『ブラックボックス』

うどん

文字の大きさ
上 下
186 / 190
〜最終章〜

180.『睨み合い』

しおりを挟む



シロサキはリカに自分の『犬』であるハナがみつれを始末し損ね、挙句の果てにエトを拉致られたことを告げられる。

緊急事態と言われ、リカの元に戻るよう命令を受けたシロサキはふつふつと怒りが込み上がっていた。



シロ「・・・」


通話が切れたスマホをポッケに入れながらハナを睨むシロサキ。


シロ「ハナ、お前しくじったね。みつれを殺し損ねてるぞ。」


ハナは驚いたと同時にサッと顔色が悪くなった。


ハナ「そ、そ、そんな……確かにですかそれは……」


ハナはリンを離し、シロサキの元へ走った。



リン「((今だッ!))」


リンはずっとハナが離れる瞬間を待っていた。

リンは髪留めを指で変形させ、手錠のロックを解除した。
気付かれないように慎重に手錠を外し、隠し持っていた銃に手をかけようとする。



シロ「リカさんから聞いたんだ間違いない。クソっ!さっさと終わらせて戻るぞ!リカさんの命令……ッ!?」



シロサキはその瞬間、リンが銃を構えているのに気がついた。


リンはシロサキの頭を狙って発砲した。


だが弾丸はシロサキのこめかみを掠める。


シロ「どけっ!」


シロサキはハナを突き飛ばし、リンに発砲した。


リンはすぐ近くの車の陰に隠れて被弾を避けた。


シロ「おい!クソ刑事!!余程このガキを死なせたいらしいなァ!!」


シロサキはカエデの頭に銃口を突きつける。


カエ「ひっ…」


先程発砲した銃口はほのかに熱をおびていた。



するとバイクのエンジン音が埠頭に鳴り響く。


コンテナの上からバイクに乗ったみつれとよつばが現れた。


シロ「ッ!?」


みつれはシロサキ目掛けてバイクのスロットルをまわす。


シロサキはカエデを手放し、バイクの衝突を回避した。


見えない左側に避けたシロサキは体勢を崩してしまい転倒する。


シロサキはすぐにみつれに銃口を向けようとしたが銃は弾詰まりを起こしてしまっていた。


シロ「くっ、くそが!!」


タンデムシートから飛び降りたよつばはすぐにカエデの元へ駆け寄った。


よつ「もう大丈夫だよカエデちゃん!」


よつばはカエデの目隠しと拘束具を外した。



カエ「あ、ありがとうございます。」



小刻みに震えてはいるが、目線はハッキリとしていた。



みつ「シロサキ……」


みつれはバイクから降り、サバイバルナイフを取り出す。


するとハナがみつれの前に立ち塞がり、みつれに蹴りを入れる。


しかしみつれはその蹴りを受け止めた。


ハナ「なんでお前が……なんで生きている!?」



みつ「・・・あの時防弾チョッキの一部を身につけていた。ハナさんが運良く防弾チョッキの位置に撃ってくれたから今こうして生きている。」


みつれはハナの蹴りをはらい、ナイフを構える。


ハナ「じゃあ……次は頭をぶち抜く!!!」


ハナは銃を取り出し、みつれの頭を狙って発砲した。

しかしみつれは屈んで銃弾をかわし、銃を持つハナの右腕をナイフで切りつける。


ハナ「ぐっ……!」


おもわず銃を手放してしまったハナ。
みつれはその瞬間を逃さず銃を手に入れようとする。


だが、ハナはそれを阻止するために地面に落ちた銃をシロサキの方に蹴飛ばして身体を横に逸らした。


みつ「ッ!?」


ハナの後ろにいたシロサキはニヤリと笑う。


シロ「上出来だハナ!」


シロサキはハナの銃を拾い上げ、みつれに銃口を向けた。


シロ「お前もスイの元に送ってやるよッ!!」



引き金を引くその瞬間、シロサキの手から銃が弾き飛んだ。


シロ「ッ!?」


銃を弾き飛ばしたのはリンが撃った銃弾だった。


リン「終わりだシロサキ!!!」


リンの声が響き渡る。


シロ「く……くそ刑事ぃ………ッ!!」


睨み合うリンとシロサキ。


ハナ「シロサキ様!!」


ハナはリンからかばうようにシロサキの前に出ようとするがみつれに身を抑えられた。


みつ「動くな。」


リンは銃を構えながらゆっくりとシロサキに近づく。


リン「お前を逮捕する。覚悟しろ。」


シロ「逮捕?お前が?私を?……ハッ!冗談じゃないよ!!」


シロサキはビー玉サイズの玉をリンに向かって放り投げた。


その瞬間、玉は爆竹のように爆発し、リンを怯ませた。


リン「うっ!!」


怯んでいる隙をついてシロサキはリンから銃を奪う。


シロ「ここで死ぬお前が!!私を逮捕出来るわけないだろ!!」


リンに銃口を突きつけ、引き金を引く。

しかしリンは躊躇無く踏み込み、シロサキを殴り飛ばした。


リン「元々さっきので弾切れだったんだよ。まんまと騙されてくれたね。」


リンが持っていた銃はシロサキの銃を弾き飛ばした時の弾が最後の弾だった。


みつ「・・・ふっ、無茶なことしやがって。」


ハナ「シロサキ様ァァァ!!!」


ハナはみつれの制止を力いっぱいに振り切って倒れたシロサキの元へ駆け寄る。


みつ「くっ……なんて馬鹿力だ………」


リン「みっちゃん大丈夫!?」


リンはみつれに駆け寄った。



リン「・・・みっちゃん、ここは私に任せて。カエデちゃんを安全な所へ。」


みつ「リン………ダメだ。1人で仕留めれる相手じゃない。私もやる。それにカエデはよつばさんに任せた。」


リン「そう………わかった。」


みつれとリンは身を構える。


シロ「・・・ハナ、最後のチャンスだ。今度こそあの女を殺せ。次は無いぞ。」


ハナ「はい!シロサキ様!」


シロサキはゆっくり立ち上がる。


お互い睨み合いがはじまる。



みつ「決まりだな。私はハナさん、リンはシロサキだ。」


リンは頷く。


リン「決着をつけよう……シロサキ。」


シロ「左眼の借りは…お前の命で返してもらう!クソ刑事ぃ!!」



因縁の対決が始まる。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

こども病院の日常

moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

バレー部入部物語〜それぞれの断髪

S.H.L
青春
バレーボール強豪校に入学した女の子たちの断髪物語

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

処理中です...