金剛石男と月夜姫 〜えーっ！ マジで私が姫さまなの！！！〜

第五章 人体再生

魂の注入装置５

『いえ、これは月夜姫ご自身で答えを見つけていただきたいのです。
　その権利があるのは月夜姫だけです。
　なぜなら鉄ちゃん自身で答えを教えてくれていたからです』

『どういう事？　』

　うーんなんだろう？
　また頭が混乱しそう。

『鉄ちゃんの好きな物は何ですか？　』

『好きなもの？
　うーんココア味のプロテイン、鳥の胸肉、それと………』

　私はボラン島のお月見を思い出した。
　美味しそうに鉄ちゃんが、皿の上の、山盛りいっぱいの、丸くて真っ白な、———茹で卵を食べている。


　あーっ！　もしかして卵？　


『人も動物もみんな卵から生まれる。
　卵が受精卵になった途端、魂が入り命が芽生えるんだ！！！！
　これこそまさしく《魂のベッド》ですか！？　』
　私は力いっぱい念を飛ばした。

『十億人の頭脳が導いた答えと全く一緒です。それでこそ月夜姫です。
　つまり新鮮な受精卵の魂と鉄ちゃんの魂を入れ替えて身体に戻せばいいんです』

　バカバカバカバカ、月夜のバカ！　全く気がつかなかった。

『お屋敷に一番近い養鶏場は２５キロ先にある笹木養鶏場です。
　ミラがそこの店主のお爺さんにアクセスして、家に留まらせています。

　朝、タロウがそこの孫にアクセスして今日産まれたばかりの受精卵を孵化ふか機に入れさせました。

　その家には息子夫婦がいますが、ルリとケンタが二人にアスセスして町に映画を見に行くように仕向けました。
　町にいくと丁度焼き鳥の匂いがしてきます、そのルートを通るように三人のブレインがトラップを仕掛けます。
　その結果泥酔して一部屋だけ空いていた町の旅館に泊まります。それも十数人のブレインが手分けして操作しています。

　後は家にいるのは孫とお爺さんとお婆さんですが、シナリオだと、サイトウがアクセスしている彼女が来て、もうすぐ孫はドライブに出かけます。

　これで面倒くさい人たちは家にいません。そしてお婆さんはエリが昼寝に誘いました。

　少しボケ始めたお爺さんは孵化機に入った鶏の卵をなんの疑いもなく売ってくれます。

　さあ、月夜姫、ケリーが軽トラックを誘導します。時間がありません、行きましょう！　』

『みんな、本当にありがとう』

　私は嬉しくて泣きそうになった、でも泣かない絶対泣かない。

「翁じい一緒に行って！　」

「了解です」

「ルナママ、リミットの残りは？　」

「９３分３２秒です」