金剛石男と月夜姫 〜えーっ！ マジで私が姫さまなの！！！〜

第二章 月人《つきびと》

月と地球の違い３

「なるほど」
「わかってきましたか？　」
「なんとなく………」
「それは良かった」
　かぐやの声は優しかった。

「そうだ、かぐやは誰が作ったの？　」

「かぐや一族の植物学研究者と機械工学研究者、情報処理研究者、先端生物研究者、そして、それを組み立てる技術者など、ジャンルを超えた数万人もの月人が分担して設計して組み立てて、入出力回路に植物から開発した《種》をまいてくれました」

「きっと大事業の一つだったんだろうね」

「はい、皆さんには感謝しきれません。もう皆さん亡くなっていますが、私の記録の中では生きています」

「そうだ、ルナママはどうなの？　」

「ルナは私が回路も、《種》も設計し、遠隔操作で動かすアームを何十個も同時に使って組み立てました。その頃になると、月人よりかなり正確な技術を持ち、複雑な計算が出来るようになっていましたから、それを地球へ運んでもらったのです」

「ええー！　全部かぐやが作ったんだ」
　私は驚いた。

「はい、ルナは私が作りました」

「ルナのルナの、ママじゃない！　」

「そうですね、人間でいうとママですね」

「そうだったんだ！　」


　夜、私は夕ご飯を食べた後、露天風呂にはいった。
　周りを岩で囲まれて、コンコンとお湯が湧き出ている。
　この一滴一滴が月人たちの労働の賜物だと思うと一滴も無駄にできない気がした。
　これだけではないんだ、あちこちにある湖や川の水も、海の水だって、あらゆる水は働く月人の気持ちが作ったんだ。
　それを使って木々が成長し、空気が作られる。そして動物達が育ち、亡骸は土にかえり植物達の養分となる。

　——凄い仕組みだ。

　私は太陽球が映している地球をみた。

　暗い夜空に、青々とした地球が浮いている。

『地球の争いを無くすのが創造主から与えられた月人の仕事』——私は月人の仕事ぶりを見せてもらおうと思った。

　いや、女王として戴冠式を終えた今、見ておかないといけないんだ。

　地球に帰るその前に………