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第五章 人体再生
魂の注入装置7
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「ルナママ、ポットを開けて」
「はい」
《魂のベッド》の収納ポットが開くと、卵をつかんで持っていく。
そして中に入れると扉を閉めた。
底部の感知器がヒヨコの魂を感知して、赤く光っている。
「では注入を行います」
「うん」
ヒヨコさんごめんね。
ルナママが出力を上げると、ラッパが3111番の鉄ちゃんの魂を吸い込む。
根元が青色に光り、ロートの先から鉄ちゃんの魂が飛び出すと、
ほわん………
卵に入った。
遅れて降りてきた翁じいも成り行きを静観している。
ピピピ………
装置のランプが赤と青に交互に点滅すると、
ピー
青で止まった。
「ああああああ、やったぁ! 」
だが、その瞬間、ヒヨコの魂が出ていくと殻に小さなヒビができた。
パリッ………
「月夜姫これじゃ、吸引できません、割れてしまいます」
「残りは何秒? 」
「20秒です」
「卵も鉄ちゃんも両方のポットを開けて、アームで鉄ちゃんの口をこじ開けて! 」
「分かりました」
ウィーン、鉄ちゃんが収納されているポットが開いた。アームは体を支えている。そして別のアームが口をこじ開ける。
よし!
私はそっと卵を持つと鉄ちゃんの方に向かい大きくて頼もしい体をよじ登った。
そして肩車のように足を首に巻き付かせて卵を思いっきり口に押し込んだ。
「お願い、鉄ちゃん飲み込んで!!! 」
鉄ちゃんの頭をぶんぶん揺らす。
「6」
「5」
「4………」
ラボにルナママのカウントダウンが響きわたる。
パリン
口の中で殻が割れた。
私は鉄ちゃんの口を塞いだ。
「2」
「1」
「ゼロ」
「鉄死ぬなー」
ごくん!
鉄ちゃんが卵を飲み込み、喉を通っていく。
あああああ。
どうだ、鉄ちゃん、どうなの?
死んじゃ嫌だ!
「鉄ちゃん大好きなんだからー! 」
無我夢中で大声を張り上げた。
そしてしばらく沈黙の時間が流れた。
——と、
ピコん………
えっ
ピコん、ピコん、ピコん………
モニターの脳波形がゆっくり動き出した。
そして段々とリズミカルになっていく。
「成功です」
ルナママの声が聞こえた。
「おおおおおおお」
無言で見ていた翁じいが叫んだ。
「本当? 本当なの? 」
「はい、まだ睡眠状態ですが、心拍数、脳波、ともに正常です。もうすぐ目を覚ますでしょう」
「鉄、鉄、鉄、鉄ちゃーん! 」
私はそう言いながら何度も何度もオデコをなでなでしていた。
「はい」
《魂のベッド》の収納ポットが開くと、卵をつかんで持っていく。
そして中に入れると扉を閉めた。
底部の感知器がヒヨコの魂を感知して、赤く光っている。
「では注入を行います」
「うん」
ヒヨコさんごめんね。
ルナママが出力を上げると、ラッパが3111番の鉄ちゃんの魂を吸い込む。
根元が青色に光り、ロートの先から鉄ちゃんの魂が飛び出すと、
ほわん………
卵に入った。
遅れて降りてきた翁じいも成り行きを静観している。
ピピピ………
装置のランプが赤と青に交互に点滅すると、
ピー
青で止まった。
「ああああああ、やったぁ! 」
だが、その瞬間、ヒヨコの魂が出ていくと殻に小さなヒビができた。
パリッ………
「月夜姫これじゃ、吸引できません、割れてしまいます」
「残りは何秒? 」
「20秒です」
「卵も鉄ちゃんも両方のポットを開けて、アームで鉄ちゃんの口をこじ開けて! 」
「分かりました」
ウィーン、鉄ちゃんが収納されているポットが開いた。アームは体を支えている。そして別のアームが口をこじ開ける。
よし!
私はそっと卵を持つと鉄ちゃんの方に向かい大きくて頼もしい体をよじ登った。
そして肩車のように足を首に巻き付かせて卵を思いっきり口に押し込んだ。
「お願い、鉄ちゃん飲み込んで!!! 」
鉄ちゃんの頭をぶんぶん揺らす。
「6」
「5」
「4………」
ラボにルナママのカウントダウンが響きわたる。
パリン
口の中で殻が割れた。
私は鉄ちゃんの口を塞いだ。
「2」
「1」
「ゼロ」
「鉄死ぬなー」
ごくん!
鉄ちゃんが卵を飲み込み、喉を通っていく。
あああああ。
どうだ、鉄ちゃん、どうなの?
死んじゃ嫌だ!
「鉄ちゃん大好きなんだからー! 」
無我夢中で大声を張り上げた。
そしてしばらく沈黙の時間が流れた。
——と、
ピコん………
えっ
ピコん、ピコん、ピコん………
モニターの脳波形がゆっくり動き出した。
そして段々とリズミカルになっていく。
「成功です」
ルナママの声が聞こえた。
「おおおおおおお」
無言で見ていた翁じいが叫んだ。
「本当? 本当なの? 」
「はい、まだ睡眠状態ですが、心拍数、脳波、ともに正常です。もうすぐ目を覚ますでしょう」
「鉄、鉄、鉄、鉄ちゃーん! 」
私はそう言いながら何度も何度もオデコをなでなでしていた。
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