病に倒れ床に臥してしまう……そして、悪役である白豚王子の手で……そんなの、嫌だ! そんな事には絶対にならない! 僕はそんな事しないんだから!!)
悪夢の記憶が甦り、悪役の白豚王子が国王を殺害する恐ろしい場面が、僕の脳裏を過ぎる。
心を壊して泣き笑う白豚王子の声が脳内に響いて、僕は必死に悪夢の記憶を追い出そうと頭を振った。
(国王が心配で、不安で仕方ない……今すぐ駆けつけたくて堪らないのに……こんなんじゃ、会いになんて行けない。悪役の僕じゃ、怖くて会う事なんてできないよ……でも、心配で不安で仕方ない、どうしたら……)
僕が前世の記憶を思い出した日、誕生祭でバースデーアイスを食べてしまった一件以来、国王とは顔を合わせる事もなく過ごしてきた。
(ほとんど会った事もない、良い思い出なんて何一つないけど……それでも、国王は僕にとって唯一の肉親、父親なんだ……疎まれていても、嫌われていたとしても……僕は国王に生きていて欲しい……)
親子の情などかけて貰った事はないけど、それでも、僕は国王の健在を願わずにはいられなかった。
国王を案じ駆け付けたい衝動にかられても、僕にはどうする事もできなくて、只々焦燥感ばかりが募っていく。
そんな時、部屋の扉を叩くノックの音が聞こえて――
コンコン
――飛び出す勢いで僕が扉を開けると、そこには暗く沈んだ表情をするバニラ王子が立っていた。
バニラ王子は泣き腫らしたように目元を赤くして、ひどく掠れる声で告げる。
「父上が――国王陛下が病気で倒れ、床に臥してしまいました……もう、回復の見込みはなく、そう長くは持たないそうです……」
「……っ……」
予期していた事とは言え、未来が変わってきている影響で、国王の未来も変わっているかもしれないと、僅かな希望を抱いていた。
だが、そんな希望は無惨にも打ち砕かれ、悲惨な現実を突き付けられ、僕は言葉を失う。
茫然と立ち尽くす僕に、バニラ王子は更に国王からの言付けを告げる。
「それから、国王陛下がお呼びです。第一王子とお二人だけで話たい事があるそうです……」
「……え……僕と?」
一瞬、理解が追いつかず訊き返す僕に、バニラ王子はゆっくりと頷いて見せた。
僕は国王危篤の知らせを受け、正式に国王の主寝室へと呼び出されたのだ。
◆
王宮の最奥に位置する国王の主寝室。扉の前に立つ僕は息を呑んでいた。
「…………」
国王の要望からバニラ王子に同席を断られてしまい、僕は見送られて部屋の前まで来たものの、大きな扉を前にして立ち竦んでしまった。
(どうして、僕を呼び出したんだろう? 話ってなんなのかな? ……悪役の僕が国王の寝室に入ってしまって、本当に大丈夫なのかな? ……でも、やっぱり、一目だけでも会いたい。これを逃したら、二度と会えないかもしれないから……)
戸惑い躊躇いつつも僕は意を決し、扉を叩き声を張り上げる。
「国王陛下! お呼びと聞き、参りました。第一王子です……」
勇気を振り絞って僕が告げると、少し間を置いて部屋の中から声が聞こえる。
「…………入れ」
「し、失礼します」
僕はそっと扉を開けて、部屋の中へと足を踏み入れる。
上品で洗練された内装や調度品が目に留まり、悪夢で見た国王の部屋と同じに感じられ、僕は血の気が引く思いで部屋の中に入り立ち止まった。
奥にある大きなベッドの上には酷く衰弱し窶れた国王の姿があり、弱々しく横たわる国王は重たそうに瞼を上げ、僕に視線を向けて呟く。
「……近くへ……」
僕はおずおずと国王の方へ近付いていき、ベッドの脇に立つ。
近くで見れば尚の事、国王の痛々しく憔悴した姿がまざまざと感じられ、僕は胸が詰まった。
国王はおもむろに口を開き、途切れ途切れ呟くように話し始める。
「……もうすぐ、誕生祭だったな……お前も、もう18になるのか……」
「は、はい」
僕の歳を国王が把握している事が少し意外だったが、悪夢の記憶と同じく成人して直ぐに追い出すつもりでいたのだとすれば、腑に落ちてしまい、僕の胸はズキリと痛んだ。
「……バニラから、お前の話はよく聞いていた……貧民街を見事に治め、貧民や難民の世話をし、良くやっているのだと……」
バニラ王子と関わる事が増えていた影響で、国王から僕への印象も変わっていたのかもしれない。
少しは僕の頑張りも認められた気がして、それは凄く嬉しい事に思えた。
国王は虚ろな目で物思いに耽る表情をし、重たげな瞼を閉じて呟く。
「……市井では、ラズベリーと名乗っているそうだな……ラズベリーか……」
けれど、その時の僕にはもう、国王が何を話しているのか、理解できなくなっていた。
何故なら、部屋の奥にある壁から甘くて美味しそうなスイーツの匂いが強く香り、甘い匂いに僕の意識は支配されていたからだ。
(……なんて、美味しそうな匂い……甘くて美味しいスイーツの匂いだ……)
国王が話し続ける中、僕は強い匂いを放つ壁の方へとユラユラと歩いてしまう。
「……余は、もうそう長くは持たない……最後に一つ、お前に問う……」
国王の声は僕の耳には入っておらず、壁に飾られている豪華な装飾の施された――短剣を僕は手に取った。
(……美味しそう、美味しそうなスイーツ……食べたい、食べたい……)
短剣には色取り取りの美しい宝石が散りばめられ、鋭利な刀身はキラキラと眩く輝いていて、それがとてつもなく美味しそうに僕の目には映っていた。
我慢などできる筈もなく、甘く香る短剣の刀身に僕は舌を這わせて舐める。
(……ああ、美味しい、美味しすぎる……全部、食べたい、食べ尽くしたい……)
僕は全身が痺れる甘美な味わいに夢中になり、一心不乱に短剣を舐め続ける。
その間も、国王は何かを呟き続けていた――
「……お前は何を望む? ……お前が望むのならば……余の持つ全てを、お前に与える……立太子させ、次の王位に就かせる事もできる……自由を望むのならば……このまま、市井に下らせる事もできる……お前は、何を望む? ……」
――が、僕にはそんな国王の言葉を理解する事はできなかった。
短剣から味が感じられなくなり、僕はようやく意識を取り戻し始める。
(……え? 僕なんで短剣なんて舐めて……あれ、また甘い匂いがする……これは、この匂いは、国王の方からしてる? ……あ、駄目だ……また、意識が……)
しかし、意識が覚醒しきる前にまた甘い匂いを感じて、僕は短剣を握りしめたまま国王の方へとユラユラと歩いてしまう。
僕が近くまで歩いていくと、国王は閉ざしていた瞼を開き、僕を見据えて眉を顰め――
「……フラン……ボワーズ……」
――ひどく苦しそうな表情を浮かべ、僕の名前を呼んだ。
今世では初めて名前を呼ばれた筈なのに、悲しげに響くその声に、切なげに微笑むその表情に、僕は何故か覚えがある気がしてならなかった。
そう感じるのと同時に、抑えきれない衝動が湧き上がり、僕の意識はまた奪われていく。
(……ああ……美味しそう……食べたい……食べなきゃ……食べ尽くさなきゃ……)
僕は短剣を持ったままベッドへと乗り上げ、国王へと近付いて行く。
国王は逃げる事も、声を上げる事もせず、静かに横たわったまま、力なくその瞳を閉ざした。
ついに手の届く所まで、見下ろす所まで来た僕は、国王の放つ芳香を嗅いで――
ガンッ!
「……国王、陛下……」
――蒼白な国王の胸元に赤い鮮血が散る。
だらだらと血を滴らせ、僕は懸命に自分を抑えつけて叫んだ。
「……僕は、悪役なんかじゃない! 僕は、僕だ! フランボワーズだ!! ……」
国王の胸元を汚すのは、僕の鼻からだらだらと滴る血と、抑えられずに零れる唾液と、止めどなく溢れる涙だった。
血の気が無くひどく衰弱した国王は、弱々しい呼吸を繰り返すだけで、固く閉ざした瞼を開ける事はない。
叫び声を聞きつけて、部屋の扉を叩く者達の声が聞こえる。
「国王陛下? 大声が聞こえましたが、どうされました?」
「……国王陛下、失礼致します!」
返事が無い事を不審に思い、宰相とバニラ王子が部屋の扉を開け入ってくる。
「「!!?」」
血に濡れる国王と短剣を持つ僕を見て、二人は戦慄した。
「これは!? 近衛兵! 近衛兵! 直ちに白豚王子を捕らえよ!!」
「そ、そんな、まさか!? ……父上! 父上ー!!」
宰相が叫び声を上げ近衛兵が部屋へ雪崩れ込んできて、朦朧とする僕を国王から引き離し床へ押さえ付ける。
バニラ王子は意識の無い国王に駆け寄り、必死に声をかけ続けている。
大量の血を失い、僕は意識が薄れていく中で――
「王位の簒奪を狙い、白豚王子が国王陛下の殺害を謀った! 白豚王子は国家転覆を企てる反逆者だ! 直ちに白豚王子を投獄せよ!!」
――宰相の怒号が遠く響いて聞こえていた。
――白豚王子は国王暗殺を謀った大罪人として、投獄されてしまったのだ。――
◆
「……国王が……倒れた……」
半ば茫然自失な状態で呟きを零し、国王が倒れたのだと改めて実感して、僕は居ても立っても居られない気持ちになり、部屋の中をうろつき回ってしまう。
(とうとう、この時がきてしまった……ゲームでも、悪夢の記憶でも、国王は病に倒れ床に臥してしまう……そして、悪役である白豚王子の手で……そんなの、嫌だ! そんな事には絶対にならない! 僕はそんな事しないんだから!!)
悪夢の記憶が甦り、悪役の白豚王子が国王を殺害する恐ろしい場面が、僕の脳裏を過ぎる。
心を壊して泣き笑う白豚王子の声が脳内に響いて、僕は必死に悪夢の記憶を追い出そうと頭を振った。
(国王が心配で、不安で仕方ない……今すぐ駆けつけたくて堪らないのに……こんなんじゃ、会いになんて行けない。悪役の僕じゃ、怖くて会う事なんてできないよ……でも、心配で不安で仕方ない、どうしたら……)
僕が前世の記憶を思い出した日、誕生祭でバースデーアイスを食べてしまった一件以来、国王とは顔を合わせる事もなく過ごしてきた。
(ほとんど会った事もない、良い思い出なんて何一つないけど……それでも、国王は僕にとって唯一の肉親、父親なんだ……疎まれていても、嫌われていたとしても……僕は国王に生きていて欲しい……)
親子の情などかけて貰った事はないけど、それでも、僕は国王の健在を願わずにはいられなかった。
国王を案じ駆け付けたい衝動にかられても、僕にはどうする事もできなくて、只々焦燥感ばかりが募っていく。
そんな時、部屋の扉を叩くノックの音が聞こえて――
コンコン
――飛び出す勢いで僕が扉を開けると、そこには暗く沈んだ表情をするバニラ王子が立っていた。
バニラ王子は泣き腫らしたように目元を赤くして、ひどく掠れる声で告げる。
「父上が――国王陛下が病気で倒れ、床に臥してしまいました……もう、回復の見込みはなく、そう長くは持たないそうです……」
「……っ……」
予期していた事とは言え、未来が変わってきている影響で、国王の未来も変わっているかもしれないと、僅かな希望を抱いていた。
だが、そんな希望は無惨にも打ち砕かれ、悲惨な現実を突き付けられ、僕は言葉を失う。
茫然と立ち尽くす僕に、バニラ王子は更に国王からの言付けを告げる。
「それから、国王陛下がお呼びです。第一王子とお二人だけで話たい事があるそうです……」
「……え……僕と?」
一瞬、理解が追いつかず訊き返す僕に、バニラ王子はゆっくりと頷いて見せた。
僕は国王危篤の知らせを受け、正式に国王の主寝室へと呼び出されたのだ。
◆
王宮の最奥に位置する国王の主寝室。扉の前に立つ僕は息を呑んでいた。
「…………」
国王の要望からバニラ王子に同席を断られてしまい、僕は見送られて部屋の前まで来たものの、大きな扉を前にして立ち竦んでしまった。
(どうして、僕を呼び出したんだろう? 話ってなんなのかな? ……悪役の僕が国王の寝室に入ってしまって、本当に大丈夫なのかな? ……でも、やっぱり、一目だけでも会いたい。これを逃したら、二度と会えないかもしれないから……)
戸惑い躊躇いつつも僕は意を決し、扉を叩き声を張り上げる。
「国王陛下! お呼びと聞き、参りました。第一王子です……」
勇気を振り絞って僕が告げると、少し間を置いて部屋の中から声が聞こえる。
「…………入れ」
「し、失礼します」
僕はそっと扉を開けて、部屋の中へと足を踏み入れる。
上品で洗練された内装や調度品が目に留まり、悪夢で見た国王の部屋と同じに感じられ、僕は血の気が引く思いで部屋の中に入り立ち止まった。
奥にある大きなベッドの上には酷く衰弱し窶れた国王の姿があり、弱々しく横たわる国王は重たそうに瞼を上げ、僕に視線を向けて呟く。
「……近くへ……」
僕はおずおずと国王の方へ近付いていき、ベッドの脇に立つ。
近くで見れば尚の事、国王の痛々しく憔悴した姿がまざまざと感じられ、僕は胸が詰まった。
国王はおもむろに口を開き、途切れ途切れ呟くように話し始める。
「……もうすぐ、誕生祭だったな……お前も、もう18になるのか……」
「は、はい」
僕の歳を国王が把握している事が少し意外だったが、悪夢の記憶と同じく成人して直ぐに追い出すつもりでいたのだとすれば、腑に落ちてしまい、僕の胸はズキリと痛んだ。
「……バニラから、お前の話はよく聞いていた……貧民街を見事に治め、貧民や難民の世話をし、良くやっているのだと……」
バニラ王子と関わる事が増えていた影響で、国王から僕への印象も変わっていたのかもしれない。
少しは僕の頑張りも認められた気がして、それは凄く嬉しい事に思えた。
国王は虚ろな目で物思いに耽る表情をし、重たげな瞼を閉じて呟く。
「……市井では、ラズベリーと名乗っているそうだな……ラズベリーか……」
けれど、その時の僕にはもう、国王が何を話しているのか、理解できなくなっていた。
何故なら、部屋の奥にある壁から甘くて美味しそうなスイーツの匂いが強く香り、甘い匂いに僕の意識は支配されていたからだ。
(……なんて、美味しそうな匂い……甘くて美味しいスイーツの匂いだ……)
国王が話し続ける中、僕は強い匂いを放つ壁の方へとユラユラと歩いてしまう。
「……余は、もうそう長くは持たない……最後に一つ、お前に問う……」
国王の声は僕の耳には入っておらず、壁に飾られている豪華な装飾の施された――短剣を僕は手に取った。
(……美味しそう、美味しそうなスイーツ……食べたい、食べたい……)
短剣には色取り取りの美しい宝石が散りばめられ、鋭利な刀身はキラキラと眩く輝いていて、それがとてつもなく美味しそうに僕の目には映っていた。
我慢などできる筈もなく、甘く香る短剣の刀身に僕は舌を這わせて舐める。
(……ああ、美味しい、美味しすぎる……全部、食べたい、食べ尽くしたい……)
僕は全身が痺れる甘美な味わいに夢中になり、一心不乱に短剣を舐め続ける。
その間も、国王は何かを呟き続けていた――
「……お前は何を望む? ……お前が望むのならば……余の持つ全てを、お前に与える……立太子させ、次の王位に就かせる事もできる……自由を望むのならば……このまま、市井に下らせる事もできる……お前は、何を望む? ……」
――が、僕にはそんな国王の言葉を理解する事はできなかった。
短剣から味が感じられなくなり、僕はようやく意識を取り戻し始める。
(……え? 僕なんで短剣なんて舐めて……あれ、また甘い匂いがする……これは、この匂いは、国王の方からしてる? ……あ、駄目だ……また、意識が……)
しかし、意識が覚醒しきる前にまた甘い匂いを感じて、僕は短剣を握りしめたまま国王の方へとユラユラと歩いてしまう。
僕が近くまで歩いていくと、国王は閉ざしていた瞼を開き、僕を見据えて眉を顰め――
「……フラン……ボワーズ……」
――ひどく苦しそうな表情を浮かべ、僕の名前を呼んだ。
今世では初めて名前を呼ばれた筈なのに、悲しげに響くその声に、切なげに微笑むその表情に、僕は何故か覚えがある気がしてならなかった。
そう感じるのと同時に、抑えきれない衝動が湧き上がり、僕の意識はまた奪われていく。
(……ああ……美味しそう……食べたい……食べなきゃ……食べ尽くさなきゃ……)
僕は短剣を持ったままベッドへと乗り上げ、国王へと近付いて行く。
国王は逃げる事も、声を上げる事もせず、静かに横たわったまま、力なくその瞳を閉ざした。
ついに手の届く所まで、見下ろす所まで来た僕は、国王の放つ芳香を嗅いで――
ガンッ!
「……国王、陛下……」
――蒼白な国王の胸元に赤い鮮血が散る。
だらだらと血を滴らせ、僕は懸命に自分を抑えつけて叫んだ。
「……僕は、悪役なんかじゃない! 僕は、僕だ! フランボワーズだ!! ……」
国王の胸元を汚すのは、僕の鼻からだらだらと滴る血と、抑えられずに零れる唾液と、止めどなく溢れる涙だった。
血の気が無くひどく衰弱した国王は、弱々しい呼吸を繰り返すだけで、固く閉ざした瞼を開ける事はない。
叫び声を聞きつけて、部屋の扉を叩く者達の声が聞こえる。
「国王陛下? 大声が聞こえましたが、どうされました?」
「……国王陛下、失礼致します!」
返事が無い事を不審に思い、宰相とバニラ王子が部屋の扉を開け入ってくる。
「「!!?」」
血に濡れる国王と短剣を持つ僕を見て、二人は戦慄した。
「これは!? 近衛兵! 近衛兵! 直ちに白豚王子を捕らえよ!!」
「そ、そんな、まさか!? ……父上! 父上ー!!」
宰相が叫び声を上げ近衛兵が部屋へ雪崩れ込んできて、朦朧とする僕を国王から引き離し床へ押さえ付ける。
バニラ王子は意識の無い国王に駆け寄り、必死に声をかけ続けている。
大量の血を失い、僕は意識が薄れていく中で――
「王位の簒奪を狙い、白豚王子が国王陛下の殺害を謀った! 白豚王子は国家転覆を企てる反逆者だ! 直ちに白豚王子を投獄せよ!!」
――宰相の怒号が遠く響いて聞こえていた。
――白豚王子は国王暗殺を謀った大罪人として、投獄されてしまったのだ。――
◆
34
お気に入りに追加
1,278
あなたにおすすめの小説
この道を歩む~転生先で真剣に生きていたら、第二王子に真剣に愛された~
乃ぞみ
BL
※ムーンライトの方で500ブクマしたお礼で書いた物をこちらでも追加いたします。(全6話)BL要素少なめですが、よければよろしくお願いします。
【腹黒い他国の第二王子×負けず嫌いの転生者】
エドマンドは13歳の誕生日に日本人だったことを静かに思い出した。
転生先は【エドマンド・フィッツパトリック】で、二年後に死亡フラグが立っていた。
エドマンドに不満を持った隣国の第二王子である【ブライトル・ モルダー・ヴァルマ】と険悪な関係になるものの、いつの間にか友人や悪友のような関係に落ち着く二人。
死亡フラグを折ることで国が負けるのが怖いエドマンドと、必死に生かそうとするブライトル。
「僕は、生きなきゃ、いけないのか……?」
「当たり前だ。俺を残して逝く気だったのか? 恨むぞ」
全体的に結構シリアスですが、明確な死亡表現や主要キャラの退場は予定しておりません。
闘ったり、負傷したり、国同士の戦争描写があったります。
本編ド健全です。すみません。
※ 恋愛までが長いです。バトル小説にBLを添えて。
※ 攻めがまともに出てくるのは五話からです。
※ タイトル変更しております。旧【転生先がバトル漫画の死亡フラグが立っているライバルキャラだった件 ~本筋大幅改変なしでフラグを折りたいけど、何であんたがそこにいる~】
※ ムーンライトノベルズにも投稿しております。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
フェル 森で助けた女性騎士に一目惚れして、その後イチャイチャしながらずっと一緒に暮らす話
カトウ
ファンタジー
こんな人とずっと一緒にいられたらいいのにな。
チートなんてない。
日本で生きてきたという曖昧な記憶を持って、少年は育った。
自分にも何かすごい力があるんじゃないか。そう思っていたけれど全くパッとしない。
魔法?生活魔法しか使えませんけど。
物作り?こんな田舎で何ができるんだ。
狩り?僕が狙えば獲物が逃げていくよ。
そんな僕も15歳。成人の年になる。
何もない田舎から都会に出て仕事を探そうと考えていた矢先、森で倒れている美しい女性騎士をみつける。
こんな人とずっと一緒にいられたらいいのにな。
女性騎士に一目惚れしてしまった、少し人と変わった考えを方を持つ青年が、いろいろな人と関わりながら、ゆっくりと成長していく物語。
になればいいと思っています。
皆様の感想。いただけたら嬉しいです。
面白い。少しでも思っていただけたらお気に入りに登録をぜひお願いいたします。
よろしくお願いします!
カクヨム様、小説家になろう様にも投稿しております。
続きが気になる!もしそう思っていただけたのならこちらでもお読みいただけます。
【完結】もふもふ獣人転生
*
BL
白い耳としっぽのもふもふ獣人に生まれ、強制労働で死にそうなところを助けてくれたのは、最愛の推しでした。
ちっちゃなもふもふ獣人と、攻略対象の凛々しい少年の、両片思い? な、いちゃらぶもふもふなお話です。
本編完結しました!
おまけをちょこちょこ更新しています。
小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~
朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」
普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。
史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。
その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。
外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。
いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。
領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。
彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。
やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。
無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。
(この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)
もう人気者とは付き合っていられません
花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。
モテるのは当然だ。でも――。
『たまには二人だけで過ごしたい』
そう願うのは、贅沢なのだろうか。
いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。
「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。
ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。
生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。
※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中
拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件
碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。
状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。
「これ…俺、なのか?」
何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。
《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て運命の相手を見つけるまでの物語である──。》
────────────
~お知らせ~
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
────────────
※感想、いいね大歓迎です!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる