『ブラックボックス』

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〜第5章〜

151.『各自報告』

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旧トンネルの隠れ家で見つけたクスリ。
カエデの案でリンに頼んで科学捜査研究所に調べてもらうことに話が進んだ『カモミール』の3人。

3人はリンの到着を前に、ある事について話し合っていた。


みつ「来月の『ドッグオーディション』だが、ハナさんの様子からして出る確率は低いと思う。」


みつれはハナが『ドッグオーディション』に出ない可能性があることを示唆した。


しお「それはなんでなの?」


みつ「『犬』にしてる人間を組織が管理してる敷地内とはいえ、自由に行動させたりしない。……普通の『犬』ならな。」


しお「・・・つまりハナさんは普通じゃないと?」


みつ「あぁ。ハナさんは自由に動き過ぎていた。他の構成員と同じように。…恐らくシロサキはハナさんを組織の構成員として使う気だ。リンもそれは勘づいてる。」


しお「・・・なるほど。じゃあ『ドッグオーディション』への襲撃はやめる?」


みつ「いや、すまないがハナさんがいなくても私は行く。…トドロキと決着をつけたい。」


『ドッグオーディション』のオーナーはみつれを裏切ったトドロキ。
みつれはどうしても決着をつけたかった。


しお「そうだね。」


カエ「あの…『ドッグオーディション』って?」


カエデが2人に質問した。


みつ「あぁ…なんて説明すればいいか……」

まだ中学生のカエデに説明するには刺激が強過ぎる内容なだけに少し戸惑った。


すると事務所の扉が開き、リンがやって来た。


リン「お待たせ。ん?カエデちゃんも居るんだね。」


カエ「こんにちは、リンさん。怪我、大丈夫ですか?」

頭に包帯を巻いてるリンをみて心配するカエデ。


リン「大丈夫だよ。ありがと。」


みつ「待ってたぞ。とりあえず座ってくれ。」



4人はソファに座る。

みつれはクスリとメモをリンに渡した。


みつ「これがスイが持っていたクスリだ。これはスイが書いたメモだ。」


リン「これが……」

リンは受け取ったメモを見た。

みつ「そのメモには『クスリの成分は不明』と書いてある。…リン、このクスリの成分を科捜研で調べてほしい。」


リン「科捜研か……なるほど、考えたね。成分を調べて入手経路を辿るってことでしょ?」

リンは察しがついた。


みつ「あぁ。カエデの案なんだ。それで完全に出処が分かるとは思ってないが、出処を掴む為の大きな一歩になると思う。」


リン「カエデちゃんが!?凄いね!よく科捜研なんて知ってたね。」


リンはカエデの案だと聞いて驚いていた。
少し照れる様子を見せるカエデ。


リン「わかったよ。これは科捜研で調べてもらう。わかったらすぐ連絡するね。」


しお「よろしくお願いします。」

リンはクスリを仕舞った。


みつ「それともう一つ、さっき話していたんだが……『ドッグオーディション』の件だ。」

みつれは『ドッグオーディション』の話を始める。


しお「リンさんもやっぱりハナさんが『ドッグオーディション』に出ないと考えてるんですか?」

しおんはリンに訊ねた。


リン「わからないけどそうだと思う。」


リンは少し俯く。
昨日のハナの様子を思い出していた。


みつ「さっきも話したが、シロサキはハナさんを『犬』ではなく組織の構成員として使うと私は考えている。」


リン「・・・私もそう思う……。今のハナちゃんは私たちが知ってるハナちゃんじゃない。まるで別人だった。」


みつ「クスリの影響だろうな。私もそうだったからな……。いくら訓練していようが身体を鍛えていようが、内部からやられれば耐えようが無い。」


リン「『ドッグオーディション』はどうするの?」


みつ「潰す。そしてトドロキとも決着をつける。」



リン「なら当初の予定通り警察を使って一斉検挙する?」


みつ「あぁ、会場いる全員捕まえる。一人残らずな。」


みつれは険しい表情をして言い放った。


リン「わかった。それも手配する。日時がわかったら教えてね。それと私からの報告なんだけど…」


リンはバッグから封筒を取り出した。


リン「シロサキが送り込んできた半グレたちの尋問の報告書だよ。」


みつれとしおんは報告書に目を通す。

リンは説明していった。


リン「まず、昨日私を襲った半グレたちだけど、計画的なものだったよ。どうやら私たちが店に入るところをずっと監視していたらしい。」


しお「まさかあの時からずっと監視されていたなんて…」


みつ「・・・なんで私たちの行動が分かっていたんだ?計画的なものだったら私たちの行動を知っていたってことになる。」


リン「ユウゼンだよ。ユウゼンが私たちの居場所をシロサキを通してリークしたんだ。」


リンはその後も話し続けた。


リン「シロサキの指示は、私が1人になったら襲うこと。なるべく痛めつけて再起不能にさせること、そして再起不能にしてシロサキのところまで連れてきたら報酬は倍になる……てことだったよ。まぁシロサキ自身は無理だと思ってただろうけどね。結局コイツらを餌にして私を誘き出したってわけ。」


みつ「なるほど。やっぱりそうだったのか。」


しお「他にまだ半グレメンバーは居るんですか?」


リン「いや、雇われたメンバーはこの6人だけだったよ。ユウゼンを監視していたのもこの6人だって吐いたよ。」


しお「つまりもう半グレに狙われることは無いってこと?」


リン「今はね。ただシロサキがまた別の半グレを使う可能性は十分にある。用心するに越したことはないよ。」


現実離れした内容を黙って聞いているカエデ。
本当に危険なんだと理解するに時間は掛からなかった。


みつ「だいたいわかった。ありがとう、リン。とりあえず今は大丈夫だってことだ。」


リン「まぁけど用心はしてね?……さて、私はこれを科捜研に持っていくよ。」


リンはソファから腰を上げた。


みつ「すまないが、頼んだぞ。」


リン「うん。またわかったら連絡するね。」


リンは事務所を出ていった。



しお「・・・僕らはどうする?みつれさん。」


みつ「科捜研の結果を待つしかない。それまで待機だ。」


みつれはリンが置いていった報告書をまとめた。


しお「おっけー。リンさんからの連絡を待とう。」


しおんは腰を上げた。


しお「僕はちょっと出かけるよ。今直してるデバイスのパーツを調達してくる。」


みつ「あぁ。気をつけてな。」


しおんは事務所を出ていった。


事務所にはみつれとカエデだけが残った。


カエデはずっとソファに座っていた。


みつ「・・・私たちも出かけるか?カエデ。行きたい場所があるんだ。付き合ってくれるか?」


カエ「は、はい!」


みつれはカエデを連れてとある場所へとむかった。。。

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