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〜第5章〜
147.『クスリの出処』
しおりを挟む工場での騒ぎの後、ハナはシロサキの元に戻った。
シロ「おかえり、ハナ。」
ハナ「申し訳ございません。逃げられました。」
ハナは服を全て脱ぎ、シロサキに土下座をした。
ハナ「申し訳ございません!!」
シロサキはハナを見つめる。
シロ「・・・リカさんと上から見てたよ。上出来だったよハナ。合格だ。」
ハナ「ありがとうございます!シロサキ様!」
シロサキは椅子から立ち上がり、土下座するハナを顔をあげた。
シロ「私と一緒に来い。お前を死ぬまで愛してやる。」
ハナ「ッ…///は、はい…///」
シロサキはハナにキスをした。
病院に運ばれたリン。
みつれは待合室でリンの処置を待った。
みつれは工場で見たハナを思い出していた。
『お前達は殺す。シロサキ様の為に。』
みつ「・・・」
『犬』の経験があるみつれならわかる。
ハナは完全に洗脳されている。
クスリを服用されて自分と同じように記憶障害を起こしているのか、精神を破壊されて組織の思うままに再構築されたか……。
なににせよ、あの状態では奪還するのは不可能だった。
ハナは躊躇なく頭を狙って発砲していた。
確実に仕留めにきていた。
みつ「・・・どうしたらいいんだ……」
しばらくするとリンが処置室から出てきた。
リン「お待たせ、みっちゃん。」
リンは頭に包帯を巻いていた。
みつ「入院とかしなくて大丈夫なのか?」
リン「大丈夫だよ。弾は貫通してたし大したことないよ。」
少し無理をしてるようにみえるリン。
だがみつれはそれ以上は言わなかった。
リン「とりあえずみっちゃんのバイクを取りに行こう。もう夜中の1時過ぎてるし何処か泊まろう。」
みつ「そうだな。」
みつれとリンはバイクを取りに戻った。
みつれがリンの車を運転する。
リン「・・・みっちゃん…ハナちゃんだけどね……」
みつ「あぁ……」
リンはハナの話を始めた。
リン「ハナちゃん……私の名前を呼んだんだ……。」
みつ「・・・お前の名前を言ったってことはつまり……」
リン「うん。みっちゃんの時のような記憶障害じゃない。……それに明確な殺意を感じたよ。」
リンは身を震わせていた。
みつ「あぁ……それは私も感じていた。躊躇なく頭を撃ち抜こうとしていた。……それに関西弁では無くなってたな。」
リンは俯いた。
リン「私……どうしたらいいの……みっちゃん………」
リンの目から涙がこぼれ落ちる。
みつ「・・・わからない。…すまない。」
それ以降2人は沈黙し、みつれのバイクを回収した。
みつ「・・・とりあえず何処かに泊まろう。」
リン「・・・そうだね。」
時刻は深夜2時。
2人とも自宅に戻れる体力も残っていなかった。
2人は工場から更に離れてホテルを探し宿泊することになった。
リン「とりあえずなんとか泊まれたね。」
みつ「あぁ。ここまで離れれば大丈夫だろう。」
ようやく腰をおろした2人。
リン「これからどうしようか………」
リンは頭を抱えた。
みつ「・・・正直なところ、今は助けるすべが無い。記憶障害で無いなら精神を破壊されて再構築されたんだ。…元に戻るのは難しいと思う。」
リン「そう……だよね……。うっ……うっ……」
リンは涙を流した。
みつれは話を続ける。
みつ「・・・だが諦める訳じゃない。お前もそうだろ?」
リン「そうだけど……うっ……どうすれば………」
みつ「ハナさんに接触し続けるしか無いだろう……。今はそれしか思いつかない。」
みつれはしおんに電話を掛ける。
みつ「・・・しおん、遅くなってすまない。起きてるか?」
しお「みつれさん、待ってたよ。リンさんは無事なの?」
リン「大丈夫だよ。…心配掛けてごめんねしおん君。」
しお「リンさん!よかった…無事なんですね。」
しおんは安堵の声をもらした。
みつ「しおん、何があったか話す。お前の意見が聞きたい。」
みつれは事の顛末をしおんに話した。
しお「・・・ハナさんがそんなことに……。」
みつ「あぁ、私たちを本気で殺す気だった。芝居とかじゃない。…殺す気で私たちを撃ったんだ。頭を狙ってな。」
リン「しおん君、どうすればいいと思う?」
みつれとリンはしおんの意見を求めた。
しお「・・・ハナさんはシロサキの事を『シロサキ様』と言ってたんだよね?」
みつ「あぁ、恐らく服従してるだろう。」
しお「それならシロサキを叩くしか無いね。シロサキをおさえればあるいは………」
しおんはそう考えたがそれでハナが戻るか確証が持てなかった。
みつ「やはりシロサキを狙うしか無いな。」
リン「・・・少し思ったんだけどいいかな?」
リンがなにかに疑問を持った。
みつ「どうした?」
リン「組織は人を『犬』にしてるけど、そう簡単に人格を変えたり出来るのはなんでなの?ハナちゃんは警察だし、組織犯罪対策部だから敵組織に監禁されるという提でそういうことは訓練されてる。もちろん私も。ハナちゃんは優秀だったし、とても簡単にああいう風にならないとは思うんだけど……」
みつ「・・・奴らは『犬』にする時、クスリを使うんだ。それがなんのクスリかはわからない。だがいくら訓練されていようが身体を鍛えていようが内から攻撃されてはどうしようも無い。…恐らくハナさんもクスリを使われたんだろう。」
みつれも元軍人でありながらスイの手に堕ちた身。
その時もクスリを使われて苦しんだのを覚えている。
リン「そういうことか……みっちゃんも軍人だったしずっと疑問だったんだよ。つまりそのクスリがなにか分かれば対策出来るんじゃないかな?」
しお「・・・確かにクスリに関してはよく知りませんが、そのクスリと反するモノがあれば戻る可能性があるのかも。」
リン「そもそも組織はどこでクスリを調達してるの?」
みつ「わからない。スイも私にクスリを使っていたがどこから手に入れたとかは言ってなかった。だがかなりの量を持っていたことから察するに組織で仕入れルートがあるんだろう。又は組織内で医者がいるかだな。」
しお「けど仮に組織内で医者がいるなら、部外者のカオリさんに仕事を依頼する必要が無い。……薬剤師とかじゃないかな?」
しおんは組織内に薬剤師がいると考えた。
リン「カオリって私が前に依頼した闇医者のこと?…確か逃げられたんじゃ……」
しまった!としおんは黙った。
以前リンは『カモミール』に闇医者の確保を依頼していたがみつれとしおんとの縁もあり、リンには内緒で逃げられたことにしていた。
みつ「・・・リン、この際だから言っておく。カオリさんは私の命の恩人だったんだ。お前には黙っててすまなかったが、逃げられたんじゃ無くて逃がしたんだよ。すまない。」
みつれは正直に話した。
リン「みっちゃんの命の恩人?どういうこと?」
みつ「それは後で説明する。……確かにしおんの言う通り、医者がいるならわざわざ闇医者に仕事を依頼する必要が無い。となれば薬剤師の線が濃厚だな。」
しお「そうだね。調べてみるよ。それがわかれば突破口が見つかるかも。」
みつ「頼むぞ、しおん。」
3人はクスリの出処を掴むため動くことに決めた。。。
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