54 / 113
第二章 月人《つきびと》
月と地球の違い1
しおりを挟む
次の日。
翁じいは月の湯温泉を堪能しているので、私は一人で散歩に出た。
そして、かぐやの本体がある巨大な湖に来ている。
湖にはアーチ状の橋がかけられ、その中程で、色とりどりの水草の下に、張り巡った根を見ていた。
ゆらゆら動いてどことなく気持ち良さそうだ。
と、
「今日は月夜女王様」
地球で言えば幼稚園くらいの小さな女の子が声をかけてきた。
私はしゃがみ込んで、視線を合わせた。
「今日は、お元気ですか? お名前は? 」
「ミーちゃんよ」
「そっかいいお名前ね」
「あんがと、私、女王様みたいにカッコよくなるもん」
「あれれ、私、カッコいいの? 」
ちょっと照れた。
「うん、ばっちり」
「ありがとう」
そこにお父さんとお母さんがやってきた。
「これはこれは月夜女王様、お散歩ですか? お会いできて光栄です」
お父さんが微笑みながらそう言った。
「ミーちゃん、女王様のお邪魔しちゃダメよ」
そういうとお母さんが頭を下げた。
「ジャマしてないもん」
「「ねー」」
二人で声を合わせた。
「パパ肩車、ねー、肩車」
ミーちゃんが突然叫んだ。さすがに子どもは切り替えが早い。
「わかったわかった」
お父さんはミーちゃんを肩車した。
「失礼します」
お母さんが私に丁寧にお辞儀したので、私も立ってお辞儀した。
私は三人揃って橋を歩いて行く後ろ姿を見送った。
私もパパに肩車してもらいたかったなぁ、そう思いながら、再びかぐやの本体を見た。
湖面がキラキラ輝いていた。
「ねえかぐや」
私はペンダントに向かって話しかけた。
「はい、月夜女王様」
応答してペンダントが光った。
「女王様はなんだかこそばゆいから、姫の方がいい」
「あら、では月夜姫」
「ねえここにいる人たちは全員かぐや一族なの? 私と同じ、いわば親戚にあたる………」
「いえ、私にインプットされた歴史によると、元々は月にも沢山の種族がいましたが、ある時種族分けしても意味がない事に気がつき、全てを統合して後にかぐや一族と呼ばれるようになりました」
「意味が無いってどういう事? 」
「全員月人です、それ以外の区分けは必要ないのですね。
では月夜姫にお聞きしますが、地球人として生きてきて、種族を分ける事で何かいい事がありましたか? 」
「うーん、伝統やいろんな物の考え方やら、宗教や儀式をまもったり、生活様式が同じで安心したり、そんなことしか思いつかない」
翁じいは月の湯温泉を堪能しているので、私は一人で散歩に出た。
そして、かぐやの本体がある巨大な湖に来ている。
湖にはアーチ状の橋がかけられ、その中程で、色とりどりの水草の下に、張り巡った根を見ていた。
ゆらゆら動いてどことなく気持ち良さそうだ。
と、
「今日は月夜女王様」
地球で言えば幼稚園くらいの小さな女の子が声をかけてきた。
私はしゃがみ込んで、視線を合わせた。
「今日は、お元気ですか? お名前は? 」
「ミーちゃんよ」
「そっかいいお名前ね」
「あんがと、私、女王様みたいにカッコよくなるもん」
「あれれ、私、カッコいいの? 」
ちょっと照れた。
「うん、ばっちり」
「ありがとう」
そこにお父さんとお母さんがやってきた。
「これはこれは月夜女王様、お散歩ですか? お会いできて光栄です」
お父さんが微笑みながらそう言った。
「ミーちゃん、女王様のお邪魔しちゃダメよ」
そういうとお母さんが頭を下げた。
「ジャマしてないもん」
「「ねー」」
二人で声を合わせた。
「パパ肩車、ねー、肩車」
ミーちゃんが突然叫んだ。さすがに子どもは切り替えが早い。
「わかったわかった」
お父さんはミーちゃんを肩車した。
「失礼します」
お母さんが私に丁寧にお辞儀したので、私も立ってお辞儀した。
私は三人揃って橋を歩いて行く後ろ姿を見送った。
私もパパに肩車してもらいたかったなぁ、そう思いながら、再びかぐやの本体を見た。
湖面がキラキラ輝いていた。
「ねえかぐや」
私はペンダントに向かって話しかけた。
「はい、月夜女王様」
応答してペンダントが光った。
「女王様はなんだかこそばゆいから、姫の方がいい」
「あら、では月夜姫」
「ねえここにいる人たちは全員かぐや一族なの? 私と同じ、いわば親戚にあたる………」
「いえ、私にインプットされた歴史によると、元々は月にも沢山の種族がいましたが、ある時種族分けしても意味がない事に気がつき、全てを統合して後にかぐや一族と呼ばれるようになりました」
「意味が無いってどういう事? 」
「全員月人です、それ以外の区分けは必要ないのですね。
では月夜姫にお聞きしますが、地球人として生きてきて、種族を分ける事で何かいい事がありましたか? 」
「うーん、伝統やいろんな物の考え方やら、宗教や儀式をまもったり、生活様式が同じで安心したり、そんなことしか思いつかない」
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
冤罪で山に追放された令嬢ですが、逞しく生きてます
里見知美
ファンタジー
王太子に呪いをかけたと断罪され、神の山と恐れられるセントポリオンに追放された公爵令嬢エリザベス。その姿は老婆のように皺だらけで、魔女のように醜い顔をしているという。
だが実は、誰にも言えない理由があり…。
※もともとなろう様でも投稿していた作品ですが、手を加えちょっと長めの話になりました。作者としては抑えた内容になってるつもりですが、流血ありなので、ちょっとエグいかも。恋愛かファンタジーか迷ったんですがひとまず、ファンタジーにしてあります。
全28話で完結。
偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~
甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」
「全力でお断りします」
主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。
だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。
…それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で…
一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。
令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編
成長率マシマシスキルを選んだら無職判定されて追放されました。~スキルマニアに助けられましたが染まらないようにしたいと思います~
m-kawa
ファンタジー
第5回集英社Web小説大賞、奨励賞受賞。書籍化します。
書籍化に伴い、この作品はアルファポリスから削除予定となりますので、あしからずご承知おきください。
【第七部開始】
召喚魔法陣から逃げようとした主人公は、逃げ遅れたせいで召喚に遅刻してしまう。だが他のクラスメイトと違って任意のスキルを選べるようになっていた。しかし選んだ成長率マシマシスキルは自分の得意なものが現れないスキルだったのか、召喚先の国で無職判定をされて追い出されてしまう。
一方で微妙な職業が出てしまい、肩身の狭い思いをしていたヒロインも追い出される主人公の後を追って飛び出してしまった。
だがしかし、追い出された先は平民が住まう街などではなく、危険な魔物が住まう森の中だった!
突如始まったサバイバルに、成長率マシマシスキルは果たして役に立つのか!
魔物に襲われた主人公の運命やいかに!
※小説家になろう様とカクヨム様にも投稿しています。
※カクヨムにて先行公開中
小説練習帖 八月
犬束
現代文学
・ムーンは月、シャインは輝き・光り、フラグメントは断片。
・ムーンシャインは密造酒。あるいは、数学のムーンシャイン理論。
・稲垣足穂の『一千一秒物語』の真似っこをする狙いです(出来るのか?)。
【完結】忌み子と呼ばれた公爵令嬢
美原風香
恋愛
「ティアフレア・ローズ・フィーン嬢に使節団への同行を命じる」
かつて、忌み子と呼ばれた公爵令嬢がいた。
誰からも嫌われ、疎まれ、生まれてきたことすら祝福されなかった1人の令嬢が、王国から追放され帝国に行った。
そこで彼女はある1人の人物と出会う。
彼のおかげで冷え切った心は温められて、彼女は生まれて初めて心の底から笑みを浮かべた。
ーー蜂蜜みたい。
これは金色の瞳に魅せられた令嬢が幸せになる、そんなお話。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる