6 / 113
第一章 地球人と月夜姫
月夜姫自宅に帰る1
しおりを挟む
車はえらいスピードで走ってる、でも、ちっとも揺れない。
「あの、その、小竹林翁弁護士さん」
私はふかふかのソファーみたいな後部座席に包まれ、運転席のルームミラーに映っている顔を見ながら言った。丸眼鏡はいつのまにか真っ黒な偏光グラスに変わっていた。
「月夜姫、私をお呼びのさいにはそんな他人行儀じゃいけません」
「はあ、ではなんとおよびしたら………」
「そうですな、おきなじい、もしくはじいやでよろしいでございます」
「お、お、お、………」
私は、じいやなんて人種見たことも聞いたこともないから、つっかえて、うまく話せない。
「ほれ、月夜姫、がんばって………」
このじいさん、話しながらもどんどんスピードを上げている、それになんだか車が空にうかんでいるような………。
「おおおお、おおおおお、おおおきなじじいじじじいじじじ……」
「ふぁっふぁっふぁっ、じいでございます」
「うーん、おきなじい! 」
「はーいなんでございましょう! 」
満面の笑顔のじいさんだ、すっごい嬉しそう、その笑顔を見て私は何かがふっきれた。
「おい、翁じい、どこ向かってんだ」
私は、いつも鉄ちゃんと話してる口調に近くなった。
「ほっほっほっ、その調子でございます。先ほどお伝えした通り、ご自宅でございます」
「つまり、私の両親が住んでいた家ってこと? 」
「そうでございます、月夜姫のお生まれになったところです」
「わたしがそこで生まれたのーーーーー! 」
「はい、その通りでございます」
「全く覚えてないんだけど」
「そうでしょう、そうでしょう、一歳の頃に愛敬園に預けられましたからのう」
「どうして預けられたの? 」
「お二人がお亡くなりになられましたので、遺言にそって私が代行いたしました」
「そうなんだ………やっぱり死んだんだ」
悲しいとかそういう感情は湧いてこなかった。物心ついた時からふーせんママしかしらないから………
と、私はふと窓の外を見た。
うーん、この町は屋上で家庭菜園をやってる家が多いなあ、あっあそこのビルの屋上はゴルフ練習場になってるぞ、10階建てかなぁ………って、てっ、てっ、てっ!!!!!
「おい、翁じい、この車は空を飛んでるの? 」
「はっはっはっ、じいは陸海空どんな乗り物でも運転できます、そんじょそこらのじいさんとは出来が違いますぞ」
「へーっすごーい、じゃなくて、じゃなくて、じゃなくて、なんで車が空を飛ぶのか聞いているの」
「そっちですかお聞きしたいのは」
「そう、そっち、車がなんで空飛ぶのって事」
「はははは、簡単です、姫のお国の技術力じゃあたりまえです」
「ふーん、私の国じゃ当たり前なのか………って、私、日本人じゃないの」
「表向きは日本人です」
「じゃあ、裏向きは? 」
「ちょーと長くなりますでな、ご自宅でゆっくりお話しいたしましょう」
発狂しそう………。
「あの、その、小竹林翁弁護士さん」
私はふかふかのソファーみたいな後部座席に包まれ、運転席のルームミラーに映っている顔を見ながら言った。丸眼鏡はいつのまにか真っ黒な偏光グラスに変わっていた。
「月夜姫、私をお呼びのさいにはそんな他人行儀じゃいけません」
「はあ、ではなんとおよびしたら………」
「そうですな、おきなじい、もしくはじいやでよろしいでございます」
「お、お、お、………」
私は、じいやなんて人種見たことも聞いたこともないから、つっかえて、うまく話せない。
「ほれ、月夜姫、がんばって………」
このじいさん、話しながらもどんどんスピードを上げている、それになんだか車が空にうかんでいるような………。
「おおおお、おおおおお、おおおきなじじいじじじいじじじ……」
「ふぁっふぁっふぁっ、じいでございます」
「うーん、おきなじい! 」
「はーいなんでございましょう! 」
満面の笑顔のじいさんだ、すっごい嬉しそう、その笑顔を見て私は何かがふっきれた。
「おい、翁じい、どこ向かってんだ」
私は、いつも鉄ちゃんと話してる口調に近くなった。
「ほっほっほっ、その調子でございます。先ほどお伝えした通り、ご自宅でございます」
「つまり、私の両親が住んでいた家ってこと? 」
「そうでございます、月夜姫のお生まれになったところです」
「わたしがそこで生まれたのーーーーー! 」
「はい、その通りでございます」
「全く覚えてないんだけど」
「そうでしょう、そうでしょう、一歳の頃に愛敬園に預けられましたからのう」
「どうして預けられたの? 」
「お二人がお亡くなりになられましたので、遺言にそって私が代行いたしました」
「そうなんだ………やっぱり死んだんだ」
悲しいとかそういう感情は湧いてこなかった。物心ついた時からふーせんママしかしらないから………
と、私はふと窓の外を見た。
うーん、この町は屋上で家庭菜園をやってる家が多いなあ、あっあそこのビルの屋上はゴルフ練習場になってるぞ、10階建てかなぁ………って、てっ、てっ、てっ!!!!!
「おい、翁じい、この車は空を飛んでるの? 」
「はっはっはっ、じいは陸海空どんな乗り物でも運転できます、そんじょそこらのじいさんとは出来が違いますぞ」
「へーっすごーい、じゃなくて、じゃなくて、じゃなくて、なんで車が空を飛ぶのか聞いているの」
「そっちですかお聞きしたいのは」
「そう、そっち、車がなんで空飛ぶのって事」
「はははは、簡単です、姫のお国の技術力じゃあたりまえです」
「ふーん、私の国じゃ当たり前なのか………って、私、日本人じゃないの」
「表向きは日本人です」
「じゃあ、裏向きは? 」
「ちょーと長くなりますでな、ご自宅でゆっくりお話しいたしましょう」
発狂しそう………。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
第二の故郷は地球 (短編)
藻ノかたり
SF
かつて漂流していた地球の宇宙船。乗組員をトラクロービュ星人の女性が救助した。彼らの間にはやがて子供が誕生し、彼は地球とトラクロービュ星の友好を取り持つため、親善大使として第二の故郷・地球へただ一人旅立つのだが……。
---------------------
pixivに投稿する絵のキャプションとして即興で書いたのですが、長くなってしまったのでこちら他へ投稿しました。
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
【完結】義姉上が悪役令嬢だと!?ふざけるな!姉を貶めたお前達を絶対に許さない!!
つくも茄子
ファンタジー
義姉は王家とこの国に殺された。
冤罪に末に毒杯だ。公爵令嬢である義姉上に対してこの仕打ち。笑顔の王太子夫妻が憎い。嘘の供述をした連中を許さない。我が子可愛さに隠蔽した国王。実の娘を信じなかった義父。
全ての復讐を終えたミゲルは義姉の墓前で報告をした直後に世界が歪む。目を覚ますとそこには亡くなった義姉の姿があった。過去に巻き戻った事を知ったミゲルは今度こそ義姉を守るために行動する。
巻き戻った世界は同じようで違う。その違いは吉とでるか凶とでるか……。
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
婚約破棄されたので森の奥でカフェを開いてスローライフ
あげは
ファンタジー
「私は、ユミエラとの婚約を破棄する!」
学院卒業記念パーティーで、婚約者である王太子アルフリードに突然婚約破棄された、ユミエラ・フォン・アマリリス公爵令嬢。
家族にも愛されていなかったユミエラは、王太子に婚約破棄されたことで利用価値がなくなったとされ家を勘当されてしまう。
しかし、ユミエラに特に気にした様子はなく、むしろ喜んでいた。
これまでの生活に嫌気が差していたユミエラは、元孤児で転生者の侍女ミシェルだけを連れ、その日のうちに家を出て人のいない森の奥に向かい、森の中でカフェを開くらしい。
「さあ、ミシェル! 念願のスローライフよ! 張り切っていきましょう!」
王都を出るとなぜか国を守護している神獣が待ち構えていた。
どうやら国を捨てユミエラについてくるらしい。
こうしてユミエラは、転生者と神獣という何とも不思議なお供を連れ、優雅なスローライフを楽しむのであった。
一方、ユミエラを追放し、神獣にも見捨てられた王国は、愚かな王太子のせいで混乱に陥るのだった――。
なろう・カクヨムにも投稿
転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。
俺の娘、チョロインじゃん!
ちゃんこ
ファンタジー
俺、そこそこイケてる男爵(32) 可愛い俺の娘はヒロイン……あれ?
乙女ゲーム? 悪役令嬢? ざまぁ? 何、この情報……?
男爵令嬢が王太子と婚約なんて、あり得なくね?
アホな俺の娘が高位貴族令息たちと仲良しこよしなんて、あり得なくね?
ざまぁされること必至じゃね?
でも、学園入学は来年だ。まだ間に合う。そうだ、隣国に移住しよう……問題ないな、うん!
「おのれぇぇ! 公爵令嬢たる我が娘を断罪するとは! 許さぬぞーっ!」
余裕ぶっこいてたら、おヒゲが素敵な公爵(41)が突進してきた!
え? え? 公爵もゲーム情報キャッチしたの? ぎゃぁぁぁ!
【ヒロインの父親】vs.【悪役令嬢の父親】の戦いが始まる?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる