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〜最終章〜
165.『一線』
しおりを挟むみつれとリンは刑務所に到着した。
リン「着いたよみっちゃん。」
みつ「あぁ、行こう。」
2人は車をおり、刑務所に入った。
リンは刑務所の所長と話をする。
「トドロキの第一発見者はその晩、見回りをしていた看守でした。」
所長はその時の状況を2人に伝える。
「布団のシーツで首を吊っていたそうです。看守は気付いてすぐに首を吊っていたトドロキを降ろしましたがもう手遅れだったそうです。」
リン「その晩、トドロキになにか変化はありましたか?例えば私たち以外に誰か面会に来たとか……」
リンは所長に確認をとる。
「いいえ、刑事さん達以外に面会の記録はありません。あ、でも夜に別の刑事さんが来ました。」
みつ「その刑事とは誰ですか?」
「待ってください。今記録書を出しますから。」
所長は資料を取り出した。
「えーっと……組織犯罪対策部の『ハナ』刑事ですね。その晩私は居なかったので別の看守が応対しました。」
リン「ッ!?なんですって!?」
みつれとリンは驚いた。
「報告書には『緊急捜査の関係で調査に来た』と報告されています。警察手帳も提示されてます。組織犯罪対策部といえば刑事も同じでしたよね?同じ捜査ですか?」
リン「・・・その時の防犯カメラの映像、ありますか?」
「ありますよ。ちょっと待ってください。」
所長は防犯カメラのデータを取りに所長室を出た。
リン「・・・みっちゃん……」
みつ「あぁ……殺ったのはハナさんだ。シロサキの指示だろうな。」
リン「ここの人たちはハナちゃんの事情を知らない。警察手帳提示されたらなんの疑いもないだろうね…。」
リンはギリギリと噛み締め、拳を握る。
それを見たみつれはリンの肩をポンと叩く。
みつ「落ち着けリン。とりあえず情報は出来るだけ持って帰ろう。」
リン「・・・うん。」
すると所長が慌てた様子で部屋に戻ってきた。
「すみません。昨日の防犯カメラのデータが消えていました。」
みつ「・・・ユウゼンだな。」
リン「だろうね。そこまでなるとわかりやすいよ。」
2人は予想していたのか大して驚かなかった。
リン「所長、その夜にハナ刑事に応対した看守に話を聞きたいです。お取次ぎ出来ますか?」
リンとみつれはハナに会った看守に話を聞くことにした。
「連絡します。お待ちください。」
所長は電話を掛ける。
「・・・私だ。昨日の件で刑事から話を聞きたいそうだ。至急来てくれ。…あぁ。」
所長は電話の受話器を置く。
「至急、こちらに戻ってきますのでお待ちください。」
リン「ありがとうございます。」
みつ「・・・トドロキの房を見せてもらっていいですか?」
「えぇ。案内します。どうぞこちらに。」
トドロキの房へと案内されるリンとみつれ。
「ここです。今鍵を開けます。」
所長は房の鍵を開け、中に入る2人。
みつ「・・・この窓の柵を使って首を吊ったのか。」
みつれは窓の柵を見つめる。
リン「・・・発見した時、なにかあらそった形跡とかはありましたか?」
「いいえ。特に乱れた箇所は無かったと聞いてます。発見してからは何も触らないようにしています。」
リン「・・・そうですか。」
リンとみつれは房をしばらく調べるが何も出てこなかった。
リン「ここにはなにもないね……。」
みつ「そうだな。ここはもういいだろ。」
2人は房を出た。
所長に連れられ、所長室に戻る。
みつれとリンはハナを応対した看守を待つことにしたがいっこうに現れなかった。
所長はもう一度その看守に連絡をするが電話が繋がらなかった。
「おかしい……なんで繋がらないんだ……」
2時間経っても看守は来なかった。
みつれとリンは出直すことにし、刑務所を後にする。
みつ「とりあえずヤツらの仕業で確定だな。まさかハナさんを使うとはな……」
リン「・・・」
リンは俯いたままだった。
その様子を心配そうにみつめるみつれ。
みつ「・・・とりあえずトドロキの司法解剖を待とう。原因は多分首吊りによる窒息死では無いだろうな。」
リン「・・・そうだね。とりあえず事務所戻ろうか。」
2人は『カモミール』の事務所に戻った。
その道中、しおんから連絡がきた。
みつ「・・・しおんか。」
しお「みつれさん、おはよう。今どこ?」
しおんは少し眠そうな声だった。
みつ「お前今起きたのか?」
しお「うん……なんか夢かわからないけど、起きたら連絡してってみつれさんに言われた気がして……」
やれやれと呆れるみつれ。
みつ「とりあえず今事務所に戻ってる。帰ったら説明するからちゃんと目を覚ましておけ。」
みつれはしおんの返事を待たずに電話を切った。
リン「しおん君から?」
みつ「あぁ。今起きたらしい。寝過ぎだあのバカ。」
みつれは窓の外を見る。
リン「多分夜遅くまで色々調べててくれたんじゃない?」
リンはしおんにフォローを入れる。
みつ「どうだかなぁ……。ん?あそこ事故ってるな。」
みつれは反対車線で車が大破している事故現場を見た。
リン「あら……派手にやってるね……私たちも気をつけよう。明日は我が身…だよ。」
みつ「フッ……そうだな。」
リンは車を事務所まで走らせた。
無事到着した2人は事務所に入っていく。
するとしおんが待っていた。
しお「おかえりみつれさん。あれ?リンさんまで。」
みつ「リンのところに行くって言っただろ。まだ寝ぼけてるのか?」
みつれはしおんの肩を叩いた。
しお「痛ッ……。んで、どうしたんですか?」
しおんはなにがあったか2人に訊ねた。
リン「・・・トドロキが死んだんだよ。刑務所でね。」
しお「え……」
まさかの返答に驚くしおん。
みつ「目が覚めたか?」
しお「う、うん……。でもなんで!?」
リン「布団のシーツで首を吊ってたらしいけど、私たちは組織の仕業だと思ってる。」
しお「どうやって!?刑務所なんかそうそう忍び込めるとこじゃないでしょ?」
みつ「・・・ハナさんだよ。ヤツらはハナさんを使ったんだ。」
リン「ハナちゃんは警察手帳を使って刑務所内に入ったんだよ。そしてトドロキを……」
リンは暗い表情をした。
しお「う…嘘でしょ………」
みつ「本当だ。ハナさんが刑務所に来たと所長が報告書をみせてくれた。間違いない。」
しお「・・・」
しおんは俯いた。
みつ「シロサキの命令だろう…。ハナさんはトドロキを自殺に見せかけて殺した。トドロキに『ドッグオーディション』の件のケジメをつけさせたんだ。」
みつれは淡々と話す。
しお「・・・これで情報源が無くなっちゃったね。」
リン「・・・そうだね。まさかこんなことになるとはね……」
空気が重くなる。
トドロキの情報を頼りにしていた分、これから別の方法を探さないといけない。
みつ「・・・そういえば今日カオリさんが来るんだろ?それが頼みの綱だな。」
リン「カオリ?カオリって闇医者の?」
リンはみつれに確認した。
みつ「あぁ。」
リン「なら私はいない方がいいね。署に戻るよ。トドロキの死因がわかったら連絡するね。」
みつ「あぁ、ありがとう。」
リンは事務所を後にした。
しお「みつれさん、カオリさんのことリンさんに話してよかったの?警察はカオリを追ってるんじゃ……」
みつ「大丈夫だ。リンには話してある。目をつぶってくれるように頼んだ。」
それを聞いてしおんはホッとする。
しお「よかった……」
しおんはソファから立ち上がる。
しお「多分もう来ると思う。カエデちゃんももう来ると思うよ。」
みつ「わかった。ちょっと着替えてくる。」
みつれは自分の部屋に入っていった。
しお「・・・ハナさんが……殺人か………」
シロサキの指示とはいえ、一線を越えたハナを取り戻すのがさらに難しくなったと感じたしおん。
それはみつれもリンも同じだった。。。
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