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第五章 人体再生

魂の注入装置8

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 鉄ちゃんの体から降りてすぐに、私はマスターシズカに『念』を送った。

『マスターシズカ聞こえますか? 
 鉄ちゃんの脳波が動き出しました。
 きっともうすぐ目を覚まします。
 月のみなさんには感謝しきれません』

 すぐに返信が返ってきた。

『月夜姫、それは良かった。
 まずはかぐやを通じて月人に拡散いたします。
 少々お待ち下さい』
 
『ええ! 』
 突然マスターシズカが声を張り上げた。

『どうしました? 』

『月人全員が歓喜の雄叫びをあげました。 
 喜びの『念』が行き交っています。
 その振動で、なんと月が地震のように揺れ動いています。木も水も草花も動物たちも空気でさえ、その振動で揺れ動いています。
 何重にも重なった喜びの声が次々と聞こえてきます。全てを念にのせて月夜姫にお伝えしたいのですが、情報が大きすぎてできそうにもありません』

 私の瞳から涙が流れ始めた。
 翁じいも同じだった。

『そして、月夜姫に向けたたくさんの愛が私に伝えられています。
 この愛は、月夜姫に伝わっていますでしょうか? 』

『うん、とっても暖かい。十分伝わっています、ありがとうマスターシズカ』

『私は身体中が震えています、体の隅々まで十億人の愛で包まれています。
 涙が止まりません。
 産毛が逆立ち、暖かい思いと心地いい震えが駆け巡っています。残念ながら全てを月夜姫にお伝えするだけの能力が私にはありません。

 月夜姫への思いが月人を一つにしています。
 一人一人の愛が集まって、巨大な一つの愛ができあがりました。

 月人つきびとの意味でかぐや一族になったのです。

 それを実感できる私はなんて幸せ者でしょう。感謝するのは月夜姫ではありません、私です。
 もう立っていられません、涙が溢れて止まりません』

 マスターシズカの声が震えている。

『申し訳ありませんが、一度月人の繋がりを解除いたします。これ以上は身体が持ちません。

 月夜姫、心よりお喜びを申し上げます。

 そして、ありがとうございました』

 ——交信が終わった。
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