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第二章 月人《つきびと》

リフトオフ4

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「あ、そうだ! ルナママはかぐや姫が使った天の羽衣がどこにあるか知ってる? 」
「そのデータは私のどこにもありません」
「そうなんだ」
「おそらく『かぐや』も知らないでしょう」
「どういう事? 」
「失礼しました。月にある私よりずっと大きい植物コンピュータ第一号の名前です。愛着が持てるように『かぐや』と名付けられました。私は植物コンピュータの第二号になります」

「うわぁ、ルナママよりもっと大きんだ」

「はい、サイズ的には日本の琵琶湖くらいの大きさの湖に、回路がびっしり生えています」

「ひゃあ、琵琶湖なの? 修学旅行で行ったけど、向こう岸が見えないくらい大きくて、海みたいだったけど」

「そうです。月人全員の様々なデータだけでなく、様々な仕事のサポートも同時に処理しているので、そのくらいのサイズが必要なんです。『かぐや』以外のコンピュータは月にはありません、必要ないんです」
「すっごーい、なんでもかんでも並列処理ができるんだ」
「はい、地球のスーパーコンピュータが何台あっても太刀打ちできないでしょう」

「ルナママも並列処理できるの? 」

「はい、地球のスーパーコンピュータ100台分くらいは」
「うっひゃーすごい」
「アイスミルクティーもアイスコーヒーももう出来てますから、お出ししますね」
「うふふ、並列処理ってそういうことか。話しながら淹れてたのね。ありがとう! 」
「どういたしまして」

 出てきたミルクティーとコーヒーは車内で球になって浮いていた、それだけでなくでっかいイチゴのショートケーキも二つでてきた。これも浮いている。


「あれ、ショートケーキは頼んでないよ」
「月夜姫15歳のお誕生日おめでとう」
 ルナママがそう言った。

 すっかり忘れてた、今日は私の誕生日だ。

『ハッピーバースデートゥーユー♪ 』

 ルナママと翁じいが誕生日の歌を歌ってくれる。嬉しくて涙が出た。その涙も車内で丸く浮いてるし、こんな誕生日誰も経験したことないだろうな。
 ローソクはなかったけど、上にちょこんとホワイトチョコレートのバースデープレートがのっていた。
 バースデープレートには茶色のチョコでこう書かれていた。

『Happy Birthday Princess 月夜 ❤︎』

 私はケーキが浮いたままかぶりついた。
 翁じいもそうしてる。
 そして、ストローでミルクティーを吸ったら、球の大きさがだんだん小さくなっていくから翁じいと二人で笑った。

 最高に楽しい!

 わいわい言いながら三人で時間を過ごした。

 そして、地球を背にして、白いリムジンに乗ったドライブは続く。

 私は真っ暗な宇宙空間を見ていてふと思った。

 あと15年で死ぬのかな………
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