『ブラックボックス』

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〜第5章〜

146.『明確な殺意』

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リンは車と車の間に隠れ、ハナの様子をみる。


リン「((ハナちゃん……もしかしてみっちゃんと同じ……))」

リンはハナは記憶障害を引き起こしていると考えた。


以前、みつれがスイに監禁されていた時、記憶障害を引き起こしてリンのことを覚えていなかった。

その時の記憶がよみがえるリン。



リン「・・・ハナちゃん……」


するとリンの持っていたスマホが振動する。
半グレから押収したスマホだ。

リン「ッ!?」

着信を見るとシロサキからだった。

リン「クソっ!」


マナーモードにしているが振動音がハナの耳に入った。

ハナはすぐさま音の元へ走り、リンをみつけた。

リン「((やるしかないッ!))」

リンはハナに突っ込んで行き、ハナを押し倒した。

押し倒した瞬間、ハナはリンの頭を狙って発砲したが照準がズレてリンのこめかみをギリギリ掠めた。


ドンッ!と地面に押し倒されるハナ。
ハナは再び発砲し、リンの左肩を撃ち抜く。


リン「ぐぅ!!…ハナちゃん!!目を覚まして!!!」


リンはハナに言い放つがハナは表情ひとつ変えなかった。


ハナは続けてリンを撃ち抜こうと引き金を引いたが弾切れになっていた。

ハナは弾切れした銃でリンを頭を殴った。

リン「ぐっ……やめてハナちゃん……」

リンはハナの腕を押さえつけた。

ハナはもう片方の腕でリンを殴る。


そしてハナは冷たく言い放った。


ハナ「死ね。リン。」



冷たく言い放たれた言葉にリンはショックを受ける。
ハナの明確な殺意を目の当たりにした。



自然と脱力してしまい、ハナに押し返される。

ハナはリンに馬乗りになってリンの首を絞めた。


リン「ハナちゃ………」

リンの目から涙が溢れた。


ハナは無表情でリンの首を力強く絞める。


するとよこからバイクに乗ったみつれが現れた。

みつれは前輪を浮かせ、ハナにぶつけようとする。

しかしハナはそれに気付き、ギリギリのところで前転して避けた。


みつ「リン!!乗れ!!早く!!!」


リンは急いでみつれの後ろに乗った。

みつれはスロットルを回し、ハナから距離を離した。


みつ「正面玄関を突破するぞ!!つかまってろ!」


みつれは阻もうとする男達をすり抜け、工場を脱出した。


みつ「車を回収する!準備しておけ!」


みつれはリンの車の元へ急いだ。


すぐさま車を回収して2人は工場から離れた。







旧社員寮の上から一部始終を観ていたシロサキとリカ。


シロ「・・・逃げられたか……」


リカ「だがあれだけ出来れば上出来だ。あの『犬』は本気で仲間だった2人を殺す気だった。観ていてわかった。」


リカは部屋に戻ろうとした。
リカは去り際にシロサキに言った。

リカ「・・・合格だ。これからはお前の右腕としてアイツを使え。」


シロ「はい。ありがとうございます。」


リカ「恐らく警察がこの工場にガサ入れるだろう。移動の準備をしておけ。」


シロ「分かりました。」



リカは部屋に入っていった。







みつれとリンは工場から5km程離れた場所で停車した。


リン「うっ………」

リンは車から降りて倒れた。


みつ「リン!!大丈夫か!?」

脱出する時に気づかなかったが、リンは左肩を撃ち抜かれていて大量の血が流れていた。


みつれは救急車を呼ぼうとするがリンがとめる。


リン「だ……大丈夫………」


みつ「大丈夫な訳ないだろ。肩撃たれてるし頭からも血が出てるじゃないか。」


みつれはしおんに電話を掛ける。


みつ「・・・しおん!聴こえるか?」


しお「聴こえてるよ。大丈夫だった?ハナさんは?」


みつ「・・・いや、奪還は失敗した。リンが撃たれた。…ハナさんに。」


しお「ハナさんに!?どういうこと!?」


しおんは動揺した。


みつ「とりあえず工場からなんとか脱出したが今動けない状況だ。リンの手当てをしないと行けない。近くに病院はあるか?」


しお「待って!すぐに調べる!・・・あった!大きな総合病院だけど夜間救急外来してる。今スマホに送ったよ。」


みつ「分かった。リンを病院に連れていく。また連絡する。」

みつれは電話を切り、リンを病院へ連れていく。


みつ「助手席に乗れ。私が運転する。」


みつれはリンを助手席に乗せた。


リン「みっちゃん……バイクは……」


みつ「後で取りに来る。まずは病院が先だ。」


みつれは病院へむかった。
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