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①『同窓会』
しおりを挟む新成人を祝う成人式。
成人式の後は同窓会とだいたい相場が決まっている。
うどん学園卒業生も例に漏れず、同窓会が開かれた。
卒業生全員は揃わなかったものの、100人くらいは集まった。
かが「え、えぇっと……皆さん、成人おめでとうございます。皆さんとまた集まれて嬉しく思っています。今日はハメを外しすぎないように楽しみましょう。乾杯です。」
幹事をつとめる学級委員長だったかがりが挨拶をして乾杯が始まる。
ワイワイと盛り上がる会場。
だが幹事のかがりはあたふたしていた。
かん「なにか手伝うか?かがり。」
かんながかがりを手伝おうと声をかける。
かが「ありがとうかんなちゃん。けど大丈夫!これくらいこなさないと立派な社会人にはなれないからねッ!」
かん「別にそんなことないぞ……」
かが「かんなちゃんは楽しんできてッ!みずきちゃんとはもう会った?」
かん「いや…まだだが…」
かが「会っておいでよ。昔からの友だちなんでしょ?私は大丈夫だからッ。」
かがりはそう言って笑顔でかんなの背中を押した。
かん「わかったよ。なにかあったらすぐ呼べよ?」
かが「うん!楽しんできてッ!」
かんなはかがりに手を振ってその場を離れた。
かが「・・・よし!がんばろッ!」
かがりはグッと拳を握って気合いをいれた。
賑わう会場。
かんなはやっぱりかがりのことが気になり、遠くから見守ることにした。
すると後ろからかんなの名前を呼ぶ声が聞こえた。
かんなが振り返ると、そこにはみずきが居た。
みず「久しぶりだねぇ、かんな。」
酒の入ったグラスを持ちながらかんなに近づいてきた。
かん「・・・どちら様ですか?」
みず「はぁ?殴るぞお前。」
かん「ふっ、冗談だ。久しぶりだな。」
お互い拳をコツンと合わせる2人。
かんなとみずきは中学時代によくつるんでいた不良仲間だった。
みず「元気してた?」
かん「あぁ。お前も相変わらずそうだな。相方はどうした?」
みず「ひまちゃんはいちごと喋りに行ったよ。親友だったからね。」
かん「あぁ…あの姉妹の……まぁ元気そうでなによりだ。」
するとみずきはまじまじとかんなを見つめた。
みず「なんか丸くなったね。」
かん「一応社会人だからな。いつまでも学生のままではいられない。」
みず「いや、体型のほう。」
かん「そんなに殴られたいか。表出ろ。」
ふっと微笑み合う2人。
まるで学生時代に戻ったようだった。
一方でかがりは主催の出し物の準備をしていた。
かが「えーっと、次はビンゴ大会だっけ。景品並べなきゃ。」
かがり率いる委員会チームで景品を並べている時、後ろから声を掛けられる。
?「かがり……ちゃん。」
かがりが振り返ると、そこには白髪の女性が立っていた。
その女性をみたかがりは一瞬誰かわからなかった。
?「あ……覚えて……ないか……。」
かが「その声………れなちゃん?」
かがりはその女性の声で思い出した。
クラスで1番目立たず、いつも教室の隅っこにいた生徒だった。
れな「覚えててくれたんだ……嬉しい。」
かが「来てくれたんだね!会えて嬉しいよ。」
学生時代から外見がガラッと変わったれなを見て驚くかがり。
かがりはれなに近づいて握手する。
かが「元気してた?」
れな「うん……まぁまぁ……かな。えへへ。」
れなは照れながら答えた。
れな「ゆっくりお話したいんだけど……今忙しいよね……」
出し物の準備をしているかがりを見て察したれなはかがりの手を離して離れようとする。
しかしかがりは手を離さなかった。
かが「ちょっと待ってて!すぐ終わるし、まだ次の出し物まで時間あるから!」
れな「ありがと……待ってるね。」
かがりはニコッと微笑んで急いで準備を再開した。
「・・・あんな人、うちの生徒にいました?」
委員会チームの1人がれなを見てかがりに聞いた。
かが「いたよ。静かな子だったけど。ふふふ、会えて嬉しいなぁ。」
「あとの準備は僕達でやっておきますから。行ってきてください。委員長も楽しんで!」
かが「え!?いいの?……じゃあ、お言葉に甘えて。ありがとッ!準備室に居るから何かあったら呼んでね!!」
かがりは委員会チームに準備を任せて、れなの元に走って行った。
「・・・ホント可愛いな委員長は…」
「でもあの不良生徒だったかんなと付き合ってるんだろ?噂で聞いたぜ?」
「私知ってる!同棲してるんだってぇ!」
「マジかよ!?……なんかもったいないなぁ……」
「コラ!そんなこと思ってても言うんじゃないよ!…さぁ!準備するよ!」
「「はーい。」」
委員会チームは準備を再開した。
かが「れなちゃん!お待たせ!!」
すぐ戻ってきたかがりに驚くれな。
れな「え?…準備はいいの?」
かが「みんなが行っていいよって言ってくれたから。…それよりホント久しぶりだね!」
れな「うん。私……かがりちゃんに会いに来たの。」
れなは少し頬を赤らめて言った。
かが「嬉しい!私もれなちゃんに会いたかったよッ。」
かがりはニコッと笑う。
かが「次の出し物まで時間あるし、よかったら静かな場所で話す?」
れな「うん。ありがと。」
れなが騒がしい所が苦手なことを知っているかがりは静かな場所にれなを連れて行った。
それをみずきと話しながら遠くから見ていたかんな。
かん((「誰だ……あの女……」))
かんなは少しモンモンとした。。。
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