『ブラックボックス』

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〜第5章〜

156.『火花』

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『ドッグオーディション』が行なわれる廃校。
そこに侵入したみつれとしおん。


突入の準備を整え、時間が来るのを待つのみ。



会場は体育館。

窓には木の板を張られていて外からは確認出来ないが、隙間からストロボの光がチラチラもれている。


みつれは時刻を確認する。


みつ「・・・始まるな。」


体育館からの音は聞こえない。
恐らく防音処置をしているのだろう。


しお「時間だね。」

しおんは屋上で周りを監視していた。


みつ「しおん、周りに誰かいるか?」

インカムでしおんに話しかけるみつれ。


しお「いや、誰もいない。暗視ゴーグルで見てるけど人は居ないよ。」


みつ「わかった。そのまま監視を続けてくれ。」


しお「りょーかい。」

みつれはリンに電話を掛ける。


みつ「・・・リン。始まったぞ。」


リン「わかった。配置につく。……いよいよだね、みっちゃん。」


みつ「あぁ。ハナさんを取り返そう。」


リンは人員を配置につかせた。
パトカーも学校の周りを囲むように配置する。


時刻は9時20分。
突入の時間がやってきた。


みつれはリンの元へ移動する。


リン「みっちゃん。」


みつ「周りには警察以外誰もいない。しおんが屋上で確認した。」


リン「よし………行くよ!!」


リンは合図を出した。

警察官が体育館入口の扉を破壊する。


「警察だ!!!全員動くな!!!」


拡声器で警告を発する。

会場がザワつく。
逃げようとする者、頭を抱える者、呆然とする者。

リンが前に出る。


リン「全員確保!!!」


ぞろぞろと警察が体育館内に入り込む。

観客が次々と身柄を拘束される。
その時ステージに立っていた出演者も身柄を拘束される。


リン「・・・シロサキとハナちゃんが居ない…」


みつ「・・・どこだ……」


2人はステージの裏を確認する。


そこには怯えた『犬』達が震えていた。


リン「まさか逃げられた!?…どうやって!?」


みつれは床の窪みに気がついた。


みつ「ん?これは……」


窪みに指を引っ掛けると床が開いた。


リン「みっちゃん!これ……」


みつ「あぁ……やっぱり用意してたんだ……抜け道を…」

リンは銃を取り出した。


みつ「しおん!ステージ裏に隠れ出口があった!誰か出てきて無いか!?」


インカムでしおんに確認をとるみつれ。


しお「なんだって!?…いや、誰も出てきて居ない。外には警察しかいないよ。」


しおんは周りを確認したがシロサキたちの姿は無かった。


しお「ヤツらの車にはまだ誰も近づいていないよ!」


みつ「わかった。私とリンは隠れ出口に入る。なにか動きがあったら知らせろ!」


リン「みっちゃん!行こう!」


2人は隠し出口に入っていった。


中に入ると手掘りされた道が続いていた。

どんどん先に進むと、上に上がるハシゴが出てきた。


みつ「ヤツらがいるかも知れない。気をつけろ。」


リンはこくりと頷いた。


慎重にハシゴを登るとそこは校舎側に続いていたようだった。


リン「ここは…教室?」


辿り着いた場所は廃校舎の1階にある教室だった。


誰もいないのを確認し、ハシゴをのぼりきる2人。


リンは銃を構え、辺りを見渡した。


リン「・・・クリア。」


みつ「こっちもクリアだ。……しおん。隠れ出口は校舎の教室に繋がっていた。」


しお「了解!ドローンを飛ばして校舎を確認する!」


しおんはドローンを飛ばし、校舎を確認した。


しお「ッ!?2階の教室に人影が見えた!!」


みつ「よし。2階だリン。行くぞ!」


リン「みっちゃん!これ使って!」


リンはみつれに銃を渡した。


みつ「あぁ。行くぞ。」


2人はクリアリングしながら2階へ進む。


2階にあがると話し声が聞こえた。


人差し指を立てるみつれ。
慎重に声の元へ近づく。


シロ「お前にはガッカリだよ。なんで見張りをつけてなかったんだ。」


シロサキが誰かに話しかけている。


「ま、待ってください……まさかこんなとこに来るとは思ってなかったんだ……」


男の声が聞こえた。

みつれはその声をよく覚えていた。


みつ「トドロキだ……間違いない。」


シロ「これはお前の不始末だ。おかげでめちゃくちゃになった。」


トド「まっ、待ってくれ!!」


リン「そこを動くな!!!」

2人は一斉に飛び出し、銃を向ける。


そこにはシロサキとハナとトドロキがいた。


シロ「ちっ……もう来たのか…。久しぶりだねぇ刑事さん。」

シロサキはニッと笑った。


リン「シロサキ!お前を逮捕する!!」


リンが一歩近づくと、ハナがシロサキの前に出た。


リン「ハ、ハナちゃん……」


みつれはトドロキを見つめていた。
それに気づいたトドロキは誰なのか気づいた。


トド「お前……みつれ……か?」


みつ「久しぶりだな…隊長。いや……トドロキ。」


みつれは鋭い目つきでトドロキを睨む。



シロ「そういえばお前ら知り合いだったな。こいつを裏切って組織に入ったんだっけ?トドロキ。」


リン「無駄口叩くな!銃を捨てろ!!」


リンはシロサキに警告した。


ため息をもらすシロサキ。


シロサキはボソッと呟いた。

シロ「ハナ、屈め。」

ハナが屈んだ瞬間、シロサキはリンに発砲した。

弾は見事リンの銃に当たり、銃をはじき飛ばした。


リン「つッ!?」


みつれはシロサキに引き金を引こうとする。

しかし屈んだハナがそのままみつれに近づいていき、蹴りで銃を叩き落とした。


みつ「ッ!?ハナさん……」


スキが出来たみつれを狙ってシロサキはみつれに発砲した。


自身に銃口が向いたことにいち早く気づいたみつれは弾を間一髪で交わした。


みつれの方に向いていたシロサキにリンは突っ込んでいく。


シロ「ッ!?このッ!?」

シロサキはリンに銃を向けようとしたが、みつれはサバイバルナイフを投げて銃を持つシロサキの右腕に突き刺さった。


シロ「ぐっ!!」


雄叫びをあげ、シロサキに突っ込むリン。


2人は勢いあまって教室の窓から落下した。。。


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