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〜第5章〜
133.『モノ』
しおりを挟むシロサキのお仕置きをうけたハナはあまりの快感に身体に力がはいらなくなっていた。
シロ「さぁ、部屋に戻るぞ。」
シロサキは抱きしめていたハナを立たそうとする。
ハナ「も、申し訳ございません…立てません。」
ハナは腰を抜かしていて立てなかった。
シロ「はぁ……仕方ない。」
シロサキはため息をつきながらある物を取りにいった。
ハナ「?…シロサキ様…?」
シロサキはゴロゴロと音を立てて戻ってきた。
手に持っていたのは台車だった。
それは人を乗せる物では無く、荷物を乗せる物だった。
シロ「よいしょ。」
シロサキはハナを台車に乗せた。
ハナはモノとして運ばれる。
それはつまり、もう人間では無いってことを実感させられるハナ。
しかしハナは嬉しかった。
ハナは自分が人間では無いと感じると同時に、シロサキのモノになっていると感じたからだった。
全裸のまま運ばれるハナ。
部屋に戻る最中、何人かの男とすれ違う。
その度に男達のハナを見る目にハナは興奮を覚えた。
部屋に戻されたハナはすぐに眠りについた。
シロ「・・・おやすみ。ハナ。」
シロサキは部屋を出た。
シロサキはスマホを取り出し、ユウゼンに電話を掛ける。
シロ「・・・ユウゼン、私だ。ちょっと調べて欲しいことがあるんだが…」
ユウ「なんですか?」
シロ「ハナのこと、もう一度調べて欲しい。小さい頃から全部だ。」
シロサキは目隠しをした時のあの異常に怯えていたハナが気になっていた。
過去に何かあったのだろうとシロサキは考えていた。
ユウ「分かりました。調べておきます。」
ユウゼンの電話越しに電車の音が聞こえた。
シロ「ん?お前外にいるのか?」
ユウ「はい。便利屋の事務所にむかっています。」
ユウゼンは『カモミール』の事務所に向かっている最中だった。
シロ「本当にお前1人でやるのか?大丈夫かよ。」
ユウ「大丈夫です。息子と話をするだけですので。」
シロ「・・・それで済むとは思えないけどな。」
ユウ「また連絡します。では。」
ユウゼンは電話を切った。
シロ「・・・大丈夫かよアイツ…」
シロサキはスマホをポケットにしまった。
シロ「さて、夜にリカさんが話があるって言ってたな。それまであの部屋片付けるかぁ…」
シロサキは欠伸をしながらハナが出した排泄物が散らかった部屋に戻っていった。
しおんはモニターの前で目を覚ます。
しお「あれ……寝ちゃってたのか……」
しおんは起き上がった。
みつ「おはよう、しおん。」
みつれはソファに座っていた。
しお「おはようみつれさん。帰ってたんだね。」
しおんは自分に毛布がかかっているのに気がついた。
しお「毛布、ありがとう。」
みつ「あぁ。お前風呂入ってないだろ?入って来い。」
しお「うん。そうするよ。」
しおんは立ち上がり浴室に行った。
みつ「・・・リンにも一応伝えるか…どうしようか…」
みつれは『ドッグオーディション』のことをリンに話すか迷っていた。
リンがそれを聞くと必ず自分のせいだと自身を追い込むだろう。
みつれはリンの精神面が心配だった。
みつれはしおんが風呂からあがるまでずっと悩んだ。
しお「ふぅ…お待たせ。」
さっぱりとしたしおんが戻ってきた。
みつ「随分早かったな。」
しお「早くみつれさんの話を聞きたくてね。…で、昨日はなんであんな廃校調べてたの?」
しおんはみつれと向かい合わせになるようにソファに座った。
みつ「・・・お前、『ドッグオーディション』って知ってるか?」
みつれはしおんに話を始める。
しお「昔みつれさんがスイに出されたやつでしょ?だいたいしか知らないけど。」
みつ「十分だ。…その『ドッグオーディション』にハナさんが出されるかも知れない。」
しお「え!?……それはどこ情報?」
みつ「ハナさんが出るかどうかは私の憶測だ。だが、もしハナさんが組織の『犬』にされているなら出る可能性はあるだろう。組織としても金になるからな。」
しお「なるほど…。それとあの廃校になんの繋がりがあるの?」
みつ「あの廃校を教えてくれたのはオキさんだ。今はその廃校で『ドッグオーディション』をしてるらしい。……それとその『ドッグオーディション』の今のオーナーは『トドロキ』だった。」
しお「トドロキって……みつれさんの!?」
しおんは驚いていた。
しおんはまさかトドロキの名前があがるとは思ってもいなかった。
みつ「あぁ。テロ活動から外れてそっちを任されているらしい。」
しお「てことは組織が運営してるってことか……。それなら有り得そうだね…。」
しおんは考え始めた。
しお「ハナさんを奪還出来るチャンスになるね。警察を使って会場にいる全員検挙すれば…」
みつ「そうだな。けどまだリンには話していない。…迷ってるんだ…。」
みつれは少し俯いた。
なんとなく心中を察するしおん。
しお「・・・リンさんがそれ聞いたらまた自分を責めそうだね…。だから迷ってるんでしょ?」
みつ「あぁ。…今のリンは不安定過ぎる。だがリンに伝えないと警察は動かせない。」
しお「『ドッグオーディション』はいつやるの?」
みつ「来月に行なわれるとオキさんから聞いた。日時は分かったら連絡くれるそうだ。」
しお「来月か……まだ時間はあるってことだね。」
みつ「出来れば『ドッグオーディション』の前にハナさんを助けたいが…。」
その時、事務所の扉が開いた。
みつ「ッ!?お前は!?」
みつれは振り返り、扉を開いた人物を見て驚いた。
しお「と………父さん。」
そこに立っていた人物はユウゼンだった。。。
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