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魔獣狩り編
Lv.116 開放
しおりを挟む顔を動かせないよう頬を固定し、目を合わせる。ウィップが目を閉じると、魔獣との繋ぎ目がはっきりと見えた。魔獣と人間の境目に手をかけ、剥がす様に押し出せば魔獣は外へ弾き出される。
中から現れた人間の体はコルラスの風に受けとめられ、神官服の袖を緩やかにはためかせながら地上へと向かっていった。その様子を最後まで見届けることは出来ないが、コルラスが付いていれば大丈夫だ。
ウィップとの繋がりを失った魔獣は激しい怒りの顔でこちらを睨んでいる。しかしその体は長く持たないだろうという様相だ。
胴体には大きく亀裂が走り、顔の皮膚はボロボロと崩れ始めている。剥がれ落ちた皮膚はそのまま離散していき、空中に溶けていった。
瞳に宿っていた闇色はまるで吸い出されたように失われ、揺らいでいる。
開かれた体の隙間からは魔石が覗いていた。取り込んだ魔獣の魔核が変化したものだろう。
剥き出しになった魔石の数々を目にして、魔獣が浮遊魔法を使っていないことに気が付いた。
飛行型でない限り、魔獣が空中に留まることは出来ない。イヴァですら浮遊魔法で足場を構築し宙に留まっているというのに、二足歩行型の巨体が何故。
見たところ羽根などは生えておらず、浮遊する魔法もない。足場だった結界が離散してしまった今、落下せず平然としていられる理由。
「イヴァ。この魔獣、魔核が無い」
「ああ? 馬鹿言え、そんな魔物居るわけねぇだろ」
「この魔獣が神官に憑いたのは、そうするしかなかったからだ」
「だから、環境のせいだろ」
「死霊だよ、イヴァ。あの魔獣は、もう死んでる」
それは恐らく、ウィップに憑りつく前から。
イヴァの言う通り、人間界の環境下は魔界と違い瘴気もほとんどなく、魔法は非常に扱いにくい。
だからこそ人間と手を組む者も居るが、裏を返せば「常に魔法を使わない限り人間は必要ない」。一時的であればこうして体内に他の魔獣を取り込み、魔核を魔石に変化させることも出来るのだから。
一々確保するのが面倒だと言われればそれまでだが、魔物とは強さを誇示したがるものだ。常に戦いに身を置きたがる性質を持っていながら、それに付属する戦利品を無視するだろうか。
「お前は魔獣に触れてただろうが。古代の魔法でも使わない限り、死霊には……」
不自然にイヴァの言葉が途切れた。イヴァは知っていたのだろう。僕がロルスから別たれた、生命の鍵そのものであると。
妖精王アプレッテから聞いたのか、自分で気が付いたのか。黙り込んでしまったイヴァをそのままに、魔獣へ語り掛けた。
「僕は境目に在る。天使が回収し損ね、悪魔が喰らわなかった君をあるべき処へ収めなければならない」
形を保っていられるのは魔石を抱えているからだ。あの中から魔力が、魔素が流れ出てしまえば最早原型を留めてはいられない。
それでも魔獣は継ぎ接ぎだらけの僅かな輪郭を持ち、足掻いている。
自身の肉体が残っていれば不死性を兼ね備えた魔物に成り得たのだろうが、魂だけでは無理な話だ。
ギョロリとした目が忙しなく上下左右を行き交い、真っ黒な塊が後退する。
あれだけ大きく膨れ上がっていた巨体は見る影もなく、魔石の留めるわずかな形のみ。
傍に召喚された魔獣の姿はなく、新たに憑りつく対象も残されていなかった。
僕らを除いては。
〔寄越セェエエエェエエエェェェェエエ!!!〕
小さくなった魔石を腕の一振りで全て掴み取る。器と呼べるものは破片も残らず、魔獣は霊体だけになった。その霊体も、僕であれば触れることが出来る。
「捕まえた」
魔獣に触れている掌へ向け、背中から光が走った。腕には白と黒を纏った模様が浮かび上がり、雷鳴が辺りへ轟き始める。
周囲の状況は一変した。
頭上には炎の召喚陣、町を囲う様にして落ちる雷。巻き起こる風、魔獣の魂を捕えて離さない水。水の周りを蔓が伸びて葉で覆い、氷がそれらを停止させる。
紫の光がぐにゃりと空間を歪めていった。
全ての魔法要素が魔獣を捕えている。
魔獣の魂が抱えていた魔石がパラパラと雨のように落ち、霊体の姿すら見えなくなった。
「生きるに伴う全ての結果が今、扉を開くに至ったのだ」
ギィイイイイ。
地響きのような音。現れた黒の光が魔獣の魂を掴む。
<術式の礎は失われ、祭壇より供物が転がり落ちた。対価無き力の行使を我らは認めん>
地を這うような、というよりは地の底から轟き辺りを揺るがすような声だった。低く響く音は威厳に満ち溢れ、一言一言に重みがある。ジリジリと追い詰められているかのような感覚に、眩暈がする程だ。
ゆったりと紡がれたにも関わらず、強い威圧感と存在感に歯を食いしばって堪えた。
抑え付けられているように全身が重く、呼吸すら細心の注意を払わなくてはならない。
小さくイヴァが「GA」と零さなければ、その正体に思い当たる余裕すらなかった。
この声こそが魔獣の用いた術式の根幹であり、ロルスに並ぶ存在。
―――嫌だ、イヤだ、イィイイガガアガアアアアアア
断末魔のような思念が辺りに撒き散らされる。扉の奥から靄のようなものが、まるで指のように伸びて魔獣を絡め獲っていく。地鳴りと雷鳴の中引きずり込まれていく魂は、哀れな程に小さく見えた。
魂の表層が靄へと吸われていき、魂の核が露わになった。ビキビキビキ、と音を立て亀裂が走るたび、魔獣の半狂乱とも思える叫びが聞こえて来る。
最後に見えたのは、今にも砕けそうな魂を握り潰した異形の手。
ゴゴン、と音を立て空ごと扉が閉じた瞬間重力が戻った。昼間だったはずの空は夕方へと変わり、喧騒が町から聞こえて来る。下を見れば相変わらず召喚士や召喚士見習いたちが魔獣を追い回し、魔術師を伴う戦士たちが好き勝手戦いを挑んでいた。
解放感に溜め息を吐いて、ウィップのところへ行こうと切り替える。
「なぁ」
「何?」
「お前、自覚あったのか」
「教えられただけだよ。ある意味、親みたいな人から」
「そうか」
「イヴァ、君は何者?」
緩やかに降下していく中、イヴァお決まりの「さぁな」が聞こえて来た。
僕が言い当てでもしない限り、教えてくれないつもりだろう。軽く首の辺りを叩いて抗議の意を示し、けれどそれ以上何も聞かなかった。
僕もイヴァに聞かれて答えられることは何もないからだ。
『薄情なせいで迷ったのだ』
上から町を見下ろして思い出したのはウィップの言葉だ。僕が過ごしていた村が仮にあの魔獣に滅ぼされていたとして、同じ道を選んだだろうか。
「イヴァ」
「今度はなんだ」
「僕が誰かに殺されて、イヴァが復讐を選ばなくても、僕は薄情だと思ったりしないよ」
一瞬、イヴァの動きが止まった。けれど次には鼻で笑って何事もなかったかのように降り始める。
「そもそも俺たちはそんなんじゃねぇだろ。持ちつ持たれつ、深追いはしねぇ」
「でも改めて言うと僕らってなんなんだろうね。あ、ケナーさんは相棒って言ってたしそれでどう」
「あー、もういい。この話はやめだ、不毛過ぎんだろ」
「魔法関係で言えば師弟かなー、あとは皆と並んで仲間とか、同行者とか」
「お前な」
ピタリと動きを止めてイヴァがこちらをふり仰いだ。首を少し捻っただけで顔なんかはほとんど見えていないだろうという角度だったが。
「お前らが殺されること自体あり得ねぇだろ。俺が居るんだぜ?」
フン、と一際大きく鼻を鳴らすと今度こそ地面へたどり着くまで止まらなかった。徐々に下がっていく景色に、しがみ付いた首の温かさ。なんだか良いことを聞いた気がする。
イヴァにとっての僕は、魂が呪いで結びついてしまった相手だ。自分も死んでしまう以上、僕を庇うだけなら違和感もない。
しかし旅の同行者まで含めてというのなら。
「頼りにしてるよ、僕の半身」
ウィップの元へ着くと、傍に居たコルラスが大きく胸を張った。地上へ無事送り届けたことを誇って、自慢しているのだ。
横に降り立って頭を撫でると、上機嫌のまま首にしがみついてきた。契約印を合わせて落ち着きたいようなので、そのままにしてウィップの様子を確かめる。
「ちゃんと息してるね。寝てるだけだ」
「あんな高さから一気に降下だ。コルラスも見えねぇし、どの道気絶だな」
「あー、魔獣が離れたら妖精も見えなくなるのか」
「多分な」
ウィップ確保の報告は必要だろうと通信用の魔導具を取り出す。
異常がなければタスラやシーラと合流して屋敷に閉じこもろう。これ以上のことは絶対しないぞ、なんて考えながら。
そこら中から聞こえてくる破壊音やら魔獣の悲鳴なんかは聞かなかったことにする。後の始末まで押し付けられないように上手く立ち回らなければ。
今こそパドギリア子爵の権限を使って「貴族様からの依頼」を盾に町を脱出すべきではないだろうか。
「キサラです。ウィップを保護しまし……」
[キサラくん!? キサラくんだね、良かった!]
[一体今までどこで何をしていたのだ]
[こちらからの呼びかけに応じないものですから、何かあったかと思いました。ご無事で何よりです]
「え?」
ものすごい勢いでテベネスティさんが喋り出したと思ったら、若様はお怒りのようで、ファリオンさんは柔らかく息を吐いている。状況がよくわからない。
[昼頃から連絡が取れなかった理由は後で聞けるのだろうな]
ハッとして空を見上げた。冥界へ通じる扉を開いたことで何らかの異常が起き、太陽が急激に傾いたのだと思っていたが、どうやら違うらしい。僕らは思っていたよりも長い時間、扉の前に居たのだ。
若様たちと僕らの間には時間のズレが生じている。助けを求めてイヴァを見た。
「あー、なんだ、召喚陣に関することで調査してただけだ。他にも仕掛けがあったら困るだろ」
[テベネスティと同じ気質か。熱中すれば周りが見えなくなる]
[何故か飛び火しているけれど気にしないよ、何かあったかい?]
「いいや、悪いもんは何もねぇな。ただ、配られた偽の魔除けは残ったもんがあれば全部処分した方がいいぜ。憑りついてた魔獣がかなり捻くれた奴だったからな」
[まさか倒したのか?]
「いんにゃ、ありゃほとんど自滅だ」
「幸い神官の方は無事ですが、意識が無いので人手をください。どこに運びますか?」
[屋敷に運ばせるか。良いだろう、そちらへ向かう]
若様が来るらしい。魔獣が居なくなったとはいえウィップは首謀者という位置付けだ。一度様子を見ておきたいのか、それとも秘密裏にジェリエくんやケナーさんと取引でもするつもりなのか。
考えても仕方がないので、タスラやシーラにも連絡を取る。
「タスラ、シーラ、そっちはどう?」
[キサラ!]
[良かった、無事だったんだね]
「そっちも元気そうで良かった。何か変化は?」
[ううん、ずっと外に居るけど色んな人が走り回ったり飛び回ったりしてるばっかりで誰も来なかったよ]
[何匹か魔獣が罠にかかったから、魔術師の人たちにあげたんだけど、良かったかな]
タスラが言うには、買い取りという形で報酬金がもらえたのだが、相場までは確認しなかったらしい。もしかしたら買い叩かれたかもしれないと後になって不安になったというわけだ。
それはそれとして、初めて自分たちで上げた稼ぎなので、少し声が高く、喜んでいることもわかる。ゆっくりと話を聞きたいところだ。
若様の指示で見張りを別に立て、タスラやシーラも屋敷へ戻ることになった。
「そういや、大規模召喚が召喚士一人で足りた理由がわかったぜ」
「召喚士が不死者として起き上がるときの力を転用した、とか?」
「それもあるが、一番大きく作用したのはこの町だ」
「特別な特徴のある場所とは思えないけど」
「上から見りゃよくわかるぜ。町を囲む柵やなんかあったろ、あれがちょうど六角形だ」
イヴァ曰く、町の一番外側、柵がきっちり長さの揃った正六角形だったという。中に建つ建造物が乱雑で気が付かなかったが、収める形は神経質なまでに整えられていたのだ。
「次に魔法陣の位置が問題だ。瘴気を溜め込むのが目的だってんなら、地下を縦に掘るだけでいい。地図をもう一度よく見てみろ」
テベネスティさんの作成した地図を複製したことで、持っている地図には幾つかの印が付いている。中でも目立つのは魔法で隠されていた場所、召喚士の死体と魔法陣が置いてあった家だ。
魔除けと称した錯乱の魔法はこの家を囲うように施されていた。これは近くで見たごく狭い範囲。全体で見ると、あの空き家が西側へ位置していると同時に、町の中央に近いことがわかる。
「あの魔法陣、もしかして大通りの真下にある?」
「確認はしてねぇが、位置は同じはずだぜ。召喚士の体で隠れたあの魔法陣も、六角形だろう」
「カレディナ監獄塔は、中央塔の地下に敷かれた魔法陣の形そのままに塔が建てられていたけど、今回はこの町の形状を利用して陣が描かれたってことだね?」
「そうなる。中心部の真下にあの空間が存在していると考えてまず間違いねぇ。加えて、錯乱の魔法に使われた偽の魔除けも一定距離だ。テベネスティは西側しか自由に動き回れなかっただろうが、東側にも同じような位置に同じ効果の魔法が置かれてると考えるべきだな」
「左右対称……?」
「ああ。上からは町全体が巨大な魔法陣に見えるってわけだ」
かなり思い切った力技に見えるが、成功した以上仕組みとしては成り立っていたということだ。
一つだけ意外なのは、対峙した魔獣のこと。これだけ大掛かりな仕掛けを施す忍耐力や考えがあったとは。
とてもそんな風には見えなかったが、落ち着いていれば案外、策士だったのか。
魂すら失われてしまった今、もう知ることは出来ないが。
この町の魔獣騒動はこれで幕引きだ。「結界を自主的に張れない町や村は神官から魔除けを買う」という習慣が狙われた形だが、二度と同じことが起きないよう、神官たちの間では防止策が話し合われる。
今後魔獣が増加、活発化しても、それは誰かの召喚によるものではないだろう。
短い期間だったが、若様やテベネスティさんたちと過ごした時間はとても濃かった。少しだけ寂しいような気もするが、町から出られるようになるのだからお別れだ。
若様は赤日にこの町を出る予定だったが、既に時刻は炎夜、もうじき夜になる。迎えが来ると言っていたが、その迎えは無事にこの町へたどり着いたんだろうか?
「何の問題もなければ橙日に出発しようか。それまであのお屋敷が使えればいいんだけど」
「今度は徒歩? それともまた荷馬車に乗せてもらうの?」
「うーん、そこは考えてなかったな。兄さんとファリオンさんとも相談しようか」
「テネスさんともお別れかー」
「シーラはすぐに仲良くなってたね」
「うん、女の子同士だもん」
テベネスティさんは「少年よりも少年らしい」女性という印象なので、女の子、は絶妙に噛み合わないのだが、ここで異議を唱えるべきではないだろう。
◇
町で起きた大規模召喚は、後に魔獣事変と呼称される。
別名「ログラネスの悪夢」と呼ばれることになるこの事件においては、複数の事実が伏せられた。筆頭は、作為的に異変が引き起こされたこと。
神官による事件ではあったが、魔獣に憑りつかれていたことや防衛にジェリエくんやケナーさんが参加したことなどが考慮され、神官全体が批判にさらされることはない。
魔獣被害を報告した十数の町の内、幾つかは神官が常駐しておらず、それがウィップの訪れるきっかけとなったようだ。いずれの町もウィップが訪問し、訪問先自体はわずかだったが、その付近にも魔獣たちの足が及んだと考えられている。
一ヶ所だけで魔獣の増加や活発化が起きれば、何らかの要因があるとして詳しい調査が必要になる。一方で広範囲に複数同じ事象が起きれば「未確認の自然的現象が作用している」と誤認しやすい。
そうやって目的の場所を目立たせず、魔術師の集中を避けたのだ。
どれも後の調査でわかったことで、ジェリエくん経由で教えてもらった。ウィップに関するあれこれに、イヴァやファリオンさんが強く興味を持ったからだ。
ちなみに、事件を示す由来となった「ログラネス」とは、原初の七魔である。
魔獣王・ログラネスが多くの魔獣を率いる姿を人々は「悪夢」と呼んだ。大移動の後は草木の一つも残らないからだ。
空からも地上からも魔獣の大群が押し寄せる光景は、まさに「ログラネスの悪夢」そのもの。あくまで民衆からすれば、の話だが。
魔獣の大群は欲深い人間たちに追いかけ回され逆に悪夢を刻まれた。
最後に、神官・ウィップについて。
彼が引き起こしたことは、魔獣に憑りつかれていたことを差し引いて尚も重い。被害が最小に抑えられたとはいえ、魔獣の企てが成功していたら町一つどころか領地一帯が無くなっていたことも考えられる。
ウィップは監獄塔へ幽閉、体内に潜伏している魔物が他にいないか徹底的に調べ上げられ、その後は。
『そうか。終わったのか』
目覚めたときそう溢した彼は、魔獣に憑りつかれていたときとは明らかに顔付きが違った。
ただ淡々と問われたことに答え、ときに穏やかに息を吐く。
戸惑う様子もあったが、しばらくの間は償いに追われ悩む暇もないだろう。
目的も当てもなく、白紙の明日だけが唯一彼に残ったもの。
利用され、踏みにじられ、遂げられることなく潰えた復讐だったが、激情の影はどこにも見られない。
彼の横顔に浮かんでいたのは、安堵だった。
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