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〜第5章〜
148.『隠し事』
しおりを挟むハナの奪還に失敗したみつれとリン。
命からがら工場から脱出し、体力を回復させるためホテルへと泊まる。
しおんとの電話の後、リンは闇医者カオリについて訊ねた。
リン「みっちゃん、さっきの闇医者の話なんだけど……」
みつ「あぁ、そうだな。……今まで黙っていてすまなかった。」
みつれはカオリの話を始める。
みつ「3年前、カオリさんは私を組織から救ってくれたうちの1人なんだ。カオリさんのおかげでしおんにも会えた。」
みつれは3年前にカオリに助け出されたことを話した。
みつ「お前には大まかにしか話して無かったが、『ドッグオーディション』で出会った老人はしおんの祖父だ。その祖父が贔屓にしていた医者がカオリさんだったんだよ。」
リン「しおん君のお爺さんってのは知ってた。けどまさかそんな繋がりがあったんだね。…ってことはしおん君とも縁があったんだね。」
みつ「そういうことだ。」
そこでリンはハッとした。
リン「もしかしてあのピンク髪の女の子がよつばって子!?」
みつ「そうだ。カオリさんの助手をやってる。」
リン「・・・そうだったんだ……。」
みつ「これでもう隠し事は無い。今まで黙っていてすまない。」
みつれはリンの目をみつめて言った。
みつ「無理を承知で頼みがある。カオリさん達を見逃してほしい。」
みつれはリンに頭を下げた。
リン「あ、頭上げてみっちゃん。今はそれどころじゃないから大丈夫だよ。」
みつ「・・・すまない。」
リン「とりあえずハナちゃんを助け出すためにもクスリの出処を調べなきゃだね…。」
みつ「あぁ。…明日、旧トンネルの隠れ家に行ってみるよ。もしかしたらスイの部屋にまだクスリが残ってるかも知れない。」
リン「わかった。見つけたら教えてね。」
リンは椅子から腰をあげた。
リン「今日はもう寝よう。シャワー浴びるよ。」
リンは浴室に行こうとする。
みつ「待てリン。その傷で1人で浴びれないだろ。一緒に入るよ。」
リン「えっ!?だ、大丈夫だよぉ…」
みつ「ダメだ。傷が開いたらどうするんだ。私が洗ってやるから早く脱げ。」
2人は浴室に入った。
リン「あッ…///ちょっ…///そこダメ…痛たたたた!!!」
夜中に浴室からリンの悲鳴が響いた。
翌朝。
2人はホテルを出る。
リン「私は署に戻るよ。多分怪我のこと聞かれるだろうけど……」
みつ「私は旧トンネルに行く。なにかわかったら連絡する。」
みつれはバイクに跨った。
みつ「・・・リン。」
リン「ん?なに?」
みつ「・・・ハナさんは必ず取り戻す。だから無茶するな。」
みつれはリンを1人にするのが心配だった。
また自暴自棄にならないか不安だった。
リン「うん…」
みつれはバイクを走らせ、旧トンネルへむかった。
リン「・・・みっちゃん……ありがとう。」
リンは車に乗り、署へむかった。
みつれは旧トンネルへ到着する。
みつ「・・・また来たよ、スイ……。」
みつれは呟きながら隠れ家の鍵を開けた。
真っ先にスイの部屋へと向かうみつれ。
みつれは収納棚を再び調べた。
しかしクスリはどこにも無かった。
みつ「スイの部屋には無い……キッチンか?」
みつれはスイの部屋を出てキッチンを調べ始めた。
みつ「何処に隠してるの?…スイ…」
みつれは手当り次第探した。
しかしクスリは見つからなかった。
念の為風呂場も調べたが空になった注射器しか無かった、
みつ「・・・そういえばスイは注射器で私にクスリを使ってたな…。けど途中で錠剤に変えた。……後は私の部屋か……」
みつれは自分が居た部屋に入った。
なんだか懐かしい気持ちになったみつれ。
この部屋でスイと愛し合った時を思い出す。
みつれは自分の部屋を調べた。
すると机の引き出しの中の1番奥に錠剤を見つけた。
みつ「あった………。これだ……」
みつれは錠剤を手に取る。
それは品名が記載されていない物だった。
みつ「しおんとリンに連絡を…………ふっ、そういえばこの部屋は電波入らなかったな。」
みつれは床に敷いていた布団に腰を下ろした。
懐かしい布団。
みつれは布団に寝ころんだ。
みつ「・・・なんだかスイの匂いがする…」
スイが亡くなってから数ヶ月。
ずっと放置されている部屋の布団は当時のまま。
かび臭くてスイの匂いなどしないはずだが、みつれにはスイの匂いを感じていた。
不思議な感覚におちいるみつれ。
まるでスイに抱かれているように、暖かく感じた。
みつ「スイ……そこにいるの?」
この隠れ家にはみつれ以外誰もいないし誰も入れない。
だがみつれはスイが自分のそばに居ると感じていた。
みつ「スイ……アンタともう一度触れ合いたい……。私を抱きしめてほしい。」
みつれは当時のように服を全て脱ぎ始め、布団にうずくまった。
みつ「んッ………スイ……スイ……」
するとスイの声が聞こえた。
みつ「ッ!?スイッ!?」
もちろんスイはこの世にはいない。
だがみつれにはスイの声が聞こえた。
みつ「スイ!そこにいるの!?」
みつれは布団から立ち上がり、部屋から出る。
みつれはスイの声がする方へ歩いていく。
みつ「スイ!どこ!?どこにいるの!?」
裸のままみつれはスイの部屋に入っていく。
するとスイの声が聞こえなくなった。
みつ「・・・そうだよな……幻聴だよな……スイはもうこの世にいないんだから。」
ふと我に返るみつれ。
すると何故か収納棚の小さな引き出しに目が止まった。
そこはスイの日記が入っていた引き出しだった。
みつれはその引き出しを開けようとする。
開けるともちろん中には何も無い。
みつ「・・・」
みつれは引き出しを戻そうとしたが何かが挟まった感触がした。
みつ「ん?なにか挟まってるのか?」
引き出しを外して中を覗き込むと、そこにはクスリと1枚の紙があった。
みつ「これは……」
みつれはクスリと紙を取り出す。
その紙にはクスリを受け取ったであろう日付けと注意事項が手書きで書かれていた。
みつ「これ……スイが書いたやつか?」
そこには細かく書き込まれていた。。。
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