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本編
50.慈悲深き泉の精霊
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僕はどうして、今の今まで気付かなかったのか不思議に思えてしまう――
「わあぁぁぁぁ!?」
――そこには、キラキラと光り輝く美味しそうな巨大スイーツが聳え立っていたのだから。
◆
『――美味しい――』
ラズベリーの声が聞こえた気がして、チョコミントは意識を取り戻す。
「……う……うぅ……あれ? …………父さん、父さん、起きて」
「……ん、んぅ……あ…………チョコミント、無事か?」
「うん、俺は大丈夫。そんな事より、ラズベリーの声が聞こえた……」
チョコミントは陸地の奥方へと視線を向け、チョコチップもその視線の先を追う。
親子が目を向けた先、そこには先程まであった筈の巨大な魔鉱石が無かった。
山の如く聳え立っていた巨大な魔鉱石が、跡形も無く消えて無くなってしまっていたのだ。
その代わりとでも言うのか、魔鉱石があった場所にはぽっかりと大穴が空き、そこから煌めく綺麗で透明な湧水が滾々と溢れ出していた。
なみなみと溢れ返る湧水の中、その中心にラズベリーの姿があった。
毒沼に落ちる前と変わらぬ姿の、お腹を丸々とさせたラズベリーが水面にぷかぷかと浮かんでいたのだ。
◆
「ラズベリー!!」
「ラズベリー! 無事か!?」
「げぷっ……スイーツ無くなっちゃっら。あれれぇ? チョコミントらぁ、おじさんもぉ。目が覚めたんらねぇ、えへへへぇ」
酔いどれ気分で僕が二ヘラと笑うと親子はまた泣き出し、チョコミントは僕の方に飛び込み抱き着いて来る。
「良かった、良かったぁ……ラズベリー!」
「わっ、あぶぶぶぶ、ぶくぶくぶくっ……ぷっはぁ!? おぼっ、溺れるぅ!」
「うわー! 何してるんだ、お前達ー!?」
チョコチップが慌ててバシャバシャと水中に入ってきて、僕たちを助け起こしてくれる。
抱き着かれて沈み溺れそうになった僕は、酔いどれ気分が完全に醒めた。
「ごめん、つい……ぐす、ぐす……」
「あぁ、もう……大丈夫だから、もう泣かないでよ……」
「せっかく助かったのに、ここで溺れてどうするんだ、お前達」
全身ずぶぬれになって鼻をぐすぐすと鳴らすチョコミントが可愛くて、僕は撫でながら慰める。
親子の元気な様子に無事で良かったと僕が安堵していると、今度はチョコチップが大声を出して驚かせる。
「はっ! 大変だ、早くこの水から出るんだ!!」
「えっ! 今度は何、どうしたの!?」
「なんか身体が熱い! しゅわしゅわする!! きっと身体が溶けてるんだ!!!」
「ん? ……そう言えば、なんか温かくて気持ち良いけど……身体に小さい泡がいっぱい付くね……あ! これもしかして、温泉じゃない?」
「「おんせん?」」
僕の言葉を聞いて、慌てて水中から出そうとしていた親子がきょとんとした顔をして訊き返す。
「うん、温泉。天然のお風呂だよ。特に匂いは無くて泡が出るから、多分、二酸化炭素泉じゃないかな? 別名で『ラムネ温泉』とか『心臓の湯』なんて呼び方もあって、身体を癒す効能があるから療養泉として使われるんだよ」
ぽかぽかと温かいお湯を見ると、なんとなく綺麗なラムネ色に見える。
前世の日本人的本能で僕は温泉を目の前にして、温泉に入らずにはいられない。
温泉の水深はそこまでなく、立って歩けるくらいで丁度良かったので、僕は肩まで浸かって温まる。
(……あぁ、温泉はやっぱり気持ち良いなぁ……本当は服を着たまま温泉に入るのは違和感がすごいんだけど、今更だし仕方ないよね……はぁ、しゅわしゅわ、ぽかぽか、気持ち良いなぁ……ある意味、溶けちゃう~……)
呑気に温泉に浸かる僕の姿を見て、親子も安心したのか僕の真似をして温泉に浸かる。
「……身体を癒す温かい泉か、確かに温かくて癒されてく感じがするな」
「本当だ。瘴気を吸って苦しかったのが、もうなんともない」
「えぇ、そんなに早く効能出るものかな? プラシーボ効果かな……」
「「ぷらしぃ?」」
「なんでもないよ」
僕が上機嫌でラムネ温泉を堪能していると、親子は徐に両手を組んで天を仰ぎ見て呟きだす。
「はぁ、こんなにも癒しを与えて下さるなんて、感謝のしようがない……慈悲深き泉の精霊よ、本当に本当に感謝いたします」
「泉の精霊よ、俺の願いを聞き届けてくれて、本当に有難うございます」
「慈悲深い……泉の精霊……なにそれ?」
今度は僕がきょとんとする番だった。
親子は感極まって涙ぐみ、僕に語って聞かせる。
「ラズベリーが毒沼に落ちた後に、泉の精霊が現れたんだ。人の姿に顕現できる程の力を持つ精霊は殆どいなくて、尚且つ精霊は人前に姿を現す事を嫌うから、まず見る事はない。ただ、極稀にではあるが気まぐれに姿を見せて人の願いを叶えてくれる事があると言われているんだ。そして、泉の精霊は俺達の前に姿を現してくれた……」
「泉の精霊は俺の願いを聞き届けて、毒沼に落ちたラズベリーを戻してくれた、救ってくれたんだ……俺は願いが叶えられるなら、命でも魂でも何でも差し出すつもりだったのに……でも、泉の精霊が持って行ったのは魔鉱石だけだったんだ……そして温泉と言う癒しの泉まで俺達に与えてくれて……なんて、なんて、慈悲深いんだ……」
「そうだったんだ、だから僕は毒沼に落ちても大丈夫だったんだね! 慈悲深い泉の精霊様、有難うございます!! ……」
僕も親子の真似をして、泉の精霊に感謝の祈りを捧げる。
「僕も助けてくれた泉の精霊に会ってみたかったな」
「俺は願いを言って直ぐに瘴気の吸い過ぎで倒れたから、直接お礼が言えなかったのが残念だ……」
「これ以上の幸運はきっとこの先ないだろうな……はぁ、神々しいお姿は本当にこの世のものとは思えない美しさだったな……」
親子が泉の妖精の姿を思い出し、うっとりとした表情を浮かべて語る。
「泉の精霊は毒沼の水を澄んだ綺麗な水に変えていったんだ」
「澄み渡る清らかな水の中から、突然、キラキラと水しぶきを煌めかせ、泉の精霊が姿を現したんだ。それは幻想的な光景だった」
「濁った汚泥を綺麗な水に変えながら、泉の精霊は俺達に近付いて来たんだ」
「正に光り輝く純白だった。水面の光が反射して逆光を浴びる、その姿は神々しかった。白っぽく柔らかそうな波打つ髪。どんな宝玉も敵いはしない、潤んだ神秘的な瞳。光り輝く透き通る白い肌は水を滴らせ艷めかしく妖艶だった」
「本当に綺麗だったんだ! 特に目がキラキラしてて、吸い込まれそうだった!!」
「人前に姿を現したのが恥ずかしかったのか、恥じらう姿は何とも言えず愛らしかった。余りの愛らしさに激しい動悸がして、失神してしまったほどだ……」
「へぇ、すごかったんだね。僕も見てみたかったなぁ」
(んん? あれれ?? 二人が固まってたのって、僕を見てじゃなくて泉の精霊を見て固まってたのか??? 僕の背後に泉の精霊がいたの! もしくは、心が清らかな人にしか見えない何かで、悪役の僕には見えないとか!? えー、見てみたかったなぁ、残念……それに、美味しいスイーツ食べてたと思ったけど、僕は夢でも見てたのかな? こんな所にスイーツがある訳ないし、酔っぱらったみたいに意識も曖昧だったから、きっと夢を見ていたんだろうな……)
僕は親子の話を聞いて、泉の精霊ってすごいんだなと想像を膨らませるのだった。
◆
白豚王子達は知らなかった。
危険な物と分かっていながらも魔鉱石を収集していた高位貴族達が、何故『腐敗の森』にある魔鉱石にだけは手を出さなかったのか、それには理由があった。
それは、『毒沼』の巨大な魔鉱石そのものが強大な毒素を含んでおり膨大な瘴気を発生していた為に、人の手になど負える代物ではなかったからだ。
巨大な魔鉱石それ自体が泉を『毒沼』へと変え、広大な森を『腐敗の森』へと変えていた元凶だったのだ。
それまで、どんなに強力な魔法を操る偉大な魔法使いでも、その毒素と瘴気を解消する事はできなかった。
長年に渡り放置され続けていた巨大な魔鉱石、それが、白豚王子達の行動により消滅した。
元凶の根源が消滅した事で、『毒沼』の水は正常に戻り、『腐敗の森』も毒が薄れ、今後大きく様変わりしていく事になる。
更に泉の水には不思議な事に、癒しの効果が付与されていた。
その泉は後に、逸話から『慈悲深き精霊の癒しの泉』と呼ばれる。
遠からずそうなる日が訪れる事を、白豚王子達はまだ知らない。
◆
「わあぁぁぁぁ!?」
――そこには、キラキラと光り輝く美味しそうな巨大スイーツが聳え立っていたのだから。
◆
『――美味しい――』
ラズベリーの声が聞こえた気がして、チョコミントは意識を取り戻す。
「……う……うぅ……あれ? …………父さん、父さん、起きて」
「……ん、んぅ……あ…………チョコミント、無事か?」
「うん、俺は大丈夫。そんな事より、ラズベリーの声が聞こえた……」
チョコミントは陸地の奥方へと視線を向け、チョコチップもその視線の先を追う。
親子が目を向けた先、そこには先程まであった筈の巨大な魔鉱石が無かった。
山の如く聳え立っていた巨大な魔鉱石が、跡形も無く消えて無くなってしまっていたのだ。
その代わりとでも言うのか、魔鉱石があった場所にはぽっかりと大穴が空き、そこから煌めく綺麗で透明な湧水が滾々と溢れ出していた。
なみなみと溢れ返る湧水の中、その中心にラズベリーの姿があった。
毒沼に落ちる前と変わらぬ姿の、お腹を丸々とさせたラズベリーが水面にぷかぷかと浮かんでいたのだ。
◆
「ラズベリー!!」
「ラズベリー! 無事か!?」
「げぷっ……スイーツ無くなっちゃっら。あれれぇ? チョコミントらぁ、おじさんもぉ。目が覚めたんらねぇ、えへへへぇ」
酔いどれ気分で僕が二ヘラと笑うと親子はまた泣き出し、チョコミントは僕の方に飛び込み抱き着いて来る。
「良かった、良かったぁ……ラズベリー!」
「わっ、あぶぶぶぶ、ぶくぶくぶくっ……ぷっはぁ!? おぼっ、溺れるぅ!」
「うわー! 何してるんだ、お前達ー!?」
チョコチップが慌ててバシャバシャと水中に入ってきて、僕たちを助け起こしてくれる。
抱き着かれて沈み溺れそうになった僕は、酔いどれ気分が完全に醒めた。
「ごめん、つい……ぐす、ぐす……」
「あぁ、もう……大丈夫だから、もう泣かないでよ……」
「せっかく助かったのに、ここで溺れてどうするんだ、お前達」
全身ずぶぬれになって鼻をぐすぐすと鳴らすチョコミントが可愛くて、僕は撫でながら慰める。
親子の元気な様子に無事で良かったと僕が安堵していると、今度はチョコチップが大声を出して驚かせる。
「はっ! 大変だ、早くこの水から出るんだ!!」
「えっ! 今度は何、どうしたの!?」
「なんか身体が熱い! しゅわしゅわする!! きっと身体が溶けてるんだ!!!」
「ん? ……そう言えば、なんか温かくて気持ち良いけど……身体に小さい泡がいっぱい付くね……あ! これもしかして、温泉じゃない?」
「「おんせん?」」
僕の言葉を聞いて、慌てて水中から出そうとしていた親子がきょとんとした顔をして訊き返す。
「うん、温泉。天然のお風呂だよ。特に匂いは無くて泡が出るから、多分、二酸化炭素泉じゃないかな? 別名で『ラムネ温泉』とか『心臓の湯』なんて呼び方もあって、身体を癒す効能があるから療養泉として使われるんだよ」
ぽかぽかと温かいお湯を見ると、なんとなく綺麗なラムネ色に見える。
前世の日本人的本能で僕は温泉を目の前にして、温泉に入らずにはいられない。
温泉の水深はそこまでなく、立って歩けるくらいで丁度良かったので、僕は肩まで浸かって温まる。
(……あぁ、温泉はやっぱり気持ち良いなぁ……本当は服を着たまま温泉に入るのは違和感がすごいんだけど、今更だし仕方ないよね……はぁ、しゅわしゅわ、ぽかぽか、気持ち良いなぁ……ある意味、溶けちゃう~……)
呑気に温泉に浸かる僕の姿を見て、親子も安心したのか僕の真似をして温泉に浸かる。
「……身体を癒す温かい泉か、確かに温かくて癒されてく感じがするな」
「本当だ。瘴気を吸って苦しかったのが、もうなんともない」
「えぇ、そんなに早く効能出るものかな? プラシーボ効果かな……」
「「ぷらしぃ?」」
「なんでもないよ」
僕が上機嫌でラムネ温泉を堪能していると、親子は徐に両手を組んで天を仰ぎ見て呟きだす。
「はぁ、こんなにも癒しを与えて下さるなんて、感謝のしようがない……慈悲深き泉の精霊よ、本当に本当に感謝いたします」
「泉の精霊よ、俺の願いを聞き届けてくれて、本当に有難うございます」
「慈悲深い……泉の精霊……なにそれ?」
今度は僕がきょとんとする番だった。
親子は感極まって涙ぐみ、僕に語って聞かせる。
「ラズベリーが毒沼に落ちた後に、泉の精霊が現れたんだ。人の姿に顕現できる程の力を持つ精霊は殆どいなくて、尚且つ精霊は人前に姿を現す事を嫌うから、まず見る事はない。ただ、極稀にではあるが気まぐれに姿を見せて人の願いを叶えてくれる事があると言われているんだ。そして、泉の精霊は俺達の前に姿を現してくれた……」
「泉の精霊は俺の願いを聞き届けて、毒沼に落ちたラズベリーを戻してくれた、救ってくれたんだ……俺は願いが叶えられるなら、命でも魂でも何でも差し出すつもりだったのに……でも、泉の精霊が持って行ったのは魔鉱石だけだったんだ……そして温泉と言う癒しの泉まで俺達に与えてくれて……なんて、なんて、慈悲深いんだ……」
「そうだったんだ、だから僕は毒沼に落ちても大丈夫だったんだね! 慈悲深い泉の精霊様、有難うございます!! ……」
僕も親子の真似をして、泉の精霊に感謝の祈りを捧げる。
「僕も助けてくれた泉の精霊に会ってみたかったな」
「俺は願いを言って直ぐに瘴気の吸い過ぎで倒れたから、直接お礼が言えなかったのが残念だ……」
「これ以上の幸運はきっとこの先ないだろうな……はぁ、神々しいお姿は本当にこの世のものとは思えない美しさだったな……」
親子が泉の妖精の姿を思い出し、うっとりとした表情を浮かべて語る。
「泉の精霊は毒沼の水を澄んだ綺麗な水に変えていったんだ」
「澄み渡る清らかな水の中から、突然、キラキラと水しぶきを煌めかせ、泉の精霊が姿を現したんだ。それは幻想的な光景だった」
「濁った汚泥を綺麗な水に変えながら、泉の精霊は俺達に近付いて来たんだ」
「正に光り輝く純白だった。水面の光が反射して逆光を浴びる、その姿は神々しかった。白っぽく柔らかそうな波打つ髪。どんな宝玉も敵いはしない、潤んだ神秘的な瞳。光り輝く透き通る白い肌は水を滴らせ艷めかしく妖艶だった」
「本当に綺麗だったんだ! 特に目がキラキラしてて、吸い込まれそうだった!!」
「人前に姿を現したのが恥ずかしかったのか、恥じらう姿は何とも言えず愛らしかった。余りの愛らしさに激しい動悸がして、失神してしまったほどだ……」
「へぇ、すごかったんだね。僕も見てみたかったなぁ」
(んん? あれれ?? 二人が固まってたのって、僕を見てじゃなくて泉の精霊を見て固まってたのか??? 僕の背後に泉の精霊がいたの! もしくは、心が清らかな人にしか見えない何かで、悪役の僕には見えないとか!? えー、見てみたかったなぁ、残念……それに、美味しいスイーツ食べてたと思ったけど、僕は夢でも見てたのかな? こんな所にスイーツがある訳ないし、酔っぱらったみたいに意識も曖昧だったから、きっと夢を見ていたんだろうな……)
僕は親子の話を聞いて、泉の精霊ってすごいんだなと想像を膨らませるのだった。
◆
白豚王子達は知らなかった。
危険な物と分かっていながらも魔鉱石を収集していた高位貴族達が、何故『腐敗の森』にある魔鉱石にだけは手を出さなかったのか、それには理由があった。
それは、『毒沼』の巨大な魔鉱石そのものが強大な毒素を含んでおり膨大な瘴気を発生していた為に、人の手になど負える代物ではなかったからだ。
巨大な魔鉱石それ自体が泉を『毒沼』へと変え、広大な森を『腐敗の森』へと変えていた元凶だったのだ。
それまで、どんなに強力な魔法を操る偉大な魔法使いでも、その毒素と瘴気を解消する事はできなかった。
長年に渡り放置され続けていた巨大な魔鉱石、それが、白豚王子達の行動により消滅した。
元凶の根源が消滅した事で、『毒沼』の水は正常に戻り、『腐敗の森』も毒が薄れ、今後大きく様変わりしていく事になる。
更に泉の水には不思議な事に、癒しの効果が付与されていた。
その泉は後に、逸話から『慈悲深き精霊の癒しの泉』と呼ばれる。
遠からずそうなる日が訪れる事を、白豚王子達はまだ知らない。
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