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⑧『委員長と不良少女の通話』
しおりを挟むある日の夜。
かがりは部屋で勉強していた。
しかし、勉強といっても授業の復習ではなく、
かんなに教える範囲の復習だ。
いつの間にか自分のためではなく、
かんなのための勉強になっていた。
こう説明したら分かりやすいか…等、
もはやしているコトが『先生』だった。
一通り復習が終わり、
かがりはベッドに寝転がった。
そしてスマホをとりだす。
どうやらこのあいだ、
かんなと連絡先を交換したようだ。
かが「勉強ひと段落ついたよ…っと。」
かがりはかんなにメッセージを送る。
そしたらかんなからメッセージが返ってきた。
通話しないか』というメッセージだ。
まさかのメッセに驚くかがり。
けど断る理由もないので通話する。
かが「もしもし?かんなちゃん?こんばんはぁ」
かん「おぅ。おつかれさま。」
かんなとは電話で会話するのは初めてだから
少し緊張するかがり。
かん「悪いね。メッセ送り合うより通話するほうが早いと思うタイプなんだアタシ。」
かが「あぁ~なんとなくわかるよ。」
ふふっと笑うかがり。
寝転びながら通話してると
青春してるなぁと感じるかがりだった。
かん「それで日曜日のことなんだが…」
いつも生で聞く声と通話越しで聞く声って微妙に違う気がしてなんか新鮮だ。
かがりはそう思った。
かが「((かんなちゃん結構いい声だなぁ…))」
かん「??もしもし?」
かが「あぁ!ごめん!日曜日ね!!」
かん「上映時間が朝と昼と昼過ぎなんだが…どうする?」
かが「私は何時でもいいよ。かんなちゃんに任せる。」
かん「そうか。なら、朝の方が空いてるから朝にしよう。空いてるほうがいいだろ?」
かが「そうだね!そうしよう!」
かん「じゃあ、8時半シネマ前に集合だな。」
日曜日の打ち合わせを済ませ、
少し雑談した後にかんなが話題をかえた。
かん「そういえば、この前ゆきと話したぞ。」
かが「え?!ゆきちゃんと!?」
つい声がデカくなったかがり。
かが「ご、ごめん。…なに話したの?」
かん「いや、とくになにを話したわけじゃないんだが…」
少し言葉が詰まるかんな。
かが「な、なに??」
かん「・・・なんかお前のこと気にしてたぞ。少し心配してる様子だった。」
かが「ゆきちゃんが!?私を?」
かん「どうやら妹のいちごが、お前とアタシが一緒にいるところを見たらしい。それで直接アタシに聞きに来たんだ。全くたいした女だよ。」
かんなは微笑みながら話す。
かん「恐らくアタシがお前をイジメてると思ったんだろうな。そんな相手に直接会って話すなんてアイツもなかなか友だち想いじゃないか。」
かが「そ、そうだったんだあ。なんかごめんね。私のせいで疑われちゃって…」
かん「そういうのはもう慣れてる。アタシの素行が悪かったから疑うのは当然のことだ。」
かが「明日、ゆきちゃんに話すよ。かんなちゃんとは勉強を教えてる仲だって。」
かん「悪いがお前からもそう言ってやってくれ。そしたらアイツも安心するだろう。」
かが「・・・本当にごめんね。」
かん「なんで謝る?悪いのはアタシの方だ。」
申し訳ない気持ちになるかがり。
かが「私、まだゆきちゃんのこと…どうしたらいいかわからないんだぁ…」
恐らくゆきは妹のいちごと付き合っている。
妹の存在がかがりの足を止めていた。
かん「正直、お前次第だろうな。気持ちを伝えるのか、友だちのままでいるのか。」
かが「うん…」
かん「アタシはお前の味方だ。お前の恋を応援するよ。」
かが「あ、ありがと…///かんなちゃんは優しいね。」
かん「やめてくれ。アタシは優しくなんかない。お前の力になりたいと思ってるだけだ。」
かが「((本当にかんなちゃんは優しいな…))」
かが「ありがとう。そろそろ寝るね。また明日ね。」
かん「あぁ、また明日な。おやすみ。」
通話を切る。
かがりの気持ちは少し動きつつあった。
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