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第4章
災害警報発令中 4
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緊急招集メールが送信されると三十分もしないで、およそ八百名もの作業着にカッパを羽織った町役場職員と、防犯協会のジャンバーを着た町の有志が備蓄倉庫に集結した。どの面々も影の氏子衆として訓練を積んでいるので統率がとれている。
町役場内にはこれほど大人数が入れるホールがないので、緊急事態で一度に集合する場合は、備蓄倉庫の一階になるのだ。今は勿論、御神輿以外はシャッターの外に出している。
緑のジャンバーと職員のカッパが入り乱れるように、影の氏子衆の組分けに従って整列している。
しかしこういう場合でも挨拶は欠かせない。
「おはようこざいます」
「ニー ザオ」
「ボン ジーア」
「グッ モーニング」
「アニニョハセヨ」
「ドーブラエ ウートラ」
「ボンジュール」
「ナマステ」
「ブォンジョルノ」
……
やはり国際色豊かだ。
中心で台の上に立つのはごんちゃんだ。
「おはようございます」
『おはようございます』
集まった全員が声を揃えた。
誰もが自信満々のきりりとした面構えだ。
それもそうだ、日頃から町役場のトレーニングルームで汗を流し、神馬権三師範代のもと、合氣道や空手で鍛錬して来た連中ばかりなのだ。
その道場こそが、この備蓄倉庫だ。
今や副町長や監査役、会計主任らが免許皆伝となり、ごんちゃんが教えられない日は代わりに指導している。
「この町に集中豪雨が襲ってきています。もう誰も死なせたくありません。みなさんは日頃の鍛錬の元、この町を護るため集まってくれた有志です。心より感謝致します」
『おおおおお…』自然と拍手が湧き上がる。
「今から役場の三階の防災センターに災害対策本部を設置します。また、警察と消防の連携をしっかりととり、危険の無いように行動して頂きたいと思います。よろしくお願いします。では副町長から指示をお願いします」
と言うと台を降りる。
代わりに台に上がる副町長。
「おはようございます。まず小学校と中学校は休校となりました。くれぐれも子ども達が学校に行かないよう注意喚起をお願いします。前回一番被害が多かった、低地の翼橋周辺の防災区分け10区から50区の住民及び、隣接するアーケード街の住民およそ三千名を優先的に避難させます。そのため、その地区の影の氏子衆の各組及び、高台の60から98組は協力して、避難誘導にあたって下さい。くれぐれも避難漏れがないよう、お願いします。避難場所は役場裏のパティオです。
避難誘導は9:30を目処に開始しますので、各隊長は防災無線を携帯の上、本部への報告を逐次お願いします。
その他の各組は備蓄倉庫からの物資のパティオへの搬入及び炊き出しの実行等、防災計画Aの15に沿っての行動となります。」
日頃の防災訓練の成果が問われる事態になった。
──雨の勢いは更に強くなる。
「では散開」
副町長の言葉で一斉に動いた。
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