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第一章 地球人と月夜姫

月夜姫自宅に帰る4

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 すると翁じいは、私を見て微笑んだ。
「さあ、ここに手をあててごらんなさい」
「ここって、一番上の斜めのところ? 」
「はい、全てはそこから始まります」
 うーん、どうするべきか?
「ささ、危険はありません。どうか手のひらを当てて下さいませ」
 ここまできたらやってみるしかない。
 私はゆっくり石柱に近付くと、右手を開いて手をあててみた。

 と、ピカー! 石柱が白い光を放った。

「きゃあああああ、なにこれ! 」

 ウィーン………

 軽いモーター音がしたかと思うと、玄関の扉が左右に開いた。

 ひゃああ、何これ。

 そして、一瞬で、屋敷中の電気が点いた。

 ひゃああ、なにこ………

 石柱の光は消えている。
 唖然としている私の傍に来た、おきなじいが優しく言った。
「さあ、手のひらを離してみてごらんなさい」
「えっ? 」
「さあ」
「離していいの? 」
「はい、徳竹 月夜さん」
 私は石柱から手を離すと、手のひらを見て驚いた。
「なにこれーーーーーー! 」

 私の手のひらには銀色の三日月模様が浮かび上がっていた。

「今までこんな痣無かったけど」

「それこそが、女王様となる者にだけ浮かびあがるお印です」

「お、お印って、女王様って………」
「そうです」
「今度は女王様ですかぁ、なんじゃこりゃ」
「月夜姫は今はお姫様ですが、女王様になる血筋なのです」
「………」
「ささ、中にお入りなさいませ、少しずつ思い出しましょう」
「お、思い出すってなんですかぁ! 」
「受け継がれている知識を思い出すのです」
「私、何も知らないです」
「いえいえ、思い出すのです、算数や国語を思い出したように」

「………」

 やっぱり発狂しそう………
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