18 / 93
第2章
中道商店街の人々 8
しおりを挟む
小学校は給食の時間が終わり昼休みになった。昼休みになるとももが、ほぼ毎日のように体育館で練習していることがある。
それは、バック宙の練習だ。
コーチはボブ君のお兄さんの、クラスメイトのジョニーだ。肌は黒いが、ボブと同じくマミーはジャパニーズの日本生まれの日本人だ。
ジョニーの自慢は長い髪をクルクル編んだドレッドヘアーだ。背も学年で一番高いが、小学四年なのにかなり大人っぽい、どこかのレゲエミュージシャンのようだ。
ももは、一ヶ月でふかふかのクッションの端にたち、ジョニーの補助付きでバック転できるようになった。
その後、床で手をついて一人でバック転出来るようになった。
でも、後一ヶ月後に迫った鬼王神社の夏祭りでは、一人でバック宙を決めないといけない。
「えい」
ももは大きなふかふかクッションの端にしゃがみこみ、ジャンプする。
頭を先に回転させるつもりで、足を空中に飛ばして…
──ボフ!
クッションに正面から落ちていく。
半回転まではできるのだが、綺麗に足から着地できないのだ。
「ハァイ、もも、手を使ってバック転出来るんだから、もうできたもおんなじだぜ」
「うーん、どうも途中で怖くなる」
ももはクッションに寝転がるようにジョニーを見る。
「みてな」
ジョニーはクッションも何もない床で、いともたやすくバック宙を決めた。
どん!
着地も綺麗だ。自慢のドレッドヘアーもフサフサ宙に舞うとさらりと最後にまとまった。
「う、うまい」
「もも、できるってできる、ヒャア」
「どうやって出来るようになったの?」
「うーん、ダディが俺をオリンピック選手にしようって考えて、コーチにつけて特訓した結果だぜ、でも俺は嫌だねラップの方が好きさ、オーノー」
「……」
「ヘイもも、お前の運動神経イケてるぜパッションもバッチリだ、絶対できるぜ、できるぜ、グレードだゼェ」
アメリカンはいつも陽気だ──ハーフだが、血は争えない。
ももは時々ついていけなくなる時がある。
「ホレ、もう一回」
「うん」
再びトライだ。
ダン! ボフ!
半回転で正面から落ちていく。
「もう少しだ、もう少し、もも、イケてるぜワァオ」
何度も練習するもも。
その度に奇声を発するジョニー。
「ヒャぁぁぁ、ゴー、もも、ゴー…」
ジョニーはいい奴だ。
それは、バック宙の練習だ。
コーチはボブ君のお兄さんの、クラスメイトのジョニーだ。肌は黒いが、ボブと同じくマミーはジャパニーズの日本生まれの日本人だ。
ジョニーの自慢は長い髪をクルクル編んだドレッドヘアーだ。背も学年で一番高いが、小学四年なのにかなり大人っぽい、どこかのレゲエミュージシャンのようだ。
ももは、一ヶ月でふかふかのクッションの端にたち、ジョニーの補助付きでバック転できるようになった。
その後、床で手をついて一人でバック転出来るようになった。
でも、後一ヶ月後に迫った鬼王神社の夏祭りでは、一人でバック宙を決めないといけない。
「えい」
ももは大きなふかふかクッションの端にしゃがみこみ、ジャンプする。
頭を先に回転させるつもりで、足を空中に飛ばして…
──ボフ!
クッションに正面から落ちていく。
半回転まではできるのだが、綺麗に足から着地できないのだ。
「ハァイ、もも、手を使ってバック転出来るんだから、もうできたもおんなじだぜ」
「うーん、どうも途中で怖くなる」
ももはクッションに寝転がるようにジョニーを見る。
「みてな」
ジョニーはクッションも何もない床で、いともたやすくバック宙を決めた。
どん!
着地も綺麗だ。自慢のドレッドヘアーもフサフサ宙に舞うとさらりと最後にまとまった。
「う、うまい」
「もも、できるってできる、ヒャア」
「どうやって出来るようになったの?」
「うーん、ダディが俺をオリンピック選手にしようって考えて、コーチにつけて特訓した結果だぜ、でも俺は嫌だねラップの方が好きさ、オーノー」
「……」
「ヘイもも、お前の運動神経イケてるぜパッションもバッチリだ、絶対できるぜ、できるぜ、グレードだゼェ」
アメリカンはいつも陽気だ──ハーフだが、血は争えない。
ももは時々ついていけなくなる時がある。
「ホレ、もう一回」
「うん」
再びトライだ。
ダン! ボフ!
半回転で正面から落ちていく。
「もう少しだ、もう少し、もも、イケてるぜワァオ」
何度も練習するもも。
その度に奇声を発するジョニー。
「ヒャぁぁぁ、ゴー、もも、ゴー…」
ジョニーはいい奴だ。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ガチャで破滅した男は異世界でもガチャをやめられないようです
一色孝太郎
ファンタジー
前世でとあるソシャゲのガチャに全ツッパして人生が終わった記憶を持つ 13 歳の少年ディーノは、今世でもハズレギフト『ガチャ』を授かる。ガチャなんかもう引くもんか! そう決意するも結局はガチャの誘惑には勝てず……。
これはガチャの妖精と共に運を天に任せて成り上がりを目指す男の物語である。
※作中のガチャは実際のガチャ同様の確率テーブルを作り、一発勝負でランダムに抽選をさせています。そのため、ガチャの結果によって物語の未来は変化します
※本作品は他サイト様でも同時掲載しております
※2020/12/26 タイトルを変更しました(旧題:ガチャに人生全ツッパ)
※2020/12/26 あらすじをシンプルにしました
悪役令嬢ルートから逃れるために家出をして妹助けたら攻略対象になってました。
のがみさんちのはろさん
ファンタジー
転生したら恋愛ゲームに登場する最低最悪の悪役令嬢として生まれてしまった!
このままでは世界中から嫌われ処刑されてしまう。そうなる未来を避けるための選択は何か。
ルート回避するためにヒロインとなる実妹にとことん優しくする?
それともストーリー上で虐めていた人達に優しくする?
いや、1番最適解はただ一つ。ストーリーに関わらなきゃいいんだ!!
とは言ったものの、可愛い妹(ヒロイン)のことは気になる。無事に攻略対象と幸せになれるのか気になってしまった(元)悪役令嬢は、こっそりヒロインのことを覗き見に行き、イベントという名のトラブルが起こる度につい助けに行ってしまったのでした。
第17回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
※カクヨム・小説家になろう・エブリスタ・ノベルアップ・pixivでも連載してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる