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〜第5章〜
155.『突入準備』
しおりを挟むメッセージから3週間後。
『ドッグオーディション』当日。
時刻は午後1時。
『カモミール』の事務所ではリンも交えて最終作戦会議が行われていた。
しお「ということで今日の午後9時が『ドッグオーディション』です。父さんからの情報とオキさんの情報が合致してることから、日時は間違いないでしょう。ここにハナさんが出ることもわかってます。これが会場である廃校の見取り図です。」
しおんはモニターに廃校の見取り図を映した。
しお「どれくらいの規模でやるか分かりませんが、恐らく体育館でやると思われます。みつれさんが下見に行った時に、体育館には窓に木の板が貼り付けられていたそうです。」
リン「いよいよだね。一斉検挙する手続きは済んでる。人員は60人、パトカー30台は用意出来てる。」
みつ「十分だ。半分は中に突入、もう半分は逃げられないように周りを囲むんだ。シロサキもそこで捕まえる。ハナさんをシロサキの手から解放するんだ。」
しお「そうだね。問題はどのタイミングで突入するかなんだけど…リンさん、こういう時は本来どういうタイミングで突入するんですか?」
しおんは突入タイミングをリンに訊ねた。
リン「重要人物が姿を現した時とかかな。後はまぁその時々によるね。…ちなみにこの体育館の抜け穴みたいな隠し出口とかの増築は無いの?」
しお「窓に木の板を貼りつけてる以外には無いと思います。逃げるとしたら各扉から逃げるしか無いからそこをしっかり抑えましょう。人員も60もいれば大丈夫でしょう。」
しおんの調査では増築は無いと判断した。
みつ「ユウゼンのメッセージには護衛は無いとあったが、本当かわからない。一応いるものとして想定した方がいいだろう。」
リン「そのメッセージなんだけど、罠の可能性もあるんじゃない?」
しお「確かに罠の可能性も十分にあります。父さんがシロサキに指示されて僕に送った可能性も捨てきれません。けどそれならわざわざ暗号を使って送らないと思うんです。」
みつ「まぁ罠だろうがどっちみち関係ない。シロサキを捕まえて、ハナさんを取り戻す。それだけだ。」
リン「だね。…じゃあ段取りだけど….……」
リンは突入する段取りを2人に話した。
運命の時間は刻一刻と近づいていく。
リン「・・・ということで、これで行こう。細かい部分は臨機応変に対応しよう。」
みつ「了解。」
しお「わかりました。」
『ドッグオーディション』開始まで8時間。
みつれ達は各々準備に取り掛かった。
午後8時30分。
廃校にはぞろぞろと送迎の車が出入りしていた。
遠くから見張っているみつれとしおん。
しお「集まってきてるね。人数は少なそうだけど。」
みつ「私の時はもっと居た。今は完全極秘の会員制らしいからな。選ばれた者しか入れないんだろう。」
2人が監視していると見覚えのあるワゴン車が見えた。
しお「みつれさん!あの車!」
みつ「あぁ、組織のワゴン車だ。多分あの車にシロサキとハナさんがいる。」
ワゴン車は廃校に入っていき、姿が見えなくなった。
みつ「入っていったな。私たちも行くぞ。」
しお「おっけー」
2人は体育館とは反対側の校舎に侵入した。
1階の窓から侵入し、身を潜める。
するとリンから着信がはいる。
みつ「リンか。今校舎に侵入した。」
リン「了解。私たちは9時20分に到着する。盛り上がってるとこ狙ったほうがいいでしょ。」
みつ「あぁ。その方が不意をつける。」
リン「見つからないように気をつけてね。」
リンは電話を切った。
みつ「・・・しおん、例のモノ準備しておけ。」
しお「これだね。けどこれどうするの?」
それはしおんが自作した電磁パルス発生装置だった。
みつ「それを組織のワゴン車の下に設置してきてくれ。万が一逃げられないようにな。」
しお「なるほど。じゃあ設置してくるよ。」
しおんはサッと移動して行った。
みつ「これで退路は絶った。全員捕まえる。そしてトドロキと決着をつける……」
開始20分前。
突入までは40分。
準備はすでに整った。。。
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