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第一章 地球人と月夜姫
なよ竹のかぐや姫の物語2
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「ちょと待って、ちょっと待って、だって帰り際に不老不死の妙薬を帝に渡していますよね、物語では天上界には死も争いもない世界となってるし」
「そうです、現実をカモフラージュする為にそうなっているのです」
「カモフラージュですか」
「はい、研究するにはかぐや姫は有名になり過ぎた、だから雲の乗り物で天上界に帰った事にしたんですな、雲の乗り物の技術は私の操る車にも生かされています」
「じゃあ、帝が富士山で焼いたとされてる不老不死の妙薬は、なんだったの」
「当時の帝が全て仕組んだ事でございます。帝は何度もかぐや姫と接するうちに、かぐや姫の研究がかぐや一族の存亡を左右する重大な責務であると実感なさりました。
それでこれから一族をあげて協力すると仰いました。
確かにかぐや一族には争いがありません、でも、不老不死は寿命の短い一族の願望の現れなのです。その感謝の印として大量の黄金と一句お贈りになりました」
「もしかして、竹取物語に出てくる………」
いまはとて 天の羽衣 着る時ぞ
君をあはれと おもひいでぬる
「その通りでございます。現代訳だと、最後に天の羽衣を着るまさにその時に、ふとあなたをしみじみと思い出してしまいます。となりますが、裏をかえせばさりげなく最大の感謝の気持ちを込めた唄なのです」
ひゃああああああ。
「焼いたとされる不老不死の妙薬などありません。帝はその物語に教訓を含めた。不老不死などこの世からなくなった、死が訪れるその時まで、一生懸命生きて生を謳歌するべきが、人の世の常なり、と」
「………」
「そして長い長い年月を経て、開発された設備がこのお屋敷の地下200メートルにある人工知能『ルナ』が搭載された『肉体改造装置』と『魂の注入装置』です」
「そんな物があるんだ! 」
「はい、最初は肉体の改造だけで寿命が伸びると思っていたそうなのですが、器の寿命が伸びても魂が離れたら死んでしまうんですな、それで開発されました。ですがまだ一度も起動しておりません」
「一体、どうやって動かすの? 」
「私には分かりませんが、それぞれの基礎理論を記述された書物が残っていて、かぐや語で書かれておりますので、お読みください」
「かぐや語なんて私に読めるのかしら………」
「はい、かぐや一族は地球人の何百倍も先をいく、膨大な知識と技術を伝承してきました。代々の女王様はその全てを記憶なさった、しかし、寿命が短い。で、どうしたと思います? 」
「うーん、さっぱりわからん」
「ふふふ、そのお子様の頭脳に知識を遺伝させ、時がくると封印が解けるような仕組みを開発なさった。月夜姫の今までの年月で肉体と知識に少しづつ影響していましたが、全ての封印が完全に解かれるその時こそ、十四歳、月夜姫! 」
「は、はい」
「姫さまの今のお年でございます」
「わ、私の年齢? 」
「はい」
「なーんにも変わった事がないけど」
「いえ、かぐや語のかぐや文字を読んだ瞬間、封印は、封印はその瞬間に完全に解かれます」
「ま、マジですか」
「マジでございます。さあ地下200メートルへと参りましょう」
そう言ってサラリと椅子を立った翁じいに、私もついて行った。
この話が本当だとすると、私は後16年しか生きられない事になる、そんなの嫌だな。
こうなったら真実を確かめるしかない。
私は右手に浮かんでいる三日月のお印を確認した。
「そうです、現実をカモフラージュする為にそうなっているのです」
「カモフラージュですか」
「はい、研究するにはかぐや姫は有名になり過ぎた、だから雲の乗り物で天上界に帰った事にしたんですな、雲の乗り物の技術は私の操る車にも生かされています」
「じゃあ、帝が富士山で焼いたとされてる不老不死の妙薬は、なんだったの」
「当時の帝が全て仕組んだ事でございます。帝は何度もかぐや姫と接するうちに、かぐや姫の研究がかぐや一族の存亡を左右する重大な責務であると実感なさりました。
それでこれから一族をあげて協力すると仰いました。
確かにかぐや一族には争いがありません、でも、不老不死は寿命の短い一族の願望の現れなのです。その感謝の印として大量の黄金と一句お贈りになりました」
「もしかして、竹取物語に出てくる………」
いまはとて 天の羽衣 着る時ぞ
君をあはれと おもひいでぬる
「その通りでございます。現代訳だと、最後に天の羽衣を着るまさにその時に、ふとあなたをしみじみと思い出してしまいます。となりますが、裏をかえせばさりげなく最大の感謝の気持ちを込めた唄なのです」
ひゃああああああ。
「焼いたとされる不老不死の妙薬などありません。帝はその物語に教訓を含めた。不老不死などこの世からなくなった、死が訪れるその時まで、一生懸命生きて生を謳歌するべきが、人の世の常なり、と」
「………」
「そして長い長い年月を経て、開発された設備がこのお屋敷の地下200メートルにある人工知能『ルナ』が搭載された『肉体改造装置』と『魂の注入装置』です」
「そんな物があるんだ! 」
「はい、最初は肉体の改造だけで寿命が伸びると思っていたそうなのですが、器の寿命が伸びても魂が離れたら死んでしまうんですな、それで開発されました。ですがまだ一度も起動しておりません」
「一体、どうやって動かすの? 」
「私には分かりませんが、それぞれの基礎理論を記述された書物が残っていて、かぐや語で書かれておりますので、お読みください」
「かぐや語なんて私に読めるのかしら………」
「はい、かぐや一族は地球人の何百倍も先をいく、膨大な知識と技術を伝承してきました。代々の女王様はその全てを記憶なさった、しかし、寿命が短い。で、どうしたと思います? 」
「うーん、さっぱりわからん」
「ふふふ、そのお子様の頭脳に知識を遺伝させ、時がくると封印が解けるような仕組みを開発なさった。月夜姫の今までの年月で肉体と知識に少しづつ影響していましたが、全ての封印が完全に解かれるその時こそ、十四歳、月夜姫! 」
「は、はい」
「姫さまの今のお年でございます」
「わ、私の年齢? 」
「はい」
「なーんにも変わった事がないけど」
「いえ、かぐや語のかぐや文字を読んだ瞬間、封印は、封印はその瞬間に完全に解かれます」
「ま、マジですか」
「マジでございます。さあ地下200メートルへと参りましょう」
そう言ってサラリと椅子を立った翁じいに、私もついて行った。
この話が本当だとすると、私は後16年しか生きられない事になる、そんなの嫌だな。
こうなったら真実を確かめるしかない。
私は右手に浮かんでいる三日月のお印を確認した。
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