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本編
98.月夜の花園で甘い夢の続き
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日が落ち夜の帳が下がった頃、黒狼王子は再び『魔法の花園』へと訪れていた。
中央の噴水を覗き込んだ黒狼王子は、水面に映る己の獣姿を見つめ、重い溜息を吐きだす。
『はぁ……』
闇夜に紛れる暗黒色の狼は死神の象徴でしかなく、暗闇の中で光る獣の目は更に恐怖心を煽るであろう、そんな悍ましい姿を眺め黒狼王子は思う。
(やはり、誰から見ても、第一王子からしても、俺は恐ろしい存在でしかなかった……俺は何を期待していたんだ……そんな事は分かりきっていた筈なのに……今までもそうだった筈だ。何も思わず、何も求めずにいたんだから……)
それまで、当然の事として達観していた黒狼王子だったが、白豚王子から抱きしめられ、真っ直ぐな好意を向けられ、言い表せない感情が芽生えていたのだ。
黒狼王子はその感情を持て余し、されど、どうする事もできず、ただ白豚王子を想い悲嘆に暮れていた。
『……はぁ……』
項垂れる黒狼の吐く溜息が水面を揺らし、水に映る夜空の月影と暗黒の影とが混ざり合っていく。
◆
月夜の晩、白豚王子はベッドから抜け出し、再び『魔法の花園』へと足を運んだ。
寝ぼけている白豚王子は、また黒狼の夢が見たいなと妄想しながら歩き、噴水前に黒狼の姿を発見して歓喜する。
(あ、ダークだ! ダークがいる~♪ また、ダークの夢が見れるの嬉しい~♪)
白豚王子は喜び勇んで黒狼に突進――もとい、駆け寄っていく。
『!?』
足音に気付き振り返った黒狼は、白豚王子の姿を見て目を見開き硬直する。
「ダーク~♪」
『なっ……』
嬉々とする白豚王子が黒狼に飛び付き、ムギューと抱きしめる。
飛び付かれて驚く黒狼は、困惑しながらも嬉しい気持ちが溢れ、無意識に尻尾を振ってしまう。
黒狼は昼間の言葉が頭から離れず、少し卑屈になって白豚王子に問い質す。
『……俺が怖いんじゃなかったのか?』
「え、なんで? 怖くないよ」
きょとんとして首を傾げ答える白豚王子に、黒狼は言及する。
『昼間、怖いと言って逃げただろうが……』
首を傾げていた白豚王子が暫し考え込むと、昼間の一件を思い出して、慌てて黒狼に訳を話す。
「あ、あれは、ダークが怖かったんじゃなくて、僕がダークに嫌われるのが怖かったんだよ! ……僕、色々やらかしちゃってるから……また何かしでかして、大好きなダークに嫌われたくなかったんだ……」
白豚王子の言動から黒狼の姿が恐れられていた訳ではなかったと分かり、黒狼王子の暗く淀んでいた気持ちが嘘のように晴れていく。
「……俺が嫌う訳がないだろう。もしそうなら、今ここにこうして居ない」
黒狼がそう告げると、白豚王子はへらりと苦笑いして心の内を話す。
「えへへ、そうだと良いな……僕は悪役だから、嫌われてしまうのも仕方ないけど、それでも、できれば嫌われたくないからね。ダークと一緒に居られるこんな幸せな夢なら、覚めなければいいのにと思っちゃう……」
夢見心地で白豚王子は呟き、黒狼の胸毛に頬擦りしてモフモフを堪能する。
本当に幸せそうにする白豚王子の姿を見て、ささくれ立っていた心が癒されていくと黒狼王子は感じていた。
ふと、黒狼王子は気になっていた事を白豚王子に尋ねてみる。
『何故、俺をダークと忌み名で呼ぶんだ?』
「いみな?」
何を問われているのか分からない白豚王子が訊き返し、黒狼がその意味を語り説明する。
『死神の纏う闇を象徴する暗黒色、それを忌避するが故に付けられた名だ。忌み嫌われる者の名、それがダークだ。何故、その名を知っているのか。何故、その名で呼ぶのか。ずっと気になっていた』
「そうだったんだね。名前の由来までは知らなかったけど……何故、ダークって呼ぶのかって? それは、ダークがダークだからかな?」
白豚王子は巨大な暗黒色の狼を見上げて、まじまじと見つめ暫し考えてから、頷きしみじみと言う。
「うん、やっぱり、好きだな。僕はダークって名前も、その暗黒色の毛色も、すごく格好良くて好きだよ。僕はダークって名前、大好き」
黒狼を恐れる事のない白豚王子は、その恐怖される色を、その忌避される名を、好きなのだと言う。
そんな風に白豚王子に言われると、黒狼王子にとって良い思い出など無かった筈の忌み名が、案外悪くないものに思えてくるから不思議だ。
白豚王子はギューと黒狼に抱き付いて、暗黒の毛並みを撫でながら、うっとりとして呟く。
「ダーク……君がダークだからだよ。優しくて温かくて安心する。フワフワで甘くて幸せな気持ちになれる。心地が良すぎて、夢の中なのになんだか眠たくなっちゃうくらい……」
安心しきって身を寄せる白豚王子は呟いて、フワフワの胸毛に埋まっている。
本来は忌み名である筈のその名が、白豚王子が呼ぶだけで忌み名などではない、特別な素晴らしい名前にすら感じられる。
白豚王子が特別な意味を与えてくれた気がして、黒狼王子も白豚王子の名前を呼んでみたいと思った。
『……俺も名を呼んでも良いか?』
「え……うん?」
寝ぼけ眼を擦りつつ白豚王子が黒狼を見上げると、黒狼王子はその名を呼ぶ。
『フランボワーズ』
「……っ! ……」
白豚王子は一瞬何が起きたのか分からず硬直し、黒狼が自分の名前を呼んだのだと分かりプルプルと震えだす。
黒狼王子が名を呼びつつ、少し堅苦しいかと思い愛称で呼び直してみる。
『フランボワーズ……フランボワーズ……フラン……』
「……っ……う……うぅっ……」
すると、白豚王子の目から透明な雫が零れ落ちて、白豚王子は嗚咽を漏らして泣きだしてしまう。
突然、ボロボロと泣きだした白豚王子に吃驚して、黒狼はオロオロと狼狽えて訊く。
『なっ、どうした!? 何故、泣くんだ? 俺に名を呼ばれる事が、そんなに嫌だったか?』
「……うぅ……ち、違うんだ……僕、誰かにちゃんと名前呼ばれた事なくて……すごく嬉しくて……それも、大好きなダークに、呼んで貰えた……僕、嬉しくて……夢だって分かってても、すごく嬉しくて……う、うぇーん、涙が止まんないよぉー……」
号泣する白豚王子を泣き止ませようとして、黒狼はモフモフの身体を駆使して必死に宥め、なんとか白豚王子の涙が止まる。
泣き疲れた白豚王子は睡眠不足も相まって、また黒狼に寄り添ったまま寝落ちしてしまった。
名を呼ばれた事が無いという言葉に黒狼王子は驚愕し、名を呼んだだけで嬉しいと泣いてしまう白豚王子の心情と境遇を思うと、黒狼王子は胸がひどく痛んだ。
安心しきって眠る白豚王子を抱え、黒狼王子は寝室に運びながら考えてしまう。
(いっそこのまま連れ去ってしまおうか? 『魔法』も『呪い』も気にしなくていい、誰も知らない遠く離れた地に、誰に疎まれる事もない、二人だけになれる所に……全てを捨てて、使命も宿命も忘れて……)
黒狼王子は衝動的になっている己に気付き、頭を振って冷静になろうと努め、腕の中で眠る白豚王子をベッドに下ろしてやる。
(……莫迦だな……そんな事ができる筈がないのに……なんて愚かな事を考えてしまうものだ……きっとこれは、呪いのせいだ……俺も、第一王子――フランも、そんな事は望まないだろう……)
人の姿になった黒狼王子が、眠る白豚王子の涙の跡を優しく撫でると、擽ったがり身動ぎする白豚王子の柔らかい唇が、不意にその指に触れる。
黒狼王子は唇をじっと見つめて、顔を近付けていき――額に控え目に口付けし離れていく。
「……おやすみ……良い夢を……」
そう小さく囁いて、良い夢が見れるおまじないをし、白豚王子の幸せな夢を願いつつ、黒狼王子は黒い影に溶けて立ち去っていった。
◆
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(やはり、誰から見ても、第一王子からしても、俺は恐ろしい存在でしかなかった……俺は何を期待していたんだ……そんな事は分かりきっていた筈なのに……今までもそうだった筈だ。何も思わず、何も求めずにいたんだから……)
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寝ぼけている白豚王子は、また黒狼の夢が見たいなと妄想しながら歩き、噴水前に黒狼の姿を発見して歓喜する。
(あ、ダークだ! ダークがいる~♪ また、ダークの夢が見れるの嬉しい~♪)
白豚王子は喜び勇んで黒狼に突進――もとい、駆け寄っていく。
『!?』
足音に気付き振り返った黒狼は、白豚王子の姿を見て目を見開き硬直する。
「ダーク~♪」
『なっ……』
嬉々とする白豚王子が黒狼に飛び付き、ムギューと抱きしめる。
飛び付かれて驚く黒狼は、困惑しながらも嬉しい気持ちが溢れ、無意識に尻尾を振ってしまう。
黒狼は昼間の言葉が頭から離れず、少し卑屈になって白豚王子に問い質す。
『……俺が怖いんじゃなかったのか?』
「え、なんで? 怖くないよ」
きょとんとして首を傾げ答える白豚王子に、黒狼は言及する。
『昼間、怖いと言って逃げただろうが……』
首を傾げていた白豚王子が暫し考え込むと、昼間の一件を思い出して、慌てて黒狼に訳を話す。
「あ、あれは、ダークが怖かったんじゃなくて、僕がダークに嫌われるのが怖かったんだよ! ……僕、色々やらかしちゃってるから……また何かしでかして、大好きなダークに嫌われたくなかったんだ……」
白豚王子の言動から黒狼の姿が恐れられていた訳ではなかったと分かり、黒狼王子の暗く淀んでいた気持ちが嘘のように晴れていく。
「……俺が嫌う訳がないだろう。もしそうなら、今ここにこうして居ない」
黒狼がそう告げると、白豚王子はへらりと苦笑いして心の内を話す。
「えへへ、そうだと良いな……僕は悪役だから、嫌われてしまうのも仕方ないけど、それでも、できれば嫌われたくないからね。ダークと一緒に居られるこんな幸せな夢なら、覚めなければいいのにと思っちゃう……」
夢見心地で白豚王子は呟き、黒狼の胸毛に頬擦りしてモフモフを堪能する。
本当に幸せそうにする白豚王子の姿を見て、ささくれ立っていた心が癒されていくと黒狼王子は感じていた。
ふと、黒狼王子は気になっていた事を白豚王子に尋ねてみる。
『何故、俺をダークと忌み名で呼ぶんだ?』
「いみな?」
何を問われているのか分からない白豚王子が訊き返し、黒狼がその意味を語り説明する。
『死神の纏う闇を象徴する暗黒色、それを忌避するが故に付けられた名だ。忌み嫌われる者の名、それがダークだ。何故、その名を知っているのか。何故、その名で呼ぶのか。ずっと気になっていた』
「そうだったんだね。名前の由来までは知らなかったけど……何故、ダークって呼ぶのかって? それは、ダークがダークだからかな?」
白豚王子は巨大な暗黒色の狼を見上げて、まじまじと見つめ暫し考えてから、頷きしみじみと言う。
「うん、やっぱり、好きだな。僕はダークって名前も、その暗黒色の毛色も、すごく格好良くて好きだよ。僕はダークって名前、大好き」
黒狼を恐れる事のない白豚王子は、その恐怖される色を、その忌避される名を、好きなのだと言う。
そんな風に白豚王子に言われると、黒狼王子にとって良い思い出など無かった筈の忌み名が、案外悪くないものに思えてくるから不思議だ。
白豚王子はギューと黒狼に抱き付いて、暗黒の毛並みを撫でながら、うっとりとして呟く。
「ダーク……君がダークだからだよ。優しくて温かくて安心する。フワフワで甘くて幸せな気持ちになれる。心地が良すぎて、夢の中なのになんだか眠たくなっちゃうくらい……」
安心しきって身を寄せる白豚王子は呟いて、フワフワの胸毛に埋まっている。
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白豚王子が特別な意味を与えてくれた気がして、黒狼王子も白豚王子の名前を呼んでみたいと思った。
『……俺も名を呼んでも良いか?』
「え……うん?」
寝ぼけ眼を擦りつつ白豚王子が黒狼を見上げると、黒狼王子はその名を呼ぶ。
『フランボワーズ』
「……っ! ……」
白豚王子は一瞬何が起きたのか分からず硬直し、黒狼が自分の名前を呼んだのだと分かりプルプルと震えだす。
黒狼王子が名を呼びつつ、少し堅苦しいかと思い愛称で呼び直してみる。
『フランボワーズ……フランボワーズ……フラン……』
「……っ……う……うぅっ……」
すると、白豚王子の目から透明な雫が零れ落ちて、白豚王子は嗚咽を漏らして泣きだしてしまう。
突然、ボロボロと泣きだした白豚王子に吃驚して、黒狼はオロオロと狼狽えて訊く。
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「……うぅ……ち、違うんだ……僕、誰かにちゃんと名前呼ばれた事なくて……すごく嬉しくて……それも、大好きなダークに、呼んで貰えた……僕、嬉しくて……夢だって分かってても、すごく嬉しくて……う、うぇーん、涙が止まんないよぉー……」
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安心しきって眠る白豚王子を抱え、黒狼王子は寝室に運びながら考えてしまう。
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(……莫迦だな……そんな事ができる筈がないのに……なんて愚かな事を考えてしまうものだ……きっとこれは、呪いのせいだ……俺も、第一王子――フランも、そんな事は望まないだろう……)
人の姿になった黒狼王子が、眠る白豚王子の涙の跡を優しく撫でると、擽ったがり身動ぎする白豚王子の柔らかい唇が、不意にその指に触れる。
黒狼王子は唇をじっと見つめて、顔を近付けていき――額に控え目に口付けし離れていく。
「……おやすみ……良い夢を……」
そう小さく囁いて、良い夢が見れるおまじないをし、白豚王子の幸せな夢を願いつつ、黒狼王子は黒い影に溶けて立ち去っていった。
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