クラスの人気者~少年の舌遣いは有料です

紫陽花

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4 五千円①

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 ハッキリと最後まで言ったわけではないが、翔が何を望んでいるのか忍は分かった。分かってしまった。視線をクラスメイトの股間に向けると、大きく膨らんでいるのが分かる。多分、さっき忍が見せた、お尻を振りながらフェラチオをするという痴態に興奮したのだろう。
 男が興奮したら、望む事は一つである。
 恥ずかしそうに友達のお尻をチラチラと見る翔を、忍は真っ直ぐに見つめ返した。
 忍の視線に気付いた翔が、慌てたように言葉を継ぐ。

「ああ、いやいや、忍は何もしなくてもいいよ。口でするみたいに、頑張らなくていい。楽にして、寝っ転がってくれるだけでいいんだ。無理にはしないし、痛かったら言ってくれ。やる前にちゃんとマッサージするし、多分、それって忍も気持ち良いと思うから、だから……」
「ぶはっ!」
「…………え?」

 さすがにこの状況でクラスメイトのお尻を求めるのは無理筋だと、翔も分かってはいたのだろう。だから早口で、言葉数も多く、忍に無理な事はしないと一生懸命に喋っていたに違いない。
 そんなクラスメイトの一生懸命さがおかしくなって、忍は思わず噴き出してしまった。
 忍にとってクラスメイトの翔は、いつも一緒に遊んでいる友達である。大体の話題は合うし、ゲームで遊んだりサッカーやキャッチボールで身体を動かしたりする事もある。教室では普段から固まっているし、移動教室や体育の班分けなどでも同じグループになる事がほとんどだ。
 そして大抵は、翔がグループのリーダーになる。一番声が大きく、みんなを引っ張っていく存在であり、「行こうぜ!」と声をかけるのは、いつも翔だ。
 そんな、自分というものがハッキリあって、何をするにも、何を言うにも自信を持っていた翔が、忍を前にしてしどろもどろになっている。
 それが、おかしかった。
 そして、何か心が浮き上がってしまった。フワフワとするような、単なる楽しいとは別の感情。
 この気持ちに名前を付ける前に、忍はクラスメイトを受け入れた。

「はあ……。いいよ」
「え? は?」
「翔はボクのお尻に、オチンチンを入れたいんでしょ?」
「え、あ、いや……、まあ……、そう……なんだけど……マジで? いいの?」
「ホントに五千円だよ。ああでも、するならお風呂がいいな。トイレでキレイにして行くから、先にお風呂に行っててよ」

 翔の家のトイレは、ウォシュレット式である。

「お……、ああ、分かった! さ、先に風呂行ってるからな!」

 あまりにもあっさりとオーケーをもらった翔は、拍子抜けしたような顔を見せた。だが、すぐにパッと笑顔になる。全く想像もしていなかったわけではないにしろ、受け入れてもらえるとは思っていなかったに違いない。
 廊下に出るや、喜び勇んで階下に降りていくクラスメイトを見送りながら、忍は階段とは反対側にあるトイレに向かった。
 我知らず、忍の口元は笑いの形になっていた。



「お待たせ」
「お、おう」

 翔は昨日と同じく、浴室に全裸で待機していた。そして股間の逸物は、少年の期待感をそのまま表しているかのように、隆々と天井を向いている。
 学校の移動教室やプールの授業での着替えなどでは、恥ずかしさが先に立って、忍は友達の裸などまともに目を向けてこなかった。自分が見られるのが恥ずかしいだけでなく、見ることにも恥ずかしさやうしろめたさを感じていたのだ。
 だが、昨日と今日で、忍はクラスメイトのモノを何度も見たし、触ったり舐めたり咥えたりもした。そのせいだろうか、翔の身体と股間にそびえたつ男のモノを、忍は遠慮なく眺めやる事が出来た。
 男性器を、男のシンボルと呼ぶことがある。今、忍の目の前には、少年には不釣り合いに大きな肉棒が、主張も激しくそそり立っている。それは、まさにシンボルといっていい存在感を放っていた。友達の股間に性器があるのではなく、性器を支えるものとして身体があるのではと錯覚してしまうくらいである。
 一方の忍も、今日は腰にタオルを巻いておらず、可愛らしいお尻も小柄な身体に似合わないサイズのモノも隠していない。忍のモノは翔と同じくらいのサイズだが、それだけに、余計に大きく見えてしまう。股間に揺れる忍のモノを、正田が思わず触れてしまったのも仕方のないことかもしれない。

「えーと、そしたら、ボクはどうしたらいいの?」
「そこで四つん這いになってくれよ。お尻はオレに向けて」
「オッケー」

 クラスメイトの求めに応じて浴室の床に四つん這いになった忍は、翔に向けて躊躇うことなく無防備なお尻を差し出した。人間は、自分のお尻の穴は見えない。だから、翔が自分のお尻をマジマジと見ている様子も見る事が出来ない。もちろん、首を巡らせれば苦しい態勢ながら見られるかもしれないが、それは逆に恥ずかしくて、忍は頭を真っ直ぐ正面に向けた。

「……!」

 と、正面に鏡がある事を思い出した忍は、自分の頭の向こうに友達の顔が見える事にも気が付いた。
 鏡の向こう側で、翔は忍のお尻をじっと見ている。そして生唾を飲み込むと、プリっとしたお尻に手を当ててきた。

「ひゃっ……」

 普通に生活をしていれば、他人にお尻を触られる事など無い。そして普通ではないセックスの場面でも、男ならば尻を撫でられたりはしないだろう。尻はもっぱら、男が女のモノを愉しむことが多い。
 だが、翔は違った。同性のクラスメイトである忍のお尻を、愛おしく撫で回してきた。男が男のお尻を撫で回す。しかしそれは、忍の身体に甘やかな感覚を波立たせていた。くすぐったいのとは違う。射精の快感とも異なる。だが、とても気持ちの良い感覚だった。喉奥から霞のように薄い快感が溢れ出し、触られているお尻からは皮膚の上を走るような愉悦の感覚が全身に広がっていく。

「ふ……あ……」

 甘くて淡い快感に、忍は全身から力が抜けていくように感じられた。四つん這いでいる事もだるくなり、上半身だけをうつ伏せのようにする。白くて綺麗なお尻を友達に突き出して、忍は身体中に広がる薄い快感を味わっていた。

「エロ……」

 翔の呟きが聞こえてきたが、忍は構わなかった。確かに今、忍はエロい気分になっていたからだ。
 と、忍のお尻の穴に何かが触れてきた。それと同時に、小柄な少年の身体を稲妻のような快感が貫いた。尻穴から脳天まで一直線に、快感の電気をまとった槍が貫いていったかのようだ。それまで力なく淡い快感の海を漂っていたような忍の身体が、バネのように一気に硬直する。

「わ、わりぃ……。なんか言ってから触った方が良かったか?」
「? ……? あ、ああ……翔が触ったのか。ビックリしたぁ。ふう……。いいよ、ちゃんと洗ってよ」
「ああ」

 尻肉を触られていただけで夢見心地のような気分だった忍は、自分が何で友達に剥き出しのお尻を向けているのか思い出した。

 ――五千円……、五千円……。

 この後もらえる金額を、心の中で呪文のように唱えながら、忍は意識を自分のお尻に集中した。

「忍、力抜いてよ」
「ふえあ?」
「キュッと締まってて、チンチンどころか指も入んないよ」
「そ、そんな事言われても……」

 脚と脚の間のデリケートゾーンは、男であろうと女であろうと、他人が触れるような場所ではない。そこはどの部分も非常に敏感である。お尻の割れ目、菊門、蟻の門渡りと呼ばれる会陰部、袋、そして肉棒。
 忍が触れられているのは菊門だが、その周囲の会陰部に触れられても、痺れるような快感が身体を走る。

「マッサージすればいいのかな?」

 そう言って、翔はボディソープを手に垂らすと、忍のお尻の穴周辺を洗うように揉み始めた。

「ふえあああ……」
「おお、面白っ。撫でるたびに、忍のお尻がキュッキュ、キュッキュするよ」
「へ、変なこと言うなあ……」

 恥ずかしくて、忍は頭を上げる事が出来なくなってしまった。頭を上げれば、鏡越しにクラスメイトが自分のお尻をどのように弄っているのかが見えるのだが、喉奥から漏れてくる快感に、力を入れることも出来ない。

「お……」
「んん……!」

 人間、どのような部位でも、力を入れ続けることなど出来ない。気持ち良さに身体を震わせていた忍が、ふっと力を抜いた瞬間、お尻に圧迫感を覚えた。何か重いものが身体の中に入ってきたような、そんな感覚。

「おお、入った入った。すげー、忍の身体の中、柔らけー」
「うそ……、入ったの? 入ってるの?」
「おお。オレの中指が根元まで入ってるぜ。……ああ、なるほどな」
「な、何が……なるほどなの……?」
「忍、ウンコする時みたいに踏ん張れよ。そしたら、指がスルッと入る」
「ふええ?」

 入れるのに、出すような感覚。
 混乱しそうになるが、忍は翔に言われるまま、腹筋の力を抜いてお尻をイキんだ。

「そうそう、良い感じ。さっきまでの硬い感じがウソみたいだ。お尻の穴、面白え。……おっと」
「こ、今度は何?!」

 自分の身体の見えない部分で、そこを弄っている人間が何かをしくじったような声を出す。不安に駆られた忍は、上半身を起こそうとした。
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