『ブラックボックス』

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〜第5章〜

154.『親子の秘密の暗号』

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突如差出人不明から送られた謎のメッセージ。
それは不可解な数字の羅列だった。

しおんはどこかで見覚えがあるが思い出せずに悶々とする。


しばらくするとカエデを自宅に送ったみつれが帰ってきた。


みつ「戻ったぞ。…ん?どうしたしおん?」


しお「みつれさん、おかえり。ちょっとこれ見てくれない?」


しおんはモニターを指さした。


しお「知らないアドレスからこのメッセージが来たんだけど、みつれさんなにか分かる?」


しおんはみつれに送られてきた数字の羅列を見せた。


みつ「なんだこれ?」


しお「それがわからないんだよ…。調べたけど出てこない。けどなんか見覚えがある気がするんだよねぇ……」


しおんはずっと思い出そうとしていたが思い出せない。


みつ「差出人を調べたらいいんじゃないか?」


しお「調べたんだけど足がつかないアドレスだったよ。どこから送られたかも分からなかった。」


みつ「そうか……。けどそれが出来るやつなんか限られるんじゃないのか?」


しお「いや、そういう細工はやろうと思えば誰にでも出来るよ。全く関係ない第三者に頼むとかね。」


みつ「そうなのか。私はユウゼンかと思ったが、そもそもユウゼンが意味のわからないメッセージを送るわけないしな…」


しお「父さん………あッ!!!」


しおんはなにかを思い出した。


みつ「どうしたしおん?」


しおんはキーボードを打ち始めた。


しお「もしかしたら・・・やっぱり……」


しおんは数字の羅列の意味をわかったようだった。


しお「この数字の羅列、なんか見覚えがあると思ってたんだけど、昔父さんに教えてもらった暗号だよ。ガラパゴスケータイのキーボードを軸に使うんだ。」


みつ「どういうことだ?」


しお「例えば、ガラケーのキーボードにはひとつひとつのボタンに数字が書いてあって、その枠内にひらがながあるよね。あ行からわ行まで。…例えばこのメッセージの初めの数字は『1-2』でしょ?これは1のボタンを2回押すんだよ。」


みつ「てことはつまり、最初の数字の意味は『い』になるのか。」


しお「そういうこと。父さんが僕を楽しませるために考案したんだと思うけど。……つまり数字全部をひらがなに変換すると……『いぬのしょうはでる。そなえろ。ごえいはなし。しろさきだけだ。』」


しおんは数字の羅列の解読を説明した。


みつ「『いぬのしょう』は『ドッグオーディション』の事だな。護衛は無しでシロサキだけだと。これはユウゼンのメッセージということだな?」


しお「そうだね。これは僕と父さんしか知らない暗号だからね。けどなんで父さんがこんなことを……」


しおんは何故今になって懐かしい暗号をユウゼンが送って来たのがわからなかった。


みつ「組織にお前と連絡取ってるのがバレたくないからじゃないか?何故それをお前に教えるから分からないが。」


しお「けどこれって組織にとって裏切り行為になるんじゃ……」


ユウゼンがやっていることは裏切り行為に等しかった。


みつ「だからバレたくないんだろ。ユウゼンは組織の『犬』という制度が理解できないと言っていたしな。組織に不信感を持っているはずだ。……ユウゼンに暗号で送り返したらどうだ?」


しお「な、なにを送る?」


みつ「それはお前が決めろ。とにかく、ハナさんは『ドッグオーディション』に出ることがわかった。それをふまえてまた作戦を考えよう。」


しお「・・・わかった。」



その日の夜。
しおんはユウゼンと思われるメッセージの差出人に返信をした。


『0-1 2-1 4-3 4-1。2-4 4-5" 5-1 0-3 4-4" 1-5 3-2 1-4 4-1 5-5? 4-5 1-3 3-1 0-3 5-1 0-3 4-4" 3-2 8-3?』
『(わかった。けどなんで教えたの?父さんなんでしょ?)』



すると返信が来た。


『8-2 9-3 3-4 5-1 1-2 2-1 9-1 4-1"。1-5 7-1 1-4 9-1 4-4" 4-3 6-3" 3-4。3-2 8-3 1-3 6-1 3-1 0-3 3-2 8-2 1-3 2-1 0-3 2-5"、2-5" 2-5" 2-3 3-2" 2-1 9-1 4-1"。』
『(許せないからだ。お前らで潰せ。ショーは3週間後、午後9時からだ。)』


送られてきたメッセージには開催日と時間が書かれていた。


しお「・・・『ドッグオーディション』は3週間後の午後9時……。父さん………ありがとう。」


『ドッグオーディション』は3週間後。

父親からの貴重な情報を受け取ったしおんたちは3週間後に備えることとなった。。。
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