1 / 93
第1章
鬼王神社の宝玉 1
しおりを挟む
鬼王神社を取り囲む、真っ暗な鎮守の森に潜む怪しい人影が3つ、しゃがみこみ小さくなり、境内に隣接した鬼王幼稚園を恨めしそうに見ていた。
もう辺りは暗いのに、いつまでたっても幼稚園が終わらないのである。
親分が言う。
「いつまで大騒ぎしてるのかね」
「ぐー」
子分は返事の代わりにいびきを返し、もたれかかってきた。
──ぺしん! 頭を平手打ちする親分。
「こら一、親分にもたれかかって寝るとは何事だ! 」
「もう6時間もこんなところにいるんですよ、暇で暇で寝ちゃいますよ、ああ腹減ったす…」
一は何の反省もなくけろりと言った。
人が少ない時を見計らって、境内に忍び込んだのだが、そのうち園児やら、保護者やらが次々と入ってきて、仕方なく森に隠れると、身動きがとれなくなったのだ。神殿に行くには、境内を横切らないといけないので、見つかったら厄介だ。
すると…
「ぐー」
今度は反対側でいびき、そしてもたれかかってくる体。
──がん! 反対側を向いて頭をこづく。
「うひゃー痛てぇ」
「ばか、二、静かにしろ、俺たちゃ潜んでいるんだぞ、暗闇に! 」
「そりゃ、知ってますけどね、あー腹減った」
「全く、お前たちはやる気があるのか、こんちきしょう」
「ありますよ、ありますから、蚊に刺されようと我慢してるんじゃないっすか…」一が答える。
「ふん! 」
「それにしても何やってるんですかね、あいつら」
「お泊り会に違いねぇ」親分が答える。
「あーそういや、幼稚園の頃やったなぁ懐かしい…」二が答える。
「こんな時にぶつかるなんてついてねーなー」一が言う。
「ふん、しょせんガキと女の先生だ、寝ちまえば起きねえよ」
「りょ、りょうかい…ぐー」
「お前らちゃんとしないと分け前やらんぞ!」
──シャキーン! 背筋を伸ばす一と二。
「「了解しました。親分についていきます」」
「ふん! 」呆れ顔の親分である。
3人は神殿に置かれた御神体を盗みに来ているのだ、神をも恐れぬ不届者たちである。
実はある一部の泥棒仲間で、鬼王神社の御神体は有名だった。
ソフトボール大の宝石で、売れば何億にもなるらしい、それだけでなく、御利益は半端なく、手にした者は大金持ちになるという。
現に鬼王神社の氏子総代は大金持ちだ。
親分と子分一、二は無謀にもこの宝石を狙っているのだ。
もう辺りは暗いのに、いつまでたっても幼稚園が終わらないのである。
親分が言う。
「いつまで大騒ぎしてるのかね」
「ぐー」
子分は返事の代わりにいびきを返し、もたれかかってきた。
──ぺしん! 頭を平手打ちする親分。
「こら一、親分にもたれかかって寝るとは何事だ! 」
「もう6時間もこんなところにいるんですよ、暇で暇で寝ちゃいますよ、ああ腹減ったす…」
一は何の反省もなくけろりと言った。
人が少ない時を見計らって、境内に忍び込んだのだが、そのうち園児やら、保護者やらが次々と入ってきて、仕方なく森に隠れると、身動きがとれなくなったのだ。神殿に行くには、境内を横切らないといけないので、見つかったら厄介だ。
すると…
「ぐー」
今度は反対側でいびき、そしてもたれかかってくる体。
──がん! 反対側を向いて頭をこづく。
「うひゃー痛てぇ」
「ばか、二、静かにしろ、俺たちゃ潜んでいるんだぞ、暗闇に! 」
「そりゃ、知ってますけどね、あー腹減った」
「全く、お前たちはやる気があるのか、こんちきしょう」
「ありますよ、ありますから、蚊に刺されようと我慢してるんじゃないっすか…」一が答える。
「ふん! 」
「それにしても何やってるんですかね、あいつら」
「お泊り会に違いねぇ」親分が答える。
「あーそういや、幼稚園の頃やったなぁ懐かしい…」二が答える。
「こんな時にぶつかるなんてついてねーなー」一が言う。
「ふん、しょせんガキと女の先生だ、寝ちまえば起きねえよ」
「りょ、りょうかい…ぐー」
「お前らちゃんとしないと分け前やらんぞ!」
──シャキーン! 背筋を伸ばす一と二。
「「了解しました。親分についていきます」」
「ふん! 」呆れ顔の親分である。
3人は神殿に置かれた御神体を盗みに来ているのだ、神をも恐れぬ不届者たちである。
実はある一部の泥棒仲間で、鬼王神社の御神体は有名だった。
ソフトボール大の宝石で、売れば何億にもなるらしい、それだけでなく、御利益は半端なく、手にした者は大金持ちになるという。
現に鬼王神社の氏子総代は大金持ちだ。
親分と子分一、二は無謀にもこの宝石を狙っているのだ。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
夫から国外追放を言い渡されました
杉本凪咲
恋愛
夫は冷淡に私を国外追放に処した。
どうやら、私が使用人をいじめたことが原因らしい。
抵抗虚しく兵士によって連れていかれてしまう私。
そんな私に、被害者である使用人は笑いかけていた……
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる