『思春期のかがりちゃん』

⑭『初恋が崩れる音』

最近、ゆきちゃんの様子がおかしい。


いや、正確には変におかしいとかではなく、
なんだか浮かれているような感じ。

何かいいことでもあったのだろうか。



ゆ「ふぅーん♬ふふぅーん♬♬」
ゆきちゃんが鼻歌を歌いながら
ぴょんぴょんスキップしてる。
可愛すぎる。

よほど嬉しいことがあったんだろう。
なんだか見てるこっちも嬉しくなる。





その日の放課後。
委員会で帰るのが遅くなってしまった。
急いでもしょうがないのでゆっくり帰ろう。

時刻は17時半。ちょっと暗くなってきた。
公園に入った辺りで人影がみえた。

ゆきちゃんだ。
ゆきちゃんが誰かと歩いている。
見なくても分かる。いちごちゃんだ。



手を繋いで歩いている。
本当に仲良し姉妹なんだな。。。
声をかけるのは野暮だ。後ろから見守ろう。





この時、私は後悔した。


ゆきちゃんがいちごちゃんにキスをするのをみてしまった。
そして、いちごちゃんもそれを受けいれて舌を絡めてる。

か「…え？」
思わず足が止まり、声が出てしまった。



姉妹であんなキスは普通しない。
あれは恋人同士のキスだった。。。

え？やっぱり…あの2人……




頭が真っ白になった。
今すぐここから消えたい。
見たくない。信じたくない。消えたい。

私は無意識に後ずさり、
その場から逃げるように走った。

嘘だ。嘘だ。嘘だ。信じない。認めない。
嘘だと言ってほしい。
実は私に気付いていて、姉妹が私にドッキリを仕掛けた。とかであって欲しい。

けど、あのキスしてる時のゆきちゃんの顔が頭から離れない。
あれはドッキリとかの顔ではない。

私の初恋が崩れる音がした。


【次回…最終話】