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第2章
中道商店街の人々 10
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「ラムネも飲むかい? 」
「えっあるのー」さくらが嬉しそうに言った。
「えーえーありますよ。ないわけないじゃない、二人が来るのに」
『やったー』
「もも、冷蔵庫から持って来て」
「はーい」
ももは嬉しそうに台所へいくと冷蔵庫を開けた。ラムネは何本も入ってた。
「さくら、何色? 」
「ピンクー」
「じゃあももは青にしよっと」
──ボトルとキャップの色が違うだけである、どれも中身は変わりない。でも選ぶのが楽しい。
ももはピンクと青のラムネを取ると、戻った。
プシュー、かららん、二人はラムネの封を開けてビー玉を転がしながら飲みだした。
すると、すみれが机の端に置いてある漆塗りの小箱から何やら取り出した。
「今日は二人にあげるものがあってね」
「なになに? 」
さくらがラムネから口を外して聞く。
「これ」
すみれが出したのは真っ赤で小さな貝のような形をした御守りだった。赤い紐も輪になってついていた。御守りには白い糸で刺繍がしてある──「鬼王」と…
「おばあちゃんこれなあに? 」
ももがラムネをテーブルに置くと訪ねた。
「御守りよ」
『御守り? 』
「そう、御守り…」
『……』
「この間の鬼王神社の活躍はごんちゃんから聞きましたよ、よく頑張ったね」
「へへへ、ももドロボーやっつけた」
「さくらもやったー」
「うんうん、二人とも頑張りました。それでこそ神馬家の子どもたちです、でもね、ももちゃんもさくらちゃんも聞いて欲しいの、今からおばあちゃんの言うことを…いい? 」すみれは優しく言った。
『うん』
「喜怒哀楽ってわかる? 喜び、怒り、哀しみ、楽しみ、人の気持ちを表している言葉ね」
「…」
「喜びも怒りも哀しみも楽しみも全ての感情は心を育て、人を育ててくれる大切な感情なの、でもね、その反面自分勝手にその感情をほかの人に押し付けると、他人を傷つけてしまう。
恐ろしい武器になるわ。
だから、そうならないように常に心のどこかにブレーキがかけられる、冷静な自分を持っていないといけません。難しいよねまだ二人には…」
『…』
「だけどね、鬼王様に授かった能力が自在に使えるようになったからは、常に心のブレーキを使えるようにしておかないといけません」
どこまでもすみれおばあちゃんの口調は優しい。
「自分でこれじゃいき過ぎるって思った時は、この御守りを握り締めて、心を落ち着けるようにしてちょうだい、これがおばあちゃんからのお願い」
「この御守りはそんなにすごいの? 」
ももが言った。
「神殿の宝玉が小さな紫の座布団にのっていたのは覚えてる? 」
「覚えてるー」
さくらが元気いっぱいにこたえた。
「あの中の綿を少し頂いて、紡いだ糸で作ったものだから、鬼王様の霊力が込められている御守りよ」
二つの御守りはすみれが、糸を手で紡ぎ編み、染め、刺繍を施した物だ。いずれ、こういう日が来るのをすみれは分かっていたのだ。
「肌身離さない持っていなさい、そして、どうしても心が落ち着かない時には握りしめて心を落ち着けなさい、きっと鬼王様が助けてくれるから、わかった? 」
『うん』
──二人は元気に答えた。
「えっあるのー」さくらが嬉しそうに言った。
「えーえーありますよ。ないわけないじゃない、二人が来るのに」
『やったー』
「もも、冷蔵庫から持って来て」
「はーい」
ももは嬉しそうに台所へいくと冷蔵庫を開けた。ラムネは何本も入ってた。
「さくら、何色? 」
「ピンクー」
「じゃあももは青にしよっと」
──ボトルとキャップの色が違うだけである、どれも中身は変わりない。でも選ぶのが楽しい。
ももはピンクと青のラムネを取ると、戻った。
プシュー、かららん、二人はラムネの封を開けてビー玉を転がしながら飲みだした。
すると、すみれが机の端に置いてある漆塗りの小箱から何やら取り出した。
「今日は二人にあげるものがあってね」
「なになに? 」
さくらがラムネから口を外して聞く。
「これ」
すみれが出したのは真っ赤で小さな貝のような形をした御守りだった。赤い紐も輪になってついていた。御守りには白い糸で刺繍がしてある──「鬼王」と…
「おばあちゃんこれなあに? 」
ももがラムネをテーブルに置くと訪ねた。
「御守りよ」
『御守り? 』
「そう、御守り…」
『……』
「この間の鬼王神社の活躍はごんちゃんから聞きましたよ、よく頑張ったね」
「へへへ、ももドロボーやっつけた」
「さくらもやったー」
「うんうん、二人とも頑張りました。それでこそ神馬家の子どもたちです、でもね、ももちゃんもさくらちゃんも聞いて欲しいの、今からおばあちゃんの言うことを…いい? 」すみれは優しく言った。
『うん』
「喜怒哀楽ってわかる? 喜び、怒り、哀しみ、楽しみ、人の気持ちを表している言葉ね」
「…」
「喜びも怒りも哀しみも楽しみも全ての感情は心を育て、人を育ててくれる大切な感情なの、でもね、その反面自分勝手にその感情をほかの人に押し付けると、他人を傷つけてしまう。
恐ろしい武器になるわ。
だから、そうならないように常に心のどこかにブレーキがかけられる、冷静な自分を持っていないといけません。難しいよねまだ二人には…」
『…』
「だけどね、鬼王様に授かった能力が自在に使えるようになったからは、常に心のブレーキを使えるようにしておかないといけません」
どこまでもすみれおばあちゃんの口調は優しい。
「自分でこれじゃいき過ぎるって思った時は、この御守りを握り締めて、心を落ち着けるようにしてちょうだい、これがおばあちゃんからのお願い」
「この御守りはそんなにすごいの? 」
ももが言った。
「神殿の宝玉が小さな紫の座布団にのっていたのは覚えてる? 」
「覚えてるー」
さくらが元気いっぱいにこたえた。
「あの中の綿を少し頂いて、紡いだ糸で作ったものだから、鬼王様の霊力が込められている御守りよ」
二つの御守りはすみれが、糸を手で紡ぎ編み、染め、刺繍を施した物だ。いずれ、こういう日が来るのをすみれは分かっていたのだ。
「肌身離さない持っていなさい、そして、どうしても心が落ち着かない時には握りしめて心を落ち着けなさい、きっと鬼王様が助けてくれるから、わかった? 」
『うん』
──二人は元気に答えた。
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