ロルスの鍵

ふゆのこみち

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魔獣狩り編

Lv.99 まじない

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 最早これが夢だという意識はなかった。痛みも蘇った記憶も現実だ。
ロルスを見据え、視界の端に居る父さんと母さんに意識を向かわせる。

「アナタは、神様なんですか」
〔否。我らは本来外枠に在る。神族に準ずるものではなく、独立した宇宙のようなもの。神域の外側にある概念はどこにでも在り、またどこにも無い〕
「アナタの言っていることが正しいと言う確証が、ない」
〔不要。選択肢は既に示した。選ばないのであればやはり回収するまで〕
「僕が従ったら、両親は元に戻りますか」

 ロルスの意に背いたからあそこに居るというのであれば、それに従じることで二人が無事に解放されるという確約が欲しい。どんなことを選ぶとしてもだ。

〔それを決めるのは私ではない。言っただろう、お前の処遇を決めかねていると。この二人は既にお前の一部。器の回収を行う前、付属した機能をこうして封じ固められた〕
「ここは、どこなんですか」
〔此の場所を言い表す言葉はまだお前の中には無い。表層の世界でないことは確かだが〕
「戦う敵もわからないのに、選べません」
〔……いい加減図々しいが、一理あるか〕

 ロルスが形を失い始めている腕を上げ掌へふぅ、と息を吐くと煙のようなものが走っていった。煙は数体の人影や風景を作り出し、動き出す。声は聞こえないが口を動かし何か話をしている様子だ。煙が背後にまで走っていき、景色を変える。灰色のくすんだ宮殿が現れた。前方から歩いて来る人型が天使だと気付いてしまえば、そこが神殿だとわかる。

〔神は、生死の境界となる権能を自ら手放した。ちょうどその頃人間界では何者かが行動を始めていたのだ。先導する者が声高に叫んだのは、天界に居る神こそ邪神であるというもの〕

 色のない天使たちが行き交う。これは、きっと記録なのだ。ナキアが作り出した疑似空間と同じように過去にあった出来事を、煙に映し出している。違うのは、色が無いこと、音がないこと、自分が今まさにその中に居るのだと錯覚すること。

〔大戦の話を聞いたことは無いか。失ったモノを叫び神に戦いを挑んだ者たちの話を〕

 神殿の中を行き交う天使たちは何かを抱えていたり、書類を持っていたり、他の天使を従えて歩いていたりと各々自分の役割を果たすため行動しているようだった。時折天使たちが同じところで足を止めては、眉を顰めて歩いて行く。気になってそちらに歩いて行くと、僕の歩きに併せて景色が流れていく。どうやら記録の中でありながら自由に動き回れるらしい。

〔失ったモノとはすなわち、愛する者。先程も言ったが天使は魂を回収する役割を担っていた。愛する者の魂を奪ったと神は認識されてしまった〕

 遠く、神殿の果てに建物が見えた。といっても小さなもので、屋根があり柱があるだけ。壁はなく、恐らく十人も入ったら窮屈だ。
そこには天使が数人と、何故か悪魔が居た。柱に手をかけて窺っているとまた天使が足を止め、あの建物……恐らくはそこに居る天使たちを見て嫌悪に顔を歪める。

 無性に彼らが気になった。

〔最初、人間界に居る何者かは天使を造ろうとした。魂を肉体へ戻す為。天使になりたかったのだ。禁忌に触れ、結局不完全な天使を生み出した。あそこに居る天使の一人が、そうだ〕
「不完全な、天使」
〔そう。だからあそこに居る。全員、異なる理由で異端と呼ばれた者たちだ〕
「異端は、弾かれるものなのですか」
〔私には理解の及ばないことだ〕

 ロルスは煙に手を差し込むと、その光景を掻き回す様に一振りで消してしまった。
今度は全く違う場面になる。大きな泉か、鏡のようなものが中央にあって、柱が周りを囲った場所。

 天使だ。男の姿をした天使が跪いて、俯いたまま動かない。前方には複数の天使。幾分か年老いた姿をしているその天使たちは、彼を糾弾しているようだった。責めるように怒りの表情のまま彼を指さし何かを語っている。
 俯いていた天使は顔を上げ、苦し気な顔で何ごとか返した。しかし口元にはわずかな笑みがある。

「兄さん?」

 天使は、兄さんの顔をしていた。
一番高い席に着いていた天使が一つ腕を振ると頭上から光が降って来る。兄さんの顔をした天使はそれを受け、次の瞬間には光を残して消えてしまった。
あっと声を上げる間もなく、あっけなく。

〔天界での混乱は既に始まっていたのだ。既に掻き回されていたのだろう、誰も彼もが疑心暗鬼に陥りこの有り様だ。天使が一つ消滅し、波紋が広がった〕

 残っていた光を、若い天使が集めていく。その場を立ち去る背中を見届けて、ロルスは煙に手を差し入れた。煙が視界を塞ぎ、また開けたと思った瞬間には別の場所へ。
今度は神殿などではなかった。人間界のように見える。

 人族と魔族が軍隊を成し、大行進している。
 先頭に立つ鎧の騎士が剣を掲げ何かを叫んだ。率いる魔物たちの中には人族の他に天使の姿も見える。これが、大戦の連合軍。
どこからともなく男性体の天使が現れ、鎧を纏うと魔物に号令をかけ飛んでいく。開戦だ。

 連合軍を迎え撃つ天使が、泣いている。
相手取る敵も天使だ。知り合いだったのかもしれない。その中に男性体、人型の悪魔が混ざっていた。何かを探す様にして戦場を駆け回っている。その悪魔を追って景色が流れていった。奥へ進む程天使が少なくなっていく。ほとんど他に天使が見えなくなった頃、巨大な扉へ行きついた。ここが目的地らしい。

 悪魔が眉を寄せ、キツく目を閉じた。扉に手をかけると一気に開け放つ。
そこには女性体の天使が玉座に座っているのが見えた。

「顔が、ない?」
〔箱の中に答えがある。残りの記憶だ。開き切らない部分に当たる〕
「彼女はどうしてあそこに?」
〔その答えもまた、箱の中だ〕

 玉座の前までやって来た悪魔が必死の形相で彼女に語り掛けるが、天使は思わしい答えを返さなかったのだろう。痺れを切らしたのか悪魔が天使の腕に手をかけようとして……。

〔人族は、神に祈った。返してくれ、愛する者を返してくれと。当然、権能を既に手放した神にそのようなことは出来ない。彼らは邪神が天界の玉座に在るという話を信じた。今こそ悪しきを挫き、失ったモノを取り戻すのだと〕

 悪魔の背後に鎧の騎士が迫る。顔は隠れてどんな人物かは判別出来ないが、体格からして男性だろう。魔導具だろうか、騎士の使った鎖が悪魔を引き倒し、床に縫い留めた。
鎖は悪魔の肌を触れた部分から焼いていくが、彼はそれすら気にせず玉座の天使に向かって手を伸ばす。
 剣は今にも彼女を切り裂こうと振り上げられていた。

 一瞬、何が起きたのかわからなかった。鎖に縫い留められていたはずの悪魔が天使のすぐ傍に現れ、庇う様に抱きしめたのだ。一度悪魔の背を切りつけた剣は、返す刃でそのまま二人を貫いた。

〔不完全な天使を造ったことで、天使は魂こそ奪えても返し与える能力は無いと知った。直接冥界へ干渉出来る神になり替わることを目指し、この大戦だ。が、権能すらないことをこの場で理解したのだろう。でなければこの二人は神が救うはずだからな〕

 騎士は佇んでいた。思い描いていた成果を上げられなかったせいだろうか、よろめきながら数歩後退する。
悪魔は、生きていた。間近にある天使に顔を寄せ、何か語り掛けている。もしかすると、名前を呼んでいるのかもしれない。
しかし天使は微動だにしなかった。

〔我らは、権能が癒着先をお前の魂と定めたことを知った。取り出すには器が必要だ。だからこそ天使交わりし血筋へ産みつくよう流し、肉体を男性体に固定した。来るべき時までお前を守る存在を配置し、器が育つのを待った〕
「どうして男に拘るんですか」
〔子供を産ませないためだ。生命を産み落としたとき、鍵が欠けてしまうことを危惧した。何せ権能が生物の形を取るのはこれまでなかったこと。何があるかわからない。望めば、外してやる〕
「外す?」
〔我らが設けた制限をだ。全てが終わったその時は、聞かないこともない〕

 話に夢中になっている内、騎士は居なくなっていた。代わりに誰かが玉座の前に現れる。
折り重なって剣が刺さったままの二人を見下ろしていた。僕はその背後に立っていて、表情は見えない。
背中に漂う悲しみの念に飲まれ、とても回り込んでその顔を見る気にはなれなかった。

〔あれが、お前たちが言うところのカミサマに当たる〕

 七人、天使が降り立って二人を囲んだ。
色がなくてもわかる。剣先からは瘴気が溢れ出ていた。
 中心に立っていた真っ白な人型が突き刺さったままの剣を引き抜いた。乱暴にそれを投げ捨てると、瘴気にまみれた光を両手で取り出し、大事そうに胸へ抱え込んだ。それを覗き込んだ天使たちは、一人ずつ光を撫でていく。知った仲だったのだろうか。

〔もういいだろう〕

 煙はそのまま消えてしまった。色のある世界に戻り、形が崩れ去ったただの光を見つめる。「我ら」というからには他にもロルスと並ぶ存在がいるということだ。
複数の存在が僕を持て余している。処遇を決めかねて、吟味している。つまり、父さんと母さんがどうなるかは僕の肩にかかっているのだ。

〔今一度聞こう、生命の鍵よ。敵とは、見た通り神になり替わろうとした者たちだ。愛する者とやらを手元に取り戻そうとしている者どもよ。これらを倒すか、それとも我らに回収されるか。選ぶがいい〕
「……生まれ変わりを信じる考えもあります。それなら、求める魂は既に転生しているのではないですか」
〔然り。だが魂には記憶が付随しない。つまり完全ではないのだ。冥界には生涯に渡る記憶が収められ、管理されている。わかるだろうか、環境や経験を少しでも違えれば、同じ器、同じ魂を与えようとも完全な同一個体にはなり得ない。よく似た別物だ。知ったことではないが、紛い物では満足しないのだろう?〕

 だとすれば、鍵を求める理由は冥界に収められている記憶の方か。

〔冥界には亡霊が繋がれている。あの鎧の騎士が。天界の神、魔界の魔神、妖精界の精霊王に屠られた亡霊はお前の存在に気が付いている。権能が実像を持った物体として現界していることを知り、名前を付け追い求めているわけだ〕
「冥界側からでは意味がないのでは。こちらとの行き来は出来ないのでしょう? 僕が居ないと」
〔首魁は亡霊ではなかったということだ。禁忌を犯し禁術を扱う者が亡霊の背後にいる。私としては今すぐお前を回収し、手元に置いた方が楽でいいのだが〕
「敵はわかりました」

 足掻きたいと思う。
このまま消えてなくなるのなら、出来ることをしたい。まだ、この世には未練がありすぎる。父さんと母さんが元に戻る保証もないし、ナキアだってどうなったのかわからない。
それに、僕が回収されてしまったら、呪いで魂が繋がれているイヴァはどうなってしまうのだろう。イヴァだけでも助かる方法を見つけたい。

「何より、僕は生きたい」

 生命の鍵として生きて来たわけではない。ならば最後まで人間として在りたいのだ。
少なくとも、今この時は。

〔愚か者が〕

 殊の外、怒りの感じない声だった。呟きのようなそれと共に魔法陣が逆向きに回転し始め、木が父さんと母さんの姿を隠すように閉じていく。
琥珀色の中に眠る二人の姿が見えなくなると、風が吹いた。妖精たちが木に生った蕾の中へ飛び込んで、眠りにつく。僕の背中にあったはずの白い翼も、ただの羽根となって散って行った。

〔君の行く末を見届けるよ。心を持った私の残滓〕

 コーン、コーン、コーン。また石が跳ねるような音がした。天井のように上を覆っていた木の根が開いて行き、隙間から石が落ちて来る。どこかで見たようなそれに目を凝らすと、ナキアの疑似空間で夜空を閉じ込めたあの石だとわかった。

〔いつか正しい場所に返すといい〕

 口に押し込まれ胸に落ちて行く。正しい場所とはどこだろう? ナキアの疑似空間だろうか。
バキバキと音がして、地面の隙間から根が飛び出してきた。強い風と共に。

「コルラス!?」
〔風の加護か、頼もしいね。それにいい子だ〕
「コル、守るしに来た!」
〔行っておいで。既に土の妖精王が道を開いた〕

 以前夢の空間にまでついて来たことがあったけれど、契約があればこんな不確かな場所にまで来れるのか。たまらなくなって駆け出す。なんだかんだと言って僕は心細かったのだ。地面が消え失せ、飛び込む形でコルラスを抱きしめる。

〔忘れないで、哀れな君。魂にかけられたそれは呪いなんかじゃなかった。まじないだったんだよ〕

 木の根に絡め取られ頭上に開いた穴へと押し上げられる。驚いてロルスを見るが、もうそこには居なかった。まじない。古代の呪いと言われた、僕とイヴァの結びつきが?
木の下にあの箱が転がっているのを見た瞬間、外へ弾き出された。真っ暗な空間に、根はもうない。
コルラスの精霊魔法で更に上へ登って行く。

『……ラ、キ……ア………』

 絞り出すようなか細い声が聞こえた。何もない空間に声が反響する。けれど一人の声ではない。ロルスの声でもない、どこかで聞いた複数の声。

『キシアラ』

 僕の首を絞めていた腕はもうない。嗚咽も聞こえない。黒く塗りつぶされた真っ暗な空間から抜け出る瞬間、イヴァの瞳が見えた。
燃えるような炎が揺らめく瞳。真っ赤な、眼。ただすぐ近くにある。目に膜が張っていって、いつもとは違う揺らめきを見せるそれ。まるで、涙のような。



〔戻ったか。愛し子〕

 気が付いたら元の部屋に居た。ボロボロの空き家、ナキアが綺麗にしていった部屋だ。痛みがしたと思えば、顎から胸の中心まで這いまわっていた感触がぶちぶちと音を立てて剥がれて行く。胸部の中心に浮かび上がっていた魔法陣が目の前の麗人に払われ霧のように散った。

〔運の良いことだ。突発的に発生した呪いは滅びた〕

 であれば体力を回復しなくてはな、と妖精王アプレッテは僕の瞼を抑え、眠りの術を掛けた。

〔健やかに。風の加護を持つ者よ。その赤目をよろしく頼む〕と残して。





〔さて、長くは留まれぬ。愛し子が無事なのであればやることは一つ〕

 妖精王アプレッテはキサラの前から退くと、タスラの前に降り立った。

〔土の子を消滅の危機から救ったのは半成の子であったか〕
「え、どうして」
〔コボルトの気配がする故、後は音を聞けばどんなことがあったか紐解けよう。感謝を。混血の戦士よ。我が加護と、精霊魔法を授ける〕

 戸惑うタスラをそのままに、妖精王アプレッテは額に唇を寄せた。キスをしたのだとハッキリ理解したのはその姿が見えるイヴァラディジだけだが、眉を顰めるだけで何も言わない。
タスラの額へ、土の属性色を帯びた光が模様を描く。妖精王アプレッテの唇が触れている部分から祝福が流れ込み、全身へ行き渡った。

〔少し眠りすぎたな、我が子よ〕

 妖精王アプレッテの加護によって目覚めたコボルトの少年が、タスラの体を抜け出て目の前に現れる。
タスラとコボルトの少年は身長がほぼ同じで、その目線はちょうど正面で合っていた。弱り切っていた気配が力強く光を放ち姿を現したことに、タスラは顔を綻ばせる。
 正面でその笑みを見たコボルトの少年も、また微笑んだ。

 コボルトの少年に妖精王アプレッテが「共に来るか?」と問いかけた。しかし少年は首を振り、タスラの宿り身としてまだやりたいことがあるのだと答え、戻って行く。

〔土の子よ、フォーンの血を引く妖精種よ、風、水、火に引けを取らぬ力を期待する。お前たちも健やかに〕

 町の魔獣騒動が新たな展開を見せ大きな騒ぎになるのは、妖精王アプレッテが去った直後のことだった。


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