『ブラックボックス』

うどん

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〜最終章〜

185.『極限』

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リカの武装親衛隊の襲撃を受けたしおんとユウゼン。

苦戦を強いられていたが、よつばの参戦により形勢逆転したものの瀕死の重傷を負ったユウゼン。

よつばの手当てを受けたユウゼンだがその中で、
ユウゼンは闇医者 カオリにエトの情報を流していたことをしおんとよつばは知る。




よつ「恩……?」



ユウ「・・・あぁ。」


しお「・・・それって、じいちゃん……のことだよね?」


ユウ「・・・そうだ。先生にはよく親父の面倒を見てくれてたからな。」



しおんの祖父でありユウゼンの父親であった人物は極道の人間だった。

カオリは昔、しおんの祖父が持つ組の専属医師をしていた。



ユウ「それに恩だけじゃない。狙いがあった。」



ユウゼンは続けて言った。


ユウ「エトを消せば、クスリを製造出来なくなる。」


しお「それはつまり……『犬』を増やすことが出来なくなる。」


ユウゼンは頷いた。


よつ「・・・ッ!?」


おとなしく聞いていたよつばだったが咄嗟に銃を取り出した。


前方の陰から微かに銃の影が見えたからだ。



発砲しようと引き金をひいたが、よつばの持っている銃にはもう弾は入っていなかった。

よつ「ッ!?弾切れッ!?」


すると陰から親衛隊の1人が現れ、3人に銃口を向けてアサルトライフルを発砲した。


しお「よつばッ!!!」


しおんはよつばを銃弾から庇うように抱き締めてギュッと目を閉じた。


しおんはその瞬間、死を覚悟した。


だが銃弾はしおんとよつばには当たらなかった。


しお「・・・ッ!?」


そっと目を開いて後ろを見ると、そこにはユウゼンが2人を庇うように立っていた。



しお「父さんッ!!!」

よつ「う……うそ……だろ……」



ユウゼンは2人を庇うために背中で銃弾を受けたのだった。


「あぁ!クソっ!!」


全弾撃ち尽くした親衛隊は次の連射のためにリロードをしようとしていた。




ユウ「い……いけ………」

振り絞ってユウゼンが言った言葉。

ユウゼンは『逃げろ』という意味で言ったつもりだった。


ユウゼンの言葉でしおんとよつばは飛び出した。
それは、ユウゼンが思っていた真逆の方向に飛び出していった。



ユウ「((・・・ふっ……やはりか……))」


ユウゼンは薄れていく意識の中、静かに思った。




ユウ「((お前は自慢の息子だ……しおん。))」




しおんとよつばは親衛隊に向かって走り出した。


しお「((弾を込める前にッ!!))」


よつ「((ぶっ殺すッ!!))」


走って来た2人を見て慌てて弾を込めようとした親衛隊。


しかし慌ててしまった為か、マガジンを変える手元が狂ってしまった。


「く、くそ!!」


アサルトライフルのリロードが間に合わないと思い、ハンドガンに持ち替えたがもう遅かった。



銃口を向ける前によつばがハンドガンを持つ手を蹴り、ハンドガンを蹴り飛ばす。



「グッ!……うわっ!!」


怯んだところにしおんが飛びかかった。


しお「お前はッ!許さない!!」


しおんの拳が親衛隊の顔面に振り下ろされた。


何度も何度も拳を打ちこみ、殴打の音がしばらく響き渡った。






その頃、
みつれとリカの銃撃戦は熾烈を極めていた。
両者一歩も譲らずに銃を撃ち続ける。


しかし、お互い残弾が残り僅かになっていた。


みつ「((くっ……もう弾が少ない。だが、リカも同じハズだ…。))」



銃撃戦は一旦収まり、静寂に包まれる。

互いにコンテナを盾にし、次の準備を進める。


みつ「((・・・スイ……チカラを貸して。))」



ここからは接近戦になる。
みつれは銃とナイフをグッと握りしめ、リカに仕掛けようと動き始めた。


みつれは再び発砲を始めた。

撃ちながら走って移動していく。
それに合わせてリカも移動を始めた。


徐々に2人の距離が縮む。
すると、みつれは半ば強引にリカの方に走り出した。


リカは容赦なく突っ込んでくるみつれに発砲するが途中で弾切れになる。


しかし焦ることなく、リカはみつれの突進に迎え打つ。


ナイフを構え、リカに切りつけようとする。


だがリカはみつれの攻撃を受け流し、みつれの顔面にカウンターをいれる。


みつ「グッ!」


少し怯んだ隙をついて、リカはみつれの脚を狙ってみつれの体勢を崩した。


地面に倒れたら殺られると思ったみつれは、倒れ間際に銃口をリカに向けて発砲した。

だが銃弾はリカの顔を掠める。


みつ「ッ!?」


リカはみつれの頭を掴み、地面に叩きつけた。


リカ「残念だったな。」


みつれにそう言うと、リカはみつれから銃を奪った。

みつ「グッ!」


みつれは抵抗するが押さえつけられて身動きが取れない。



リカ「これで終わりだ便利屋………ッ!?」



その時、リカはみつれと間近で目が合って気付いた。


リカ「・・・スイ……」


リカを睨むみつれの表情が、当時『犬』だった頃のスイの表情と似ていた。

リカの押さえつけてる腕の力が少しゆるむ。
その隙をついてみつれはリカを振りほどく。


みつ「((なんとか銃を奪い返さないと!!))」

素早く体勢を立て直し、みつれは銃を持つリカの腕を狙ってナイフを突き刺そうとしたが読まれていた。


リカはさっと交わし、みつれの手の甲に銃口を当てて発砲した。


みつ「ぐがぁッ!!」


弾丸はみつれの手の甲を貫いた。
飛び散る血。弾け飛ぶナイフ。


リカは更に容赦なくみつれの右肩を撃ち抜く。


撃ち抜かれたみつれは地面に倒れる。
しかし、絶体絶命でありながらもリカを睨みつけていた。


リカ「・・・ふっ、『ペットは飼い主に似る』……とはよく言ったものだな。スイもそんな目をしていた。」



みつ「お、お前は……私から家族とスイを奪った…ッ!お前だけは……お前だけはッ!!」


リカ「・・・よく覚えている。私はお前の両親を殺した。殺さねばならなかった
それが私の任務……いや、使命だった。」



みつれの両親はテロに偶然巻き込まれて亡くなった。
みつれはずっとそういう認識でいた。

だが、リカの言い方にみつれは違和感を感じた。


『私はお前の両親を殺した。』


まるで偶然ではなく、意図して殺害したと読み取れる。


みつ「・・・どういう意味だ…?何故一般人の両親がお前らに狙われるんだ!?」



リカ「お前……両親のこと何も知らないのか?……まぁ無理もない。あの時お前はまだ子どもだったからな。」


リカは少し笑った。



リカ「教えてやろうか?お前の両親の正体を……。」



みつれが知らなかった両親の正体…。
いったい何者だったのか。
何故リカに狙われたのか。。。

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