92 / 113
第四章 帝との約束
やる!絶対やってやる
しおりを挟む
帰りのリムジンの後部座席で翁じいが目を覚ました。そして、鉄ちゃんの事を伝えるとおいおい泣き出した。
「何という事を、何という事を、私は執事として失格です」
何度も何度もそう言った。
「ちょっと待って翁じい、泣くのは本当に死んだ時、まだまだできる事がある」
私は冷静だった。
「本当に死んだ時? ですか………」
「うん『肉体改造装置』は完成している、そしてルナママが言ってた。新鮮な死体ならば生き返らせる事ができる」
「そうか! 」
翁じいは大声を上げた。
そして涙が吹っ飛んだ。
「ルナママ間違いないよね? 」
私はルナママに言った。
「私の設計は完璧です。イガジウムと龍の首の珠さえ手に入れば、鉄ちゃんの肉体は再生して動き始めます」
ルナママの声が車内に響いた。
「ルナママ冷凍保存している鉄ちゃんを解凍するのに必要な時間は? 」
「3日です。急激に解凍すると組織が壊れてしまいます」
「カウントダウンは? 」
「後四十八日と二時間です」
「カウントダウンって何の事でしょう? 」
翁じいが不思議そうに言った。
「肉体を再生した後に『魂の注入装置』で魂を肉体に戻す。そのリミットよ、お葬式の後四十九日の法要をするでしょう、それはまだ現世に魂が留まっているから、そして四十九日が済んだら完全にあの世へ旅立つ」
「それまでに……」
「そう《魂のベッド》を見つけて装置を動かす! 」
「うひゃー、やりましょう! 翁じいはどんな協力も惜しみません」
「まず龍の首の珠を返してもらう、その後に《魂のベッド》となる可能性がある物質をピックアップして片っ端から買い付ける」
「分かりました。買い付けと受け取りはじいやが担当しましょう」
「お願い」
「でも『龍の首の珠』を守っている3つの鍵はどうしましょう? 」
「2つまでは分かった」
「2つ目が分かったんですか! 」
「うん、たぶん、イガジウムを掘りながら考えていて気がついた。でも最後の3つ目の鍵ね、何が出てくるかは行ってみないとわからない」
「大丈夫です。月夜姫なら必ずや開ける事ができましょう」
「うん、絶対にやらなくっちゃいけない、絶対に! ルナママ装置を全部稼働して! 」
「了解しました。人体収納ポットは冷凍保存できる温度にしておきます」
「お屋敷に着いたら『蔵』から車ごと入るね、あと軽トラックはいつでも動く? 」
「大丈夫です」
「時間が勿体無いから、車を『蔵』に入れたらすぐ出る。鉄ちゃんは頼める? 」
「お任せください。月夜姫、鉄ちゃんは必ず生き返ります」
「何という事を、何という事を、私は執事として失格です」
何度も何度もそう言った。
「ちょっと待って翁じい、泣くのは本当に死んだ時、まだまだできる事がある」
私は冷静だった。
「本当に死んだ時? ですか………」
「うん『肉体改造装置』は完成している、そしてルナママが言ってた。新鮮な死体ならば生き返らせる事ができる」
「そうか! 」
翁じいは大声を上げた。
そして涙が吹っ飛んだ。
「ルナママ間違いないよね? 」
私はルナママに言った。
「私の設計は完璧です。イガジウムと龍の首の珠さえ手に入れば、鉄ちゃんの肉体は再生して動き始めます」
ルナママの声が車内に響いた。
「ルナママ冷凍保存している鉄ちゃんを解凍するのに必要な時間は? 」
「3日です。急激に解凍すると組織が壊れてしまいます」
「カウントダウンは? 」
「後四十八日と二時間です」
「カウントダウンって何の事でしょう? 」
翁じいが不思議そうに言った。
「肉体を再生した後に『魂の注入装置』で魂を肉体に戻す。そのリミットよ、お葬式の後四十九日の法要をするでしょう、それはまだ現世に魂が留まっているから、そして四十九日が済んだら完全にあの世へ旅立つ」
「それまでに……」
「そう《魂のベッド》を見つけて装置を動かす! 」
「うひゃー、やりましょう! 翁じいはどんな協力も惜しみません」
「まず龍の首の珠を返してもらう、その後に《魂のベッド》となる可能性がある物質をピックアップして片っ端から買い付ける」
「分かりました。買い付けと受け取りはじいやが担当しましょう」
「お願い」
「でも『龍の首の珠』を守っている3つの鍵はどうしましょう? 」
「2つまでは分かった」
「2つ目が分かったんですか! 」
「うん、たぶん、イガジウムを掘りながら考えていて気がついた。でも最後の3つ目の鍵ね、何が出てくるかは行ってみないとわからない」
「大丈夫です。月夜姫なら必ずや開ける事ができましょう」
「うん、絶対にやらなくっちゃいけない、絶対に! ルナママ装置を全部稼働して! 」
「了解しました。人体収納ポットは冷凍保存できる温度にしておきます」
「お屋敷に着いたら『蔵』から車ごと入るね、あと軽トラックはいつでも動く? 」
「大丈夫です」
「時間が勿体無いから、車を『蔵』に入れたらすぐ出る。鉄ちゃんは頼める? 」
「お任せください。月夜姫、鉄ちゃんは必ず生き返ります」
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
👨👩👩三人用声劇台本「月からの招待状」
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
ファンタジー
小学生の宙(そら)とルナのほっこりとしたお話。
🔴YouTubeや音声アプリなどに投稿する際には、次の点を守ってください。
●ルナの正体が分かるような画像や説明はNG
●オチが分かってしまうような画像や説明はNG
●リスナーにも上記2点がNGだということを載せてください。
以前書いた朗読用「月からの招待状」を、三人用(小学三年生男児、女性二人)声劇台本として再編集しました。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる