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第4章

災害警報発令中 10

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 それは、炊き出しのお手伝いをしていたパティオの二人に届いた。
「さくら聞こえた? 」
「うん、ボスが助けてって…」
「行くよ」
「うん! 」
 二人は玄関に駆けて行くと雨合羽を着て玄関から消えた。

 ──シュパッ!

 二人は翼橋の下流へ姿を現した。
 どんとと教授のいる反対岸だ。翼橋の上ではボスが心配そうに見ている。
 上流の遠くにパトカーのテールランプと赤色灯が見えている。
 ももが野川を見ると、濁流は二人のお腹のあたりに達していた。

 いけない! ──そう思った瞬間、パリン!
 街灯の一つに石が当たって砕けた。

 えっ?

 今度は、漬け物石ほどの大きさの石が宙を舞うと、監視カメラの一つに直撃した。

 ボン!

 ザザザー
 災害対策本部の翼橋の下流を映していたモニターの一つが映らなくなった。

「えっ」

 何が起きたか分からないごんちゃん、もう一つの下流を映している画面をみていると、ボン!
 その画面も映らなくなった。
 近くの家のブロック塀が砕け散って当たったのだ。
 残っているのは上流近辺を映している二台だ。
「壊れたか…何か起こったんだ」

 ももはさくらを見た。
 さくらはしゃがみ込んで泣いている。
「どんとにいちゃん死んじゃう…」
 震えながら泣いている、幼稚園児には刺激が強すぎた。
 と、さくらの周りの石ころが突然四方に弾け飛んだ。

 バシッ!

「きゃっ」──何とか避けるもも。
 続けて、あたりの草も流木も不規則に弾け飛ぶ。

 ──シュッ! ジャポン!

 弾けた物は川に落ちたり、土手にぶつかったり、四方八方に飛んでは、障害物にぶつかって落ちた。

 さくらだ、さくらが色んな物を弾いているんだ。
 ももは、咄嗟にすみれおばあちゃんの言葉を思い出した。

『突然の大きな哀しみは、心を暴走させます』

 ──やばい、さくらの心が暴走している。

「うわーん、おにいちゃん死んじゃうよー」
 大声で泣き叫ぶと、ずずず、ボン!
 土手の木が一本弾け飛んで川に落ちた。

 雨の勢いは更に強くなる、止む気配は全くない。
 ゴロゴロ! ドドーン!
 雷はすぐそこでなり響く。
 二人の雨合羽もびしょ濡れだ。

 濁流はどんとと教授の胸のあたりまで来ている。

「えーん」さくらは泣き続ける、大きな哀しみが、小さな体いっぱいに溢れている。

 ガゴン! ──今度は街灯が根元から折れて土手に落っこちた。

 ──このままじゃいけない! 力の暴走を止めないと!
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