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第三章 ボラン島と月夜姫

南の島で十五夜を2

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 プロテインを飲んで山積みの茹で卵を食べた後、鉄ちゃんは腕立て伏せを始めた。
「月夜ちゃん背中に乗って、負荷をかけなきゃ、筋肉鍛えなきゃね」
「分かった! 」
 私は鉄ちゃんの背中に乗った。
 大きくてたくましかった。

「「いーち、にー、さーん………」」

 あは、隣で翁じいも腕立て伏せ始めちゃった。

 そうだ!

「鉄ちゃんお願いしていい? 」
「なに? 」
 鉄ちゃんは腕立て伏せを続けながら聞いた。
「えっとね、えーと、笑わない? 」
「月夜ちゃんのお願いをどうして俺が笑うの? 」
「じゃあ言うよ」
「うん! 」
「肩車してほしい」
「いいよー」

 と言うと鉄ちゃんは私を背中から下ろし、私の足を首で担いだ。
 それと同時に、翁じいも肩に担いだ。
 そして、月に向かって立ち上がる。

 うわっ高い!

 生まれて初めて肩車してもらった。

「うっひょー鉄ちゃんサイコーです! 」
 翁じいが嬉しそうに言った。

 これが肩車なんだ………ミーちゃん私も肩車してもらったよ、こんなに高いんだね。

「わおーん」
 鉄ちゃんが月に向かって吠えた。
「「わおーん」」
 今度は翁じいも一緒に吠えた。


「「「わおーん」」」

 満月に向かって私も一緒に吠えた。
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