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第三章 ボラン島と月夜姫

鉄ちゃん!迎えに来たよ2

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 そこに現場監督がやって来た。
 その姿を見た私は再びサングラスをした。
「なんだなんだお前ら、勝手に現場に入るんじゃねえ!!! 」
 頭ごなしに怒鳴り散らしてくる。
 そしてズンズン近づいて来た。
「こら、アマ、出てけ! 」
 偉そうに大声を上げている。

「あんたが責任者か? 」
 私はわざとクールに言った。
「そうだ。なんか文句あるか! 」
 目を血走らせガンを飛ばしてくる。
「岩壁鉄をもらっていくよ」
「ナニー! 」 

「じい! 『実弾』」

「へい」

 翁じいも役者だ、グイッと私の前にくると100万円の束を3つ、作業服のポケットにクール突っ込んた。
「これで足りますな」
「へ………」
 静かになる現場監督。

「岩壁鉄をもらっていくよ」

 私がそう言うと今度はニコニコ微笑んで手のひらを返した。

「どーぞ、どーぞ、お持ち下さい、鉄だろうが銅だろうが、アルミだろうがご自由に」

 これが地球人、『実弾』気持ちいい!

「これこれ岩壁鉄さん、この女性と行きなさい、帰ってこなくていいですよぅ」
 へなへなしてる。

「本当! 」

 鉄ちゃんが大声を上げた。

「鉄ちゃん会いたかったんだから、話は後、車に乗って」

「分かった月夜ちゃん」

 鉄ちゃんはおっきな笑顔を作った。
 そして、マイツルハシと大小のマイスコップを肩に担ぐと車に来て乗った。

 ウィーン、翁じいの運転する白いリムジンは、私と鉄ちゃんを乗せて垂直に上昇して空に浮かぶと、旋回してすごいスピードで飛び去った。

 工事現場の作業員全員が、ポカンと口を開けて見送ってくれた。
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