『ブラックボックス』

うどん

文字の大きさ
上 下
166 / 184
〜第5章〜

161.『決意。』

しおりを挟む



『ドッグオーディション』から数ヶ月後。


未だにシロサキとハナは行方不明のまま、数ヶ月の時が経った。


『カモミール』事務所にはみつれ、しおん、カエデがいた。


しお「アレから数ヶ月……未だにシロサキとハナさんはみつからないね……」


この数ヶ月間、懸命に2人の行方を探したがひとつも手掛かりが無く、難航していた。


カエ「・・・そういえば、科捜研に調べてもらったクスリ…どうなったんですか?」


しお「一応成分は分かったみたいだけど、一般的に手に入る物ばかりで足取りに難航してるみたい。」

科捜研の報告によると、一般に出回ってるクスリを加工して作られた物で、特定に時間が掛かっているそうだった。


みつ「・・・来たな。」

みつれは窓の外から車が事務所前に停まったのが見えた。


リン「おっはよ~!!」

リンが明るく事務所に入ってきた。

しお「おはようございます、リンさん。」


カエ「リンさん、おはようございます。」


リン「おはよぉ!少年少女!!おっ!カエデちゃん、今日の服シックで可愛いねぇ!」

カエデは顔を赤らめて微笑んだ。


リン「準備出来てる?みっちゃん。」


みつ「あぁ。」


しお「そういえば今日面会だったね。気をつけてね。」


カエ「お気をつけて。」


みつ「あぁ、行ってくる。」


みつれとリンは事務所を出た。


しお「・・・じゃあ僕らも仕事しようか、カエデちゃん。」


カエ「はい!」


2人はPCに向かい、シロサキとハナの捜索を続けた。



みつれとリンは刑務所に向かう。

リン「今日で3回目だね。そろそろ喋って欲しいけどねぇ」

リンは運転しながらボヤいた。


みつ「どうせアイツは刑務所から出れないんだ。じっくり問い詰めるさ。」


2人は刑務所に到着し、手続きを済ませ、面会室に入る。


面会室の中にはトドロキが座っていた。


トド「・・・またお前か……みつれ。」


みつ「トドロキ、この前の続きだ。」


2人はトドロキと対面で座る。

トド「刑事さん……何度来ても幹部の居場所なんか知らねぇよ。」


リン「もうそれは分かった。お前のような下っ端が知ってるハズ無いからなぁ。」


トド「ちっ……じゃあ何しに来たんだ?」


みつれは口を開けた。

みつ「お前がいた組織の名前はなんなんだ?」


トド「組織の名前?なんでそれを聞く?」


トドロキはフッと笑った。

トド「まぁいいだろう。もう俺は出れることは無いしな……。」


みつ「組織名はなんだ?」

トドロキは少し黙ったあと、口を開いた。



トド「・・・『BB』。」


みつ「『BB』……?それが組織の名前か!?」


トドロキは椅子にもたれかかって話し始める。



トド「この国は『箱』だ。それも色々な色が混ざってる。人種、宗教、思想、それも他の国のいいなりで、いいように利用されている。この国は昔のような軍事力も政治力もない。平和ボケし過ぎたんだこの国は……。その様々な色が混ざった『箱』を一色にまとめ、国を変える。それが俺たちの組織、『ブラックボックス』だ。」


ついに明かされた組織名。
みつれとリンは息を呑んだ。

リン「・・・『ブラックボックス』……」


みつ「それが組織名か。リカがボスなのか?」


トド「フッ、ボスは別にいる。おれは会ったことないがな。」


みつれは席を立つ。


みつ「明日、また来る。」


みつれは面会室を出た。


リン「み、みっちゃん!?」


リンは後を追いかけようと部屋を出ようとするがトドロキがリンを引き止める。


トド「待て、刑事さん。ひとついいことを教えてやる。」


リンは振り返り、席に座る。


リン「・・・なんだ?」


トド「アンタ…シロサキ幹部を追ってるんだろ?」



リン「・・・」



トド「一度幹部に拉致監禁されたんだろ?話は聞いてる。」


リン「それがどうした。」


トド「俺はあの幹部が嫌いでね。軍人の頃、幹部の作る爆発物に何度も苦しめられた。正直俺はアンタにシロサキを捕まえて欲しいとさえ思っている。」


リン「・・・言われるまでもない。シロサキは必ず捕まえる。」


トド「フッ、幹部はよく埠頭に行くらしい。どこかは知らんがよく出入りするらしいぞ。」


トドロキはシロサキが埠頭によく足を運ぶことをリンに教えた。



リン「・・・また来る。」


リンは面会室を後にした。



トド「フッ……せいぜい頑張んな。」



刑務所を後にしたみつれとリン。

みつ「・・・なぁ、リン。」


リン「ん?なに?」


みつ「・・・すまなかった。あの時、私はハナさんを行かせてしまった。」


リン「みっちゃんのせいじゃない。ハナちゃんが選んだことだよ……。ハナちゃんはシロサキを選んだ。それだけだよ。」


リンは車を停める。


リン「でもね……、私は諦めない。ハナちゃんを取り戻す。元気で明るいハナちゃんを必ず……。」


リンは涙をこらえながらハンドルを強く握った。


みつ「あぁ……必ず取り戻す。しおんもカエデも、誰一人諦めていない。」


戻ってこないとわかっている。
だがハナを諦めることは無い。


リン「ありがとう………」



リンとみつれは手を握り合った。


トドロキから得た情報を使い、必ずハナを取り戻す。

2人はかたく決意した。。。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

落ち込んでいたら綺麗なお姉さんにナンパされてお持ち帰りされた話

水無瀬雨音
恋愛
実家の花屋で働く璃子。落ち込んでいたら綺麗なお姉さんに花束をプレゼントされ……? 恋の始まりの話。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

青い祈り

速水静香
キャラ文芸
 私は、真っ白な部屋で目覚めた。  自分が誰なのか、なぜここにいるのか、まるで何も思い出せない。  ただ、鏡に映る青い髪の少女――。  それが私だということだけは確かな事実だった。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...