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第一章 地球人と月夜姫
記憶にある悪夢2
しおりを挟む「はい、月夜姫」
1時間ほどするとペンダントが光ってルナママの声が聞こえてきた。私はベッドでうとうとしてたので、ゆっくり反応した。
「ああ、なにルナママ」
「見つかりましたよ、それらしいのが一つだけ」
「本当! 」
一気に目が覚めた。
「はい、何重にもセキュリティがかけられたサイトですが、全て突破しました」
「流石、ルナママ」
「でも………今お見せするべきか私には判断できません」
ルナママのトーンが下がった。
「どうして? 」
「それは思い出したくない事を思い出してしまうかも知れないからです」
「さっぱり分からない、でもどの道思い出さなくてはいけないことなのでしょう、ママから遺伝された知識に入っているなら」
「私には判断できません」
「見る絶対、私には時間がないのだから」
気を張った。
「そういうと思って、翁じいをお呼びしておきました」
「………」
「ドアの向こうにおりますので、一緒にご覧下さい」
「わかった。翁じいはいってきて」
ドアが開いた。翁じいはジャージの上下を着ている。動きやすそうだ。
後ろには人型家政婦ロボットも立っている。
翁じいは神妙な顔つきだった。
「月夜姫、じいが控えておりますので、気をしっかり持って下さい」
「もう! 翁じいまで、なんなの一体」
ちょっと気が立った。
「………」
「じゃあ見るから、私のパソコンに表示して」
「分かりました、ハンドルネームはシェリーです」
「わかった」
と、起動してあったノートパソコンの表示が変わった
私はパソコンの前に移動して椅子に座った。
バタン。
ドアを閉めて翁じいと家政婦ロボットが入ってきた。私の椅子の後ろで立っている。
私は表示されているサイトを注視した。
そこには『探し物』のスレッドがたくさんあった。
『求む:人体と合成できるクモ』
『求む:スーパーマンの能力を埋め込む実験台になるモニター(単身者に限る)』
『求む:チャウチャウ犬の生首』
『求む:雪男の血液』
『求む:永久氷土の氷』
『求む:南極の土』
『求む:人間の死体10体(女性に限る)』
『求む:腸のサンプル(新鮮なもの)』
『求む:人間の脳全体のサンプル』
………
何に使うか分からないけど、研究に必要なんだろう、流石にマッドサイエンティストが集まる深層サイトだ。不気味な探し物が多い、そしてどれも高額な謝礼を用意している。
という事は裏には強力なパトロンがついているのかも知れない。
ゆっくりスクロールしていくと、おや、これはどういう事だ。
『求む:龍の首の珠とイガジウム』
なんだってー!
驚いた、この組み合わせはまさしく!
私はそのスレッドをクリックした。
と、文字が表示された。
『ようこそシェリー
私は日本の科学者鬼塚原 左門二です』
そして続けて顔写真が表示される。
あらかじめ登録した顔写真を表示するルールらしい。
ちなみにシェリーはブロンドでどこかの女優みたいな顔だ。
サイトに入る時顔認証されるらしいが、それもクリアしてるのはさすがルナママだ。
鬼塚原左門二は真っ白なボサボサ頭に口髭、不気味な笑顔をした50代くらいの男だ。
私は顔写真の下にあるプロフィールを読んだ。
『当方人体を再生する研究をしております』
私はまたも驚いた。
「これってどういうこと」
声を上げて叫んだ。そしてもう一度顔写真を見た。
おや、見た事ある、いや、遺伝された知識の中に入ってるぞ。ママの記憶だ。
あああ、脳内で何やら嫌な感触が襲ってきた。
しっかりしなきゃ、しっかりしなきゃ、そう思ってもダメだ、私は嫌な記憶に脳を占拠されつつあった。
駄目だ目の前が真っ暗になっていく。
「月夜姫、月夜姫! 」
遠くで翁じいの声が響いていたけど、意識は悪夢に包まれた。
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