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第一章 地球人と月夜姫

ここが月夜姫のお部屋です2

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 私はセーラー服を脱ぎ捨てて、黒の革パンを履いて無地の白いティーシャツを着た。革パンは7部丈のお洒落なやつだ。でも何か違う、革は革なんだけど、独特のゴワゴワ感がなく革本来の持つ強度はそのままに伸縮性があってかなり動きやすい。
 ティーシャツだってそうだ。体型にぴったりなサイズなのに締め付け感が全くないし動きやすい。これも地球人よりかなり高度な技術と知識を持つかぐや一族が加工したのかもしれない。
 それよりさすがルナ、私のサイズを寸分違わず分かってる。
 私は首からさげている月のペンダントをティーシャツの胸の間に出した。

 よし。

 そして、クローゼットの中に置いてあった姿見に自分を映した。

「えっこれが私なの? 」

 『愛敬園』では贅沢など出来なかったからいつも着古したスウェットの上下や、頂き物のダボダボティーシャツが普段着だったから、これほど自分の体型にあった服は着たことがなかった。姿見なんて無かったし………

 だから自分の体型にぴったり合った服を着て出るとこは出て、引っ込むところが引っ込んだ自分を見て驚いた。

 鏡の中の自分はまるで、雑誌で見たことのあるファッションモデルみたいだった。

 嬉しくて涙が出そうになった。

 クローゼットの中には靴もあったからハイカットの黒いスニーカーを選んで履いた。だがこれも軽い、それに何かが違う。これならどんなに歩いても疲れないんじゃないかな、やはりそれなりの加工がされているんだろう。
 そして黒い革のジャケットを羽織り、再び姿見を見ると、全くの別人がそこにいた。
 二つボタンを止める前に、腰まであるジャケットの、前身頃を両手で開き、鏡の前でくるりと一回転してみた。
 肩より少し長くカットしてある黒髪が、ふわりと広がり元に戻った。

 私って結構カッコいいじゃん。

 これが私なんだ、自分のこと全く知らなかった。
 本当の自分ってなんだろう?
 姿見の中のスタイリッシュな人物を上から下まで見た。
 うん、ま、いいやまだ中学三年生だし、厨二病みたいになってもしょうがないもん、気楽に気楽に気楽にいこうっと!
 翁じいも待ってるし!

 勢い良くドアを開けて廊下に出ると、待ち構えていた翁じいが破顔した。

「うーん、お母様の若かりし頃に瓜二つです」

 そうなんだ。

「それじゃ、行きましょう、レッツゴー! 」

 翁じいの声は元気一杯だ。
 私は履いていたスニーカーを脱いで手に持つと、ふかふかスリッパで翁じいの後をついて行った。
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