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第二章 月人《つきびと》

戴冠式1

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 翌日になって9:00丁度にお迎えが来た。

 今はセンターホールの控え室にいる。

 髪型整えたり——ティアラが似合うようにアップにしてもらった。
 お化粧したり。
 何人もお手伝いしくれている。
 みんな気さくで笑顔が素敵な女性ばっかりだ。

 その中のリーダーのミルンが言った。
 地球だと二十歳くらいの女性だ。
「そうそう、こうした場面は一切通信して無いのでご安心ください」
 なるほど、その時々で通信したりしなかったりできるんだ。
 そうだよね、じゃないとプライバシーが一切なくなるもんなぁ。

 それより月の湯最高だったな、露天風呂で太陽球が、光の代わりに、青い地球を映し出していて、辺りに星が投影されてて、いっぺんで疲れがとれたし、やっぱり月人の技術がお湯にも使われているんだろうな。
 寿命が短いから、次の日に疲れを残したりしないんだ。きっと——

「あ、そうだミルン、聞きにくいこと聞いていい? 」
「大丈夫ですよ。月夜姫には何事も隠さず教えてほしいと言われていますから、隠し事なんて元々ありませんけどね」

「ミルンはいくつなの? 」

「私ですか、7歳です」
「成長が早いってどんな感じ? 」
「うーん、みんながみんなそうだから考えた事もないです」
「私のママはね30歳で亡くなったらしんだけど、地球人に比べるとすごく若いと思うの」
「そうですか、月菜女王様は30歳でしたか、天寿を全うされたのですね」
「うん、そうらしい」

「月人は今、寿命が21歳と10日です。ここ十年で1歳と10日伸びました。サプリメントのおかげです」

「寿命を伸ばすサプリメントがあるんだ! 」

「はい」
「ねえ、寿命を知ってるってどんな気持ち? 」
「うーん、あんまり考えた事がないです
が、その分毎日の仕事に気持ちを込めてしっかり生きなくてはと思います。
 残り時間が計算で出てしまいますから、どうしたら月の為になるか、そうした事をいつも考えています」

「地球と大分違うね」

「そうですか? 当たり前のことですよ、全く特別な事じゃありません」

 ——そうなんだ。

「あら時間が迫ってる、じゃあドレスと御靴をお持ちしますね」
「うん、ありがとう」

 そう言うとミルンはクローゼットに行き、真っ白なドレスとヒールのついた白い靴を持ってきてくれた。
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